山下月子 トップへ戻る 文字'sへ戻る
「魂」
あの日
悲しみのあまり 小さな鳥となって
あなたの窓辺から 飛び立ったけれど
いつのまにか痛みすら 薄れてゆく
こうして枝に止まって
ただ夕日をみつめていると
羽の生えた魂になったような気がする
「言葉を失った恋人よ」
と あなたは言うだろう
けれど
あなたのほうだ
こんなにも軽やかな魂を
失ったのは
2007/11月 山下月子