2015-08-30

高校教育でsin,cosは不要かというFAQ

高校を卒業して以来sin,cosを使ったことがないので学ぶ必要はないのではないかという疑問をときどき見かけるので、そうではないことを説明しようと思います。

学校教育は中学までの義務教育と高校からの任意の教育があります。中学生までは全員同じことを学び、高校になると少し専門化します。また、専門学校や大学になるとさらに専門化します。このように学ぶ範囲は進学するにつれて狭くなっていきます。

仮にある一人の人が将来の職業を予測や予定して学ぶのであれば、それ専用のカリキュラムを用意することが出来ますが、それをすべての人に用意することは金銭的によい方法ではありません。そこで中学を卒業する時点であらゆる職業につくことが出来るだけの押しなべた内容の教育をおこなうようにすると金銭的に有利になります。また逆の見方をすると将来の職業を予測するには押しなべた内容の教育を行ってみてその成績で判断する必要があります。

つまり、金銭的な理由からも、個人の素性を予測するためにも押しなべた内容の教育を行う必要があるわけです。

科学的な表現をすると「最適値を知るためにはぶれが必要である」というわけで、文系的な表現をすると「知らなければ必要かどうかの判断もできない」というわけです。

高校では少し専門性が上がりますがそれでも中学同様に押しなべた内容の教育をうけます。

高校でsin,cosを習ってそのあとの進路で一度も使ったことがない人は、それが自分に合うのかどうか知ることが出来たからこそ高校の段階でそれを使わない進路を選べたわけです。進路を決定するためにも習う必要があります。苦手であれば大きな存在だと思えるのかもしれませんがさらに専門性を高めると、ごく当たり前の空気のような存在です。

余談

いろんな物理や数学系の専門書は高校の数学がベースになっていていて、その上に理論を展開しているのですが、複素数の教育が高校教育から一時期外されていた時期があり、それが原因で専門書を理解できないような事態が起きているみたいです。なんかよくわからないようなことがあれば複素数の性質を再確認するといいのかもしれません。