ヌルヌルの科学
ヌルヌルしたものを研究対象とした科学がありうるかどうか、あるとしたらどういうものになり、どのような研究対象がありうるかを、ここに記していこうと思う。
こんなものを書こうと思ったきっかけは、以前よりギボシムシの粘液とその分泌機構に興味があって、折があるごとにチョコチョコ調べていたからだ。幸い研究成果の一部は、ギボシムシのゲノム解読論文に掲載することができた。そのあとtwitterでMasa-aki YoshidaさんやNorioMさんとやり取りをしていてふと出てきた会話で、実はヌルヌルというのは生物学の大事な一分野たるのではないかと気づき、少し文章にして起こしておこうと思ったというわけだ。
とりあえず話題に出た項目と、ヌルヌルな生物を書いておこう。
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<後生動物>
ギボシムシ
ヌタウナギ
ナメクジウオ
ナメクジ
オオヘビガイ
イカ
<植物>
ジュンサイ
<真菌>
ナメコ
<菌>
単細胞藻類のヌルヌルに共生するバクテリア(深海メタゲノムなどの研究対象として)
その他に出たコメントは
「EGFやFGFの一部はヘパリン結合性」
「ヌルヌルひとつで再生もだいぶ変わる」
「ぬるぬるは傷口に塗って保湿するために医療関係で注目」
「ギボシのように<ヌルヌルが>抗生物質<が>入って<いる場合も>」
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アレロパシー / Allelopathy / 他感作
アレロパシーとは植物などが二次代謝物を発することで、他の生物に影響を及ぼすことをいう。アレロケミカルはそのアレロパシーの実態としての化合物のこと。Molisch によるアレロパシーの定義は、微生物をも含むすべての植物相互間の生化学的な関わりのこと、である。動物ならばホルモンというところだろうが、粘液などに含まれる化合物が他の生物に影響を与えるとしたら、アレロパシーの方が近いようにな気がする。ヌルヌルのアレロパシーは一つの研究分野になりうると思う。
アレロパシーについての良さげな教科書として、Elroy L Rice著 "アレロパシー"がある(八巻, 安田, 藤井共訳、学会出版センター)