脳内エミュレーター(その2)
他人と話すときは相手が考えていることをエミュレートし同期をとりながら話しますが、この機能を「精神エミュレーター」だとして前に書きました。そしてその機能の有無がアスペルガー障害の有無ではないかと書きました。症候群とも言いますがこれはどちらかというと結果である行動パターンのことを言うものなのでこれを使わず、原因をはっきりさせているので障害と言いました。
この話の中で多人数用の精神エミュレーターもあると書きました。これはいったいなんなのか書きたいと思います。
ここ数年にオールナイト日本が復活して夜の10時頃から放送していますが、そのなかのパーソナリティーの組み合わせにある特徴があります。女性は1人で話し、男性は2〜3人で話す組み合わせになっています。この組み合わせはたぶん長年の編成の経験上こうなっているのだと思います。
女性が数人で話すとすぐに「多人数用の精神エミュレーター」に基づいて話し始めてしまいおもしろくないのです。たとえば何かのガジェットを紹介するとき、
A子「かわいい〜」
B子「かわい〜」
C子「かわいい〜」
と言う具合に一度全員の同意をとりそれから
B子「すこし重いね」
A子「重いね」
C子「重いね」
と特徴を説明していくのですが発言の順番が入れ替わってもやはり同意をとりながら話を進めていくので時間が3倍かかってしまいます。また、全体の同意がとれる可能性がある特徴しか言えません。
一方男性パーソナリティーでは
A男「かわいい〜」
B男「どこが?」
C男「まず、A男の反応がおかしい」
というように重複無く批判的な立ち場から紹介していくことになるので、ガジェットのいろんな面が見えてきます。こういう男女の差があるのでオールナイト日本ではいまのような組み合わせになっているのだと思います。
「多人数用の精神エミュレーター」はこの女性の反応のようにグループの同調をとるためのものです。
「精神エミュレーター」と「多人数用の精神エミュレーター」が出てきましたが、アスペルガー障害の診断試験の文章がweb上にあるのですがそれを読んでみるとこの2種類を区別していないようです。ということはアスペルガー障害がないという場合でも、この2種類の一方が欠けている可能性があります。私の経験上、男性の新入社員は多人数用を持ち合わせていない場合があり、その場合は数人の会議を1時間でもおこなうとクタクタになってしまいます。もっと人が多い場合は単なる視聴者になり大丈夫なようです。
逆に1対1の精神エミュレーターを持たず多人数用だけを持っている場合が有るのではないかと考えられます。また会議でも多人数用を主に使ってしまう場合もあるはずです。
それは「会議で新しいことが決まらない症候群」とよべます。
この症候群は出席者が無意識に会議で全体の同意がとれる可能性がある範囲でしか話ができなくなる症状です。何か発言するときいったい誰にむかって話すのか定まらずに無意識に多人数用の精神エミュレーターを使ってしまい足を踏み出せなくなってしまいます。
2016年3月24日追記
「会議でイノベーションが生まれない症候群」というCMで聞いたことがあるような表現の方がより的確です。