「なぜ書くか」
人っていうのは、なんて孤独なんだろう。
存在っていうのは、なんて孤独なんだろう。
それなのに、よく生きてるなって思う。
自分一人を支えるだけの力が、ほんとうに人にはあるんだろうか。
わたしは一人の重さに押しつぶされそうになる。
そして書くことを始めた。
わたしが押しつぶされてぺしゃんこになる前に、
わたしだけが知っている、
わたしだけが語ることのできる、
わたしの中にだけ存在する事々を、
わたしの外に逃がしてやりたい。
わたしがいなくなるまえに。
それでわたしは書き始めた。
書けば書くほど、わたしの中の世界は深まる。
逃がせば逃がすほど、わたしの中の存在たちは数を増やす。
書かずにいられないわたしはどうしようもなく孤独だ。
そして、そんなわたしの中から、
月子が、ミミコが、犬が、鳥が、僕が、俺が、わたしが、あたしが・・・、産まれる。
彼らが存在するなら、
わたしという存在は何なのか?
わたしは夢を見たいのだろうか?
「孤独ではない」という癒しの夢を。
1999/3/23
(C)Tsukiko Yamashita