対策・立法状況・体制の紹介


本情報は、2022年までのリンクになります。アカ研の有志で2022年度に制度的改善を呼びかける社会活動に注力しましたが、その後、2023年3月の文科省署名提出(声明ページを参照)を区切りに、研究会としては本ページ上の情報発信の活動は停止しました。

▶︎日本の法制度

日本のキャンパスセクハラに関する法を紹介しています。

日本におけるキャンパスセクハラを規制する指針は、以下2つです。

参考: 高等教育局大学振興課説明資料 (mext.go.jp) 

1)文部省におけるセクシャル・ハラスメントの防止等に関する規程(平成11年3月30日文部省訓令第4号)

2)第4次男女共同参画基本計画(H27.12.25閣議決定)第2部-II- 第7分野-8-イ(教育の場におけるセクシュアルハラスメント防止対策等の推進) 

                                      

研究会からの補足】

・法律について

上記指針は、「違反への制裁なし」の適正対処等を定めるだけです。その他、民法上の不法行為などについては一般法規が該当しますが、日本には各国に存在するようなキャンパス安全法セクハラ防止法ありません。日本現在起きている事例参照:3. 日本の事例)からすると、この規定十分ではないと考えられます。


・キャンパス・セクハラ禁止法に関する提言  

「セクハラ加害者の処罰・使用者である大学への罰則規定」を含むキャンパス・セクハラ禁止法については、20年近く前から提言されています。(参照:キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク提言


相談先について

日本の文科省の大学ハラスメントに対し、2019年頭時点では「法務局人権擁護局が相談窓口」と案内されています。(参照:文部省におけるセクシュアル・ハラスメントの防止等に関する規程の制定について

しかし、予算や規制を含む管轄が異なり、大学に任意の是正勧告しか行えない人権擁護局が大学のハラスメント問題を実効的に解決できているのかどうかは、検証が必要な問題です。実際に、人権擁護局では対応件数・処理件数の情報は開示されていないため、評価もできない現状にあります。 



海外との比較】

海外のキャンパス・ハラスメント事例をご参考ください。

たとえば、イギリスの教育省は、スキーム策定から試験・提言まで行っています。  

▶︎整備についての報道

日本のキャンパスセクハラに関する法を取り扱った報道を紹介しています。

報告書の提出と防止策を示すことしかできていない現状

「職場と違い、大学の場合は何かしら対応すれば法的責任を問われにくい。大抵は調査委を設けて報告書をまとめて、防止策を示すくらいのことしかしていない」


根本の解決がなされないために、同じ大学でハラスメントが繰り返されてしまいます。 


「大学では、通常の職場に比べても、ハラスメントが起きやすく、かつ学生に深刻な被害を与えるという特徴があります」(吉田尚平弁護士)


①大学は閉鎖的環境にあること

②加害者となる者の権限が大きいこと

③学習環境そのものを悪化させること


以上が大学特有のハラスメントの発生理由に挙げられています。


学生にも法的保護を

立ち遅れが指摘される職場ハラスメント以上に、大学ハラスメント法規制は未整備です。


「日本はこの条約を批准できない。ハラスメントそのものを禁止する法の未整備などで、条約の定める水準を満たしていないからだ」週刊東洋経済Plus 2021.05.21記事より


労働者だけでなく、学生にも法的保護が必要です。

米タイトルIVとの比較から、法律制定の必要を指摘

日本でも教育機関でセクシュアル・ハラスメントや性暴力の問題が多く見られることから、タイトル・ナインと同様の法律を制定・実施することによって資源の拡充や意識の向上につながり、結果として日本における状況を改善できると考えられます。

日本で法律を制定する際には、学生・教職員に対して、法律の具体的な内容とその適用方法に関する研修を義務付けるべき」


タイトルナイン意見書_日本語_0124.indd (hrn.or.jp) 

特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ 「日本の教育機関における 男女平等の推進 」


政治も動き出しています


「日本版タイトルナイン」立法を目指す政党の紹介です。

女性学生が安全に勉強に取り組める環境作りは、いずれの政党も取り組む課題として、早期実現が望まれます。

▶︎海外の法制度

海外キャンパスセクハラに関する法紹介しています。アップデート予定です。

立法

アメリカ
公民権法(1964Title IX「教育における性差別の禁止」法(1972)が存在し、学生がハラスメント訴訟を起こす場合の根拠条項とされます。

キャンパス安全法 (Clery Act)1990)は、国公立私立を問わず、少なくとも連邦の補助金を得ている大学は、女性に対する性的暴行を含めたキャンパス内の暴行事件を教育省に報告し、また公表しなければならない旨を定め、大学に対してコンプライアンス体制を構築する誘因となる間接的規制となっています。

このような規制は強化される傾向があり、近年も、「女性に対する暴力防止法」(2013)が制定されています。

 

行政


アメリカ

公権力による介入措置も実効的に行われています。

2019年にミシガン州立大学学内での暴行調査打ち切りに対し、米連邦教育省が調査を行い、キャンパス安全法違反で大学に450万ドルの罰金を課しました。


イギリス高等教育規制局は2019年、国内84大学を対象に、学生局が策定した100以上の試験的枠組を検討試験的に評価した上で、キャンパス内の性的暴行・・ハラスメント・ヘイトクライムへの対処不足を指摘しました。具体的に大学は学生を守るために人材/リーダーシップ/資源面でより多くの措置をとるべきとし、「学生10,000人につき1名常勤の調査職員の雇用」を「最低要件」と定めました。


その他報道記事については、海外のキャンパス・ハラスメント事例 を参考