聴覚の個人差
sonyではオーディオ関係の設計をしている人はほとんどが面長(おもなが)な顔をしています。ビデオ系の人は丸顔も面長な顔もいますが、面長系はなぜかオーディオ趣味の人が多かったりします。この関係は結構疑問に思っていました。
ところで、よく見る耳の説明図では外耳から鼓膜までの通路である耳道はやや曲がった曲線ですが、外から鼓膜が見えるような書き方がなされていますが、耳鼻科の先生のブログによれば実際は外から鼓膜が見える人も見えない人もいるとのことです。
さらにER-4Sというイヤホンはシリコンの管を耳道が曲がったところよりもさらに奥にいれる構造になっていて特定の人にとっては音を出しながら管を奥に入れていくとフッとクリアーな音に変わるそうです。私は面長系なのですがそういうことはありません。
面長だと耳道が曲がっておらず音がクリアーに聞こえ、丸顔だと耳道が曲がっていて耳道表面で反射する音を聞いているという仮説を立てるとこの関係が説明できるのかもしれません。(耳鼻科の先生の話では顔の形と耳道の形の関係は語られていませんでした。)
さらに、音のマスキング効果というものがあり音がなり始める最初の音は正確にとらえることが出来るけれど、その後に続く音はあやふやになるという効果なのですが、後に続く音は耳道が曲がっていても直線でも反射音を含んでいるのであまり変わりませんが、最初の音は直接音であるか反射音であるかがこの効果により大きな違いとなります。
このため、生まれつき音が鮮明に聞こえる人は音に関係する職業につくことになるのだと思います。
この生まれつきの性質はER-4Sのようなイヤホンをつかえばメガネとおなじように矯正することができます。
イヤホンやヘッドホンの設計者は面長が多いのだと思いますが、丸顔のためのイヤホンを作ってもいいのだと思います。
耳道が曲がっていて直接音が聞こえない場合にどれくらいの音の違いが現れるのか計算してみました。
耳道の長さは25mm、直径7mmで最適化された形に曲がっていると仮定して計算すると反射音に含まれるジッター成分の最大振幅は2.7e-5[sec]で、37KHzの成分になります。実際に影響するのはこの半分の周波数で18.5KHzであり耳自体の周波数性能にうまくあっているみたいです。
この周波数の音波は完全に消えます。ここからずれていくと少しずつ回復していきますがわりと広範囲に影響を及ぼします。S/N比20dBぐらいまで感知できると仮定すると6KHzまで影響します。また反射波であり単一周波数ではないので複雑な形の周波数特性、時間特性として現れます。
つまり、面長と丸顔では6KHz以上の音が異なる聞こえ方をしていると言うわけです。
6KHzと言うのは思いのほか低い周波数です。3wayスピーカーの一般的な振り分けではツイーターが受け持つ領域です。
お互いがお互いにどのように聞こえているのか知る方法は、面長な人は耳栓をすればいいし、丸顔の人はER-4Sのようなタイプのイヤホンを使えばいいのだとおもいます。
丸顔の人は不利ですが視力と同じようにあきらめるしかないと思います。