物理学の研究論文『負物質の実在と正負根子モデル』を公開しました。

2019.12.22

筆者が2016年に出版しました物理学の研究論文:

『負物質の実在と正負根子モデル ―暗黒エネルギー・暗黒物質と量子論的・相対論的現象および重力・運動の統一理論』

[English Title (not yet published): “The Existence of Negative Matter and the Plus/Minus Origin Particle Model: A Unified Theory of Dark Energy, Dark Matter, Quantum Theoretical and Relativistic Phenomena, Gravitation, and Motion”]

を2019年12月22日にGoogleドライブに公開しました。

以下のリンクからアクセスできます。

https://drive.google.com/file/d/1cy0SGrOKqFEF_tusAQr5S0YixCKNk0rk/view?usp=sharing

この研究論文は筆者が2016年12月23日にブックウェイ(BookWay)から自費出版しましたが、より広く読んで頂けるように今回インターネット上に公開することにしました。(論文の公開は出版社から筆者に許諾されています。また、出版社との契約に基づき、出版本は現時点で販売を終了しています。)

今回公開した論文は出版本とは版面などの形式に変更を加えていますが、内容や表現には手を加えず、誤植や著者自身の誤解に基づく記述も含めてオリジナル版を忠実に再現することを旨として編集作業を行いました。(ただし、版面を変更する過程で筆者の見落としによってオリジナル版を再現できていない箇所があるかもしれないことにも留意して頂きたいです。)

(なお、この研究論文には補遺もあり、2018年10月9日にGoogleドライブに再公開しています。このサイトでも紹介していますので、ご興味がある方は 2018.10.09.b 物理学論文の補遺『補遺A・B 選択論と正負宇宙の誕生・組成・進化』を再公開しました。 もご一読ください。)

以下に研究論文のまえがきと目次、要約を転載します。

<まえがき>

物理学の大きな夢の一つは量子力学と一般相対性理論の統一である。ミクロの世界で起こっている現象を記述する量子力学と、マクロの世界で起こっている重力や運動を記述する一般相対性理論とを統一することは、多くの物理学者が挑戦してきたテーマであった。同時に、重力・電磁気力・強い力・弱い力という四つの力を統一的に記述することもまた、物理学の夢である。また一方で、天文学・宇宙論の観点から暗黒物質と暗黒エネルギーという二つの大きな謎も見出されてきた。これらの観測的事実を理論的に説明することも物理学における大きな課題となっている。

この論考は以上のような物理学の目標を実現する『万物の理論 Theory of Everything』の完成を目指したものである。

この論考の第1章では、暗黒物質と暗黒エネルギーが、負の重力・慣性質量を持つ物質、負物質を仮定することよって統一的に記述しうることを定性的に示している。これによって、宇宙の大規模構造の形成過程に対する理解も進むことになるだろう。

この論考の第2章では、存在質量という概念を導入し、それを担う正負根子という実体を仮定する。この正負根子が、我々の知る素粒子や、我々がまだ知らない負エネルギーを持つ素粒子、さらには空間の構成単位として私が存在を予言する素領域を形作っていることを提唱する。この正負根子モデルを理解するために正負根子の性質と運動力学を調べ、正負根子から成る主な素粒子と素領域の構造と性質を示す。

この論考の第3章・第4章では、正負根子モデルによって量子力学や特殊相対性理論のいくつかの帰結を再検討し、改めて説明することを試みる。量子力学や特殊相対性理論は我々の直感に反する様々な現象を提示してきたけれども、正負根子という内部構造を仮定すれば、それが自然に対する直感的な理解を再び可能とすることが示されるであろう。

この論考の第5章では、いよいよ力と運動の問題を扱う。簡単な例についてではあるが、正負根子モデルによって重力と物質の運動を記述する。これによってミクロの現象とマクロの現象とを統一的に理解する端緒が示されるであろう。また、四つの力についても、正負根子モデルによってどのように説明しうるかの指針を示す。ここに、宇宙という時間・空間と物質、重力やその他の力、物質の運動に関して、全く新しい見方が提示されることになる。しかし、それは同時にこれまでの物理学の伝統を活かしたものであることも分かるであろう。

第6章でも詳述するようにこの論考ではまだ物理現象の全てを解き明かすまでには至っていない。しかし、素粒子、素領域、時間、空間、力、運動の全てが存在質量を有する正負根子に起源するという正負根子モデルを追究することによって『万物の理論 Theory of Everything』を必ずや完成させることができるはずである。

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<目次>

まえがき

要約

Summary

第1章 二つの暗黒と負物質

1-1.暗黒エネルギーの正体

1-2.暗黒物質の正体

1-3.宇宙の大規模構造とその形成史

1-4.ニュートン力学の拡張

第2章 正負根子モデル

2-1.正負根子モデルの概要

2-2.正負根子の生滅と物質の生成

2-3.正負根子の力学

2-4.正負根子に働く力

2-5.正負根子の振動

2-6.素粒子の構造と性質

2-7.素領域の構造と性質

第3章 量子力学の再検討

3-1.量子論

3-2.粒子と波動の二重性

3-3.波動の干渉

3-4.不確定性原理

3-5.スピンとパウリの排他律

第4章 特殊相対性理論の再検討

4-1.光の媒質(エーテル)

4-2.走る時計の遅れとローレンツ収縮

4-3.ローレンツ変換

4-4.質量とエネルギー

第5章 力と運動

5-1.四つの力の統一

5-2.重力の正体

5-3.一般相対性理論の再検討(1)

5-4.一般相対性理論の再検討(2)

5-5.重力の発生機構

5-6.物質の運動

5-7.電磁気力の正体(電気力について)

5-8.負物質に働く力

5-9.時間の矢

5-10.質量の意味と存在の意義

第6章 今後の課題と展望

謝辞

付録:用語集

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<要約>

本論文では負の重力・慣性質量を有する『負物質』の万有斥力によって暗黒エネルギーと暗黒物質を統一的に説明すると共に、正負の『存在質量』を有する『正負根子』を仮定する『正負根子モデル』によって量子論的・相対論的現象と物質の重力・運動を統一的に説明する。

負の重力・慣性質量を持つ物質、『負物質』の仮定によって天文学・宇宙論の謎を定性的に説明できる。暗黒物質と暗黒エネルギーは共に負物質が示す重力的な斥力、『万有斥力』の効果である。負物質は圧縮するほど収縮しようとする性質、『負の圧力』を示し、この性質によって宇宙誕生初期にホワイトホールを形成し、ホワイトホールから負物質が散逸して現在の宇宙の泡構造を形成した。正負の物質の重力の考察から『ゼロエネルギー最安定則』を提唱する。

正負の『存在質量』を有する『正負根子』を仮定した『正負根子モデル』は様々な物理現象を説明できる。あらゆる素粒子は『正根子』と『負根子』という根源的な二つの粒子から成る。同時に、我々が知っている素粒子の『エネルギー対称性パートナー』として『負フェルミオン』や『負ボソン』の存在を予言し、空間を構成する最小単位として『素領域』の存在も予言する。これらも正負根子から成る。この正負根子は『存在質量』を有し、『有化』・『無化』によって生滅し、『存在質量保存則』・『エネルギー存在則』・『存在運動量保存則』の三つの条件に従う。正負根子の運動はニュートン力学で記述できる。一方で、正負根子に働く力として、異種根子同士の間に働く引力である『調和力』、同種根子同士の間に働く斥力である『排他力』があり、これらは『ゼロエネルギー最安定則』を反映している。どの正負根子も共通して光速cで運動し、角運動量1/2 ħを持って『縦振動』または『回転振動』している。この正負根子から成る、主な素粒子や素領域の構造と性質を記述する。

量子力学で説明される諸現象も正負根子モデルによって説明できる。粒子性と波動性を結び付ける、エネルギーと振動数の関係式「E = hν」と運動量と波長の関係式「P = h/λ」は正負根子の運動として導ける。光子や電子の物質波の干渉は、振動源となるこれらの正負根子団の正負根子の振動である『本波』と、この本波によって誘起された素領域の正負根子の振動である『余波』との相互作用である。不確定性原理は正負根子団と素領域との間で運動量やエネルギーがやり取りされるために生じる。素粒子のスピンは回転振動する正負根子の角運動量であり、パウリの排他律は同種の正負根子の間に働く斥力、排他力が原因である。

特殊相対性理論で説明される諸現象も正負根子モデルによって説明できる。空間は素領域の格子から成り、これは光を伝える媒質、「エーテル」とも言える。一方で重要な点は、空間が負物質から湧き出し、流れ、正物質に吸い込まれる点である。このために光行差が生じる一方、マイケルソン‐モーレーの実験のように地上で水平方向の光速を比較しても違いが観測されない。物質根子団が速度を持つと、角運動量保存則により、回転振動する根子の回転速度は遅くなる一方、縦振動する根子の振幅は縮む。これが固有時の遅れとローレンツ収縮である。ローレンツ変換は素領域において測られる物理量とそれに対して速度を持つ物質根子団において測られる物理量との関係を表すものと解釈する。質量とエネルギーの関係式「E = m c^2」は物質根子団を構成する正負根子の運動として実体論的に説明できる。

物質に働く力、特に重力と、物質の運動も正負根子モデルによって説明できる。四つの力は正負根子に働く力とその運動によって説明しうる。重力は正負の物質による空間の湧き吸いによって生じる『空間の流れ』であるというモデルから、一般相対性理論で説明されるいくつかの現象、重力質量と慣性質量の一致、重力による光線の屈曲、重力による時間の遅れ、重力による赤方偏移を説明する。重力が物質根子団による素領域の生滅によって生じることを簡単な例(1 個の電子の万有引力)について導く。物質の運動が『自己重力の偏り』によって生じることも簡単な例(1 個の電子の運動)について導く。負物質の力の働き方が正物質と逆になることを示し、同時に『負の圧力』も説明する。「時間の矢」、すなわち時間の非対称性が正負の物質が示す重力の非対称性に起因することを示す。正負根子モデルによって質量の意味と存在の意義を考える。

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以下では長くなりますが、研究の経緯と意義、今後の目標と私の思いを表します。

本論文の謝辞にも書きましたが、私が物理学の研究を始めたきっかけは2015年3月に科学ジャーナリスト 松尾義之さんの著書『日本語の科学が世界を変える』(筑摩書房、2015年)を読んでいて、「アインシュタインの宇宙定数(万有斥力)が、ダークエネルギーとして復活した」(p.94)という一節を目にした時でした。より正確には括弧の中の「万有斥力」という四文字と出会い、その数日後にそれが負の質量を持つ物質によるものだと着想したことが研究の始まりでした。それから2、3日の間、負の質量が存在する宇宙について夢中になってあれこれと思索を巡らせていたのを思い出します。しかし、その頃はまだ突拍子もない思い付き程度に考えていて、それから数か月程は時々、思い付いたことをメモしておくだけでした。当時の私は弘学の学習計画を立てたばかりで、その実践に励んでいました。基礎から始めようと中学・高校レベルの数学や理科やその他の科目の学び直しに取り組んでいて、天文学や物理学の問題だけに特に意識を向けることはありませんでした。しかし、高校物理の学習に差し掛かった時、ニュートンの運動方程式や万有引力の法則を参考書で読んでいるうちに、そこでは正の質量しか扱われていないことを改めて自覚し、もしかすると負の質量が実在するとする仮説は画期的なアイデアなのではないかと気になり出しました。そこで負の質量についてさらに思い巡らしているうちに、大学の化学科で学んでいた量子化学の教科書に載っていた、粒子と波動の二重性や不確定性原理といった量子論の不可解な点も負の質量を仮定することで説明できるのではないかと色々と考え始めたのです。そうして、素粒子の内部構造として正の質量を持つ粒子と負の質量を持つ粒子を想定(当時は「正負粒子」と呼んでいました)し、これらが相互作用することで波動の様に振動したり位置や運動量が不確定になったりするというアイデア、描像を得たのです。モデルによる現象の説明に取り組み始めた当初は物質としての質量と正負の粒子としての質量の二重定義に悩んでいましたが、『存在質量』という言葉を与えたことで気持ち悪さが消え去ったことが印象に残っています。ここまで来ると、このアイデアをもっと追究してみようという気が起こり、弘学学習の計画を修正して、2015年末の冬頃から物理学の理論研究に本格的に取り組むことにしました。

そして、大学レベルの数学と物理学と天文学を学び始め、1年程で理論研究の論文を書籍にまとめて2016年末に自費出版しました。当然のことながら1年程度の勉強期間では数学や物理学、天文学の知識はまだまだ少ないです。したがって、論文も高校数学程度で扱える範囲で考察を進めて書きました。しかし、素粒子の内部構造に関する物理的な描像にはそれ自体に意義がありますし、数学的な定式化も試みていて、量子論や特殊相対論の初歩的な内容の簡単なモデル化、説明ならば高校数学でもある程度は記述することができます。特にアインシュタインが特殊相対論の議論で用いた「光時計」のロジックを素粒子の内部構造に見出し、再現できたこと、偶然の一致では説明の付かないこの数学的秩序の発見は私にとって自分が考えた理論に対する自信となっています。一方、重力と運動の定式化には自信がなく、そもそも描像自体がまだ曖昧で、ただ、計算の過程はともかく結果(素領域の正負根子の存在質量とアインシュタインの重力定数の関係)には意味がありそうだったので、一応、導出過程も含めて記述を試みました。その後、書籍を出した頃とは描像を改めた部分や新しい考えはTwitterアカウントで連続ツイート『お絵描き(理論の描像の共有)』『数合わせ(理論の定式化の共有)』と題して発信しています。

暗黒エネルギーと暗黒物質の謎をまとめて解決する負物質の万有斥力という着想、素粒子の内部構造を仮定する正負根子という描像は斬新だと自負しています。素粒子の内部構造まで考えれば光速度やプランク定数に物理的な意味付けを与えることができますし、マクロ的には重力を「時空の歪み」ではなく『空間の流れ』(=『時間の流れ』)とし、物質の運動が『自己重力の偏り』によるとして重力と運動(慣性)を結び付け、電磁気力、強い力、弱い力を含む四つの基本的な力を重力に統一するという発想の転換も大胆です。科学史の観点からも暗黒エネルギーという既存の理論では説明できない事実、すなわち変則事例を研究の出発点にしたことは偶然とはいえ筋が良かったと言えます。100年前に量子論や相対論を作った物理学者は宇宙が加速膨張していることは全く知りませんでした。宇宙の加速膨張は20年程前に明らかになってきた観測的事実だからです。先の時代に生まれた者の優位性が早く研究を始めることができることだとして、後の時代に生まれた者に有利な点があるとすれば先人が知らなかった事実を知ることができるということです。その際、既存の理論の延長線上で新しい理論を創ろうとしてもうまくはいきません。ニュートンの理論にもアインシュタインの理論にも正の質量は出てきても負の質量は出てきませんでした。彼らはそれを想定する根拠となる事実(宇宙の加速膨張)を知らずに理論を作ったのだから当然です。科学革命を起こすのは若者か新参者です。既成の知識は少ないのでそれに囚われず、一方で先人が知らなかった変則事例については知る幸運に恵まれ、知識が多い専門家よりもそれに対して重み付けを与えて考えることができる者が全く新しい理論を創造するのです。実際、負の質量について『考える』ことなら高校レベルの物理(ニュートンの運動方程式、万有引力の法則)と中学レベルの数学(プラス・マイナスや文字式の計算)の知識があれば可能です。「学ぶ」ことはそれほど必要ではありません。しかし、負の質量に関する説明は高校の物理の教科書はおろか大学の物理の教科書にもほぼ出てきませんから、負の質量については「学ぶ」ことはできず、『まず自分の頭で考えてみる』ことが必要になります。ちゃんと自分で負の質量の存在を仮定して手を動かして計算してみるということをしないと、正統派の理論物理学者たちでさえも正の質量における常識を安易に適用したり負の質量は存在しないという結論ありきの勝手な仮定を置いたりして間違った認識、先入観を抱くことになってしまいます。「負のエネルギーは正のエネルギーよりも相対的に小さいのでより安定な状態である」わけではなく、『エネルギーはゼロが最も安定で、エネルギーの絶対値が大きいほど不安定である』という『ゼロエネルギー最安定則』はニュートンの運動方程式と万有引力の法則を負の質量に拡張して考察するだけで類推できることを私は論文の中で示しましたが、多くの物理学者・物理学徒が勘違いしていることではないでしょうか。(私の計算が間違っていないか、ぜひ誰か確認して頂きたいです。)

さて、物理学理論『正負根子モデル』はまだ完成には程遠いです。負物質の重力や運動に関しては既存のニュートン力学や一般相対論を負の質量を含むように拡張する(『拡張重力理論』)だけで定量的な記述に着手することが可能だと思われます。暗黒エネルギーと暗黒物質についての異なる観測的事実を負物質の仮定によって統一的に説明できるかが鍵となるでしょう。一方、素粒子の内部構造を扱う正負根子モデルをさらに探究するには間違いなく最先端の数学、むしろ新しい数学が必要になってくるはずです。私も萌芽となる数学的アイデアとして数と形、論理式とダイアグラムの両者を正負根子モデルで得た着想を基にアレンジしつつ統合した、物質系一般の表現法『ダイアログラム』を提案しています(参考: 2018.12.20 連続ツイート『21世紀の科学革命のアイデア<3>化学編』を転載します。 )。しかし、理論を完成させ、さらに検証を進めていくには弘学者一人では到底手に負えないことは確かで、物理学者や数学者といった各分野の専門科学者の協力が不可欠です。物理学は他の自然科学分野の基礎であり、物理学の新理論『正負根子モデル』は天文学や化学に加え、地球科学や生物学や脳科学にも革命をもたらします。さらに自然科学は人文学や社会科学の基礎ですから、特に『心』の問題の解決を通して諸科学・諸学問、人類社会に貢献できるでしょう。異分野の協力は必ずや実り多いものとなります。異分野を結び付けることこそ弘学者である私の一番の目標です。自らの発想、アイデアで学問と社会に貢献したいと思います。

振り返れば、大学を辞めて弘学を追究すると両親と恩師に宣言し、弘学学習を本格的に始めようとした矢先に天文学の分野で負物質の着想を得、数か月後に物理学の分野で正負根子のアイデアを思い付き、私の科学革命研究は始まりました。その後も脳科学や化学の研究に発展し、今は地球科学や生物学の研究にも取り組む計画を立てていて、自然科学と人文・社会科学との橋渡しも大きな目標となっています。私にとって最初の著書である『負物質の実在と正負根子モデル』は、私が追究する『弘学』が『科学革命』を志向するものとなる、すなわち『弘学革命』となる最初の一歩だったわけです。異分野統合による科学革命、『弘学革命』、この道を私は邁進して行きたいと思います。共に歩んでくれる学問の探究者がいてくれるとありがたいです。知的冒険の苦楽を共にしながら真理への道を突き進んで行きましょう。

論文の第6章「今後の課題と展望」の最後に書きましたが、『負物質の実在』が事実だとすれば、正物質と負物質とを相互作用(後に『共役加速』という言葉を与えました)させることでエネルギーを正負に増大させ無限に創造できるようになる可能性があります。物質が正負に新生しうるのであれば、宇宙も終焉を迎えることなく進化し続ける可能性があるのです(参考: 2018.12.15 連続ツイート『21世紀の科学革命のアイデア<2>天文学編』を転載します。 )。宇宙が滅びないならば、人類も滅びるわけにはいきません。また、論文では確率論と決定論とが共存しその間で選択が為されるとする『選択論』の考えから正負根子が自由意志の起源となる『魂子』であるかもしれないことも述べました。後に、より根源的で本質的な『無』が意志の起源であるという描像を私は得ています(参考: 2018.12.12.b 連続ツイート『21世紀の科学革命のアイデア<1>物理学編』を転載します。2019.01.30.a 連続ツイート『21世紀の科学革命のアイデア<6>脳科学編(前編)』を転載します。 )。物理学の新理論『正負根子モデル』は人間の自由意志の存在を許容できる可能性があるのです。これは断絶する科学文化と人文文化の「二つの文化」(C・P・スノー)の和解を期待させるものです(参考: 2019.01.30.b 連続ツイート『21世紀の科学革命のアイデア<6>脳科学編(後編)』を転載します。 )。人類がこの創造の力と自由意志を持つことが可能だとすれば、私たちは≪多様性≫と共に≪関係性≫も大切にしなければなりません。正根子と負根子を結ぶ調和力が両者の存在を生み出し続ける力となるように、「ムスビ」(新海誠監督『君の名は。』)、すなわち『結び』の心こそが『産霊』の力となるのです。新海誠監督の映画『天気の子』で陽菜が今日も世界のために祈るように、私も論文の言葉を繰り返します。

私たちを結び合わせる絆こそが私たちの現在の苦難を乗り越え、未来を創造する力です。私は、人類の自由意志がこの創造の力を宇宙に生まれる全ての者の幸福のために協力して用いることを切に願います。この宇宙に生まれる全ての者が未来への希望の絆で結び合わされることを心から祈っています。

正根子と負根子が調和して宇宙を形作っているように、私たちも手を結び合って生きていこう。大丈夫、この宇宙に生まれた私たちならきっとできるさ。希望の光が私たちの心の中にあるのだから。一緒に生きよう。