灰色の烏2

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夜明けにほど近い時間。森を満たす闇が、少しずつ青い色に染まっていく。

「グレイ!わたしのところへ来て!グレイ!」

クローディアの声が響く。それは叫びに近い、悲痛な声だった。

「どこにいるの?わたしのところへ来て!」

風が木の葉を揺らす。呼び声に、返事はない。

「グレイ…!」

クローディアはしゃがみこみ、顔を伏せた。

「………クローディア。」

聞きたかった、あの低い優しい声がクローディアの名を呼んだ。

「グレイ!!!」

クローディアはグレイに駆け寄った。

「遅くなってすまなかった。夜はあまり目が利かないんだ。」

「来てくれてありがとう、グレイ…。………鳥目には卵やお肉を食べるといいって、オウルが言っていたわ。」

「俺も一応鳥なんだ…。お前は俺に冗談を聞かせるために呼んだわけではないだろう。………無理をするな。」

グレイはいつかと同じく、とても優しい表情でクローディアを見つめていた。

「………オウルが死んだのか。」

クローディアは頷いた。

「オウルが…死ぬ前に………わたしの本当の両親の………」

グレイは黙ったまま、クローディアの髪に触れた。

「わたし…森を出なければならない………。わたし…どうなっちゃうの………怖い………」

クローディアの瞳からぽろぽろと涙が落ちる。

「………俺はお前の涙を数えたくて来たわけじゃない。」

クローディアはグレイにしがみついて、彼の胸を拳で叩いた。

「悪かった。俺も冗談を言うために来たんじゃなかった。」

そう言うと、クローディアに腰掛けるよう促した。

グレイはクローディアの髪を優しく撫で、彼女が落ち着くまで、傍らに寄り添って座っていた。

明け方の森の景色は、ゆっくりと、暗い青から白い光へと変わっていく。

「…クローディア」

グレイが口を開いた。

「森を出るんだ。」

クローディアはグレイの横顔を見つめた。

「森を出ても、お前は大丈夫だ。お前は俺の話を聞いて笑うことができる。

こうして誰かに甘えられる。だから、大丈夫だ。」

「グレイ、それはあなたが…」

グレイはクローディアの言葉を遮った。

「俺はお前とは違う。お前はこれから人に交わって生きていく。俺はそこには行けない。

新しい世界でも、お前は大丈夫だ。」

「そんな…」

グレイはクローディアに向き合った。

「もちろん辛いこともあると思う。そしたら俺を恨めばいい。グレイの奴ああ言っていたのに、って。

会いたくなったら呼んでくれていい。俺みたいなのは、そのためにいる。俺はお前を」

そこまで言うと、グレイは口をつぐみ、目を伏せた。

グレイは小さくかぶりを振った。次の瞬間、そこにいたのはカラスの姿のグレイだった。

「グレイ!」

クローディアが叫ぶ。

「お前は、大丈夫だ、クローディア。森を出るんだ。」

そう告げると、今度はクローディアを振り返ることなく、グレイは飛び去っていった。

日は昇り、森には朝が訪れていた。

【了】

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大好きなもの、「ミンサガ」と「グレイ」と「かぞえてんぐ」、安易に混ぜてこんなイラストを描いていました。

これをもとにtwitterで話してる間に突然誕生したお話です。

寿命の違う種族と人間とのお話、昔からよくありますが、やっぱり好きです。

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