私のとっておきの店
風間 珠実(撫順市朝鮮族第一中学)
私がご紹介するのは、中華料理暮らしで日本食が恋しくなったときにお勧めのレストランです。
【セブンデイズ】一つ目は、太原街の伊勢丹7階のレストラン街にある洋食屋さん、「セブンデイズ」です。その名の通り、1週間通っても飽きない豊富なメニューです。お値段的に実現するのは難しいそうですが(笑)。洋食屋さんと書きましたが、とんかつや親子丼などの和食も充実しています。季節ごとにメニューが変わるようで今の時期にお勧めなのがグラタンです。ちょっとお値段が張りますが、日本と変わらない味を楽しめるので私は自分へのご褒美で食べに行きます。
日本と変わらないと言えば、接客。いや、全く同じとは言えませんが、日本的な接客と言えばいいでしょうか。少なくともここが中国というとこを忘れさせてくれる空間になっています。同期隊員が遊びに来て「日本食が食べたい」と言った時はここへ連れて行きます。
予算は、40元から100元くらい。中国価格になれると「高い!」と思うかもしれませんが、たまの贅沢にぴったりのお店です。それから中国は一人で入れるお店が少ない気がしますが、ここは気兼ねなく入れますよ。また、デザートメニューやコーヒーなどの飲み物の種類も豊富なのでカフェとしての利用もお勧めです。入口には日本の雑誌や瀋陽のフリーペーパーがあるのでチェックしてみてください。
【和かぼちゃ】つづいて二つ目にご紹介するのは、比較的新しい「和かぼちゃ」というお店です。場所は太原街から歩いて10分くらいです。3階建てになっていて、1階はお寿司屋さん・2階が居酒屋・3階は個室?になっているようです。階ごとにテーマが違いますが一つのお店なのでどこの階でも同じメニューが頼めます。
1階は回転寿司か?と思いきや、回っているのはサンプルのお寿司です。カウンター席があるので一人で来た時にお勧め。2階は日本の居酒屋と同じです。お客さんの多くは瀋陽で働く日本人や留学生のようで本当に日本の居酒屋にいる錯覚に陥ります。混雑時の騒がしさも日本と同じなので静かに食事がしたいのなら食事を外したりした方がいいかもしれません。3階は行ったことがないのですが、個室になっているそうです。予約が必要かもしれないのでご利用の際は確認してみてくださいね。HPを見たら忘年会や新年会の予約も受け付けてているようです。
メニューはサラダから始まり、枝豆や漬物などのおつまみ係、揚げ物・焼き物・締めの麺類・ご飯係まで一通りそろっています。私は日本の居酒屋によくある“たこわさ”が大好きなのですが、これが中国で食べられるとは!メニューを開けば、懐かしい日本の味が見つかるはずです。きっといろいろ頼みたくなるので大勢で行くのがお勧めです。やはりお値段は張りますが、日本人得意の割り勘で怖くない!(笑)
予算は、100元くらいでしょうか。頼むものと量によってだいぶ変わると思いますが、以前女性二人でおなかいっぱい食べても一人分は100元を超えなかったと記憶しています。はっきりと値段を覚えていなくて申し訳ないのですが、日本食の割にはそんなに高くないなあという印象でした。
最後に付け加えたいのが、ここの接客です。ほとんど日本語が通じますし、入り口でドアを開けてくれたり、椅子を引いてくれたり。一生懸命日本語を話す店員さんもかわいらしいです。場所が説明しにくいので住所と地図を載せておきます。(住所:瀋陽市和平区北二路84号)
知っているようで 知らない名前
大山 あゆ美(東北育才外国語学校)
ある日、ふと気になったことがあります。「お風呂で体を洗う時に使う道具、あの名前はなんだろう」私の家では体を洗う時、タオル状のもので洗います。タオルよりもゴワゴワしていて、背中など、かゆいところが程良くかける、そんな細長い布です。我が家ではその布のことを“体洗うが”と呼んでいます。ちなみに私の実家は富山県で、富山弁で『〇〇が』は『〇〇奴(やつ)』というような意味です。実家では誰かがお風呂に入る時必ず、『体洗うがどこけ?』とか『体洗うが持ってきてー』というような会話がなされます。
今までの人生、わたしはこの“体洗うが”ということばを何の疑いも持たず使ってきましたが、ある日、ふと、なぜか思ったのです。「あの名前はなんだろう」
気になった私は、友人たちにこう質問してみました。『お風呂で体を洗う時に使う道具、なんて呼んでいますか』と。やはり私の期待通り、家庭ごとに様々な呼び名があることが判明しました。
一番多かった答えは、“体洗うタオル”でした。次いで“体洗うやつ”。富山県出身の友人に聞いたところ、“体洗うが”と呼ぶ家庭が多いようです。そのほか、“ボディタオル”や“お風呂のタオル”“泡立つタオル”、さらには“健康タオル”や“ゴシゴシ”と呼ぶ家庭もあるそうです。
私の友人にはちょっと変わった人が多いので、ちょっと変わった調査結果になっているかもしれませんが、この結果を通じて分かったことは、あの体を洗う道具の正式名称を知って使っている人は、少なくとも私の周りにはほとんどいないということでした。みんな口をそろえて、『なんだろう…体洗うやつ…かな』といった反応でした。
またある日、インターネットでこんな記事を読みました。「『を』という字、『お』と区別して呼ぶときにどうやって呼ぶか」というものでした。私は小さい頃から『お』は“大きい『お』”『を』は“小さい『を』”と呼んでいました。これが当たり前だと思っていました。しかしその記事では“下の『を』、上の『お』”“重たい『を』軽い『お』”などと呼んでいると書いてあり、かなり驚きました。これは地域によって呼び方に違いがあるらしいです。
私たちの身の回りの物事は、だいたいちゃんとした名前、辞書に載っている名称で呼ばれていますが、探してみれば案外身近なところに、曖昧な名前があるのだなと思いました。仕事柄、いつ学生から「『を』はなんと呼びますか」や「お風呂で体を洗う道具は…」などと聞かれてもいいように、正式な名前を調べておく方がいいとは思うのですが、なんだか自分の中で、このまま知らないままで残しておきたいという気持ちが大きいので、正式名称は調べないままでいたいと思います。興味のある方は、ぜひご自分で調べてみてください。これを読んでいる学生のみなさん、自分で調べることも学習の一つですよ。
知っているようで知らない名前。それを使う人の生活や人生が、ちょっとだけ垣間見えるような気がして。これからもいろいろ探してみようと思います。