中里社会保険労務士事務所
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ある日の国会中継から考える 平成27年9月17日(木)
9月17日、午後3時。国会では安全保障関連法案を巡る鴻池委員長の不信任動議に対する賛否討論が展開されています。この法案は、「戦争法案だ!」と言われる一方で、「いやいや国民がより安全に暮らせるようになる法案だ」と言われています。議論が噛み合いません。
私はかねてから、賛否はともかく、これだけ国会の内外で「反対!」と叫ばれる法案を強引に成立させようとする背景には何があるのだろうと考えていました。実は、国民の窺い知れないところで、戦争の脅威が、具体的な戦争の脅威がすぐそこまで迫っているのではないかとまで勘繰ってしまいます。この法律が必要な理由は何なのか。理解を得られないのはここが明確ではないからではないでしょうか。…と考えていたら、山本議員が「アメリカの圧力ではないか」と言っています。世界の警察も手に負えなくなってきたということでしょうか。
どんな力が働いているのだろう? こんな疑問を素朴に抱いてしまう場面は職場でもあります。誰もがムダだと思っていることが何となく続けられている。多くの人が得策ではないと考えていることが何となく行われてしまう…。主唱者がはっきりしているときは、その人と議論すれば良いのですが、ときには誰が唱えているのか分からない、或いは手の届かない人が唱えていることを主唱者が無批判に受け入れている場合などは、暖簾に腕押し。疑問を解消できず、消化不良になり、悶々とします。一生懸命頑張っている人であればあるほど、消化不良になり、蓄積され、いつしか組織に対する不信感となり、そのうちに離れていってしまう。または、元気のある人であれば疑問を率直にぶつけ、いわば問題社員のレッテルを貼られ、トラブルメーカーへと化していくこともあるかもしれません。ダースべーダーよろしく。
では、ここでは何が足りないのでしょうか。この場を上手にマネジメントするにはどうすれば良いのでしょうか。誰もがお分かりになることかもしれませんが、そうです、互いに真摯に向き合い議論することだろうと思います。在り来りですが。人間誰しも形はどうであれ自分を認めてほしいと考えています。無視されてモチベーションが上がる人はいません。議論の場を設けることで、目的の半分は達成できるのではないでしょうか。
そうして、大切なのは熱心に議論(意思疎通)することです。自分の主張を通すことが目的ではなく、一つの共通の目的に向かって賛否の意見を交わす。例えば安保法案で言えば、目的を「国民の安全を守る」と決めた上で(この点については、与野党とも一致しているはずですので。一致していなければ噛み合わないのも当然です)、今生じている数々の疑問に対して互いに真摯に討論し、解決していく。卑近な例であれば、経営上、給料を下げざるを得ないなどというときも同様です。ただ、この場合、ポイントになるのは「目的」だと思います。何を目的とするか。ここは経営者の資質が問われる場面だと思います。そして、その目的をしっかり表明し、減給の必要性に理解を求める。「それは困る!」という意見にも耳を傾け、互いに次善策を模索したり、どうしても譲れないところは丁寧に説明したりして納得してもらう。それでもときには決断しなくてはならないこともあるでしょう。このときでも、前提として誠意ある姿勢があれば、たとえ結果は同じであってもその後の社内の雰囲気は雲泥の差だと思います。こういう場面で経営者がぐっと頑張れるか。そして、その姿は当然社員も見ています。きっと部下や顧客にも同じように接するようになると思います。それがその社のやり方ですから。それを、批判されるのは誰でも嫌です、嫌だからといって逃げてしまうと後々大きなしっぺ返しがやってくる。そうなっては元も子もありません。何のための減給だったのでしょうか(まあ、元も子もない状況に無関心な経営者であればしっぺ返しも何のそのかもしれませんが…)。
会社は経営者の思いからスタートしています。その思いを自分の手となり足となって働く社員と十分共有できているか。思い通りに動いてくれないとしたら、それは誰の課題でしょうか。動かされる側に立って想像を膨らます、心を尽くして理解を求める、そんな姿勢が大切だと思います。何より会社の存在目的を達成する、つまり、経営者の思いを実現するために。