研修報告201109

9月の定例会における研修のまとめ

粟野藍(瀋陽市朝鮮族第二中学)

~9月17日の定例会の折、研修を行った。以下研修内容を簡単にまとめたい。~

1.中等教育機関における日本語教育

第1外国語として日本語を教えている。中学1年の前期中間試験のあと、英語か日本語かどちらかを選択する。日本語を選択した学生は、日本語が大学の受験科目となる。朝鮮族にとって日本語は学びやすい言語であることや、歴史的な背景から、以前は日本語を選択する学生は英語より多かった。しかし、ここ数年は減少傾向にある。その原因として以下のことが考えられる。

・保護者の意向で英語を選択する学生が多い

・高考の日本語試験の難易度が年々上がっている

・高校卒業後日本語を生かせる場がない

2.高考(センター試験)の日本語試験

高考の日本語試験は150点満点、そのうち作文の配点は30点である。そこで、教師会のメンバー全員で、高考の採点基準に沿って、学生の作文を添削した。その後なぜその点数をつけたのか、意見交換を行った。

「自分の意見が書かれていない」「データの読み込みが不十分」など、内容に対する指摘と、文法や語句の間違いなど、言語運用能力に対する指摘があった。作文内容と文法の正確性とどちらを重視すべきか、など活発な意見交換が行われた。

3.作文指導の方法(一つの提案として)

作文を書く場合、内容を重視すべきか、それとも文法の正確性を重視すべきか、それがはっきりしていないという状況は改善しなければならない。そして、学生にも自身の足りない点や目標を自覚させるにはどうしたらよいか。その方法の一つとして、JF日本語教育スタンダードで紹介されているポートフォリオを使用することを提案した。学生に自分の作文をまずは評価させ、それに対して教師が評価及びコメントを出す。面倒ではあるが、このような評価を繰り返すことにより、学生が自分の足りない部分を自覚し、目標設定を促せるのではないか。以下はJF日本語教育スタンダード(http://jfstandard.jp)で紹介されている「作文評価シート」である。作文のトピックや学習者のレベルによって、教師が適宜改め、使用できるものだと考える。

作文評価シート