第四十九回 広島CBT勉強会

●日時: 平成26年2月18日(火)19-21時

●場所: 広島大学霞キャンパス 臨床講義棟 1階 第4講義室

●講演その1;竹林由武先生(広島大学大学院総合科学研究科)

タイトル;『心理的ウェルビーイングが全般性不安症状の増悪を防止するプロセス』

概要;現在,全般性不安障害に対する認知行動療法は,症状の改善に対して有効性が示されていますが,治療終了後のフォローアップの期間では,約半数近くの患者さんが回復に至っておらず,治療終了後に症状の増悪を防止する介入を付加的に行うことの必要性が指摘されています。

そのような介入方法の一つに,心理的ウェルビーイングの向上を目的とするウェルビーイングセラピーがあります。心理的ウェルビーイングは,人が目標に向かって努力し,充実した人生を送るために必要な心理機能を反映します。

私の博士論文では,全般性不安症状が増悪するプロセスに対して心理的ウェルビーイングがどのように影響を与えるのかを検討しました。今回の発表では,博士論文の中で行った研究のいくつかをご紹介させていただき,心理的ウェルビーイングを向上させることが,全般性不安症状の増悪防止においてどのような役割を果たすのか述べさせていただく予定です。今回の発表が,全般性不安障害を抱える患者さんに対するアプローチを改善•向上させる糸口となれば幸いです。

●講演その2;田中圭介先生(広島大学大学院総合科学研究科)

タイトル;『過剰な心配に対するマインドフルネス・トレーニングの作用機序』

概要;心配は,不安障害患者や高不安者に見られる症状の一つです。近年,心配に対して,マインドフルネス・トレーニング (以下,MT)が有効であることが指摘されています。マインドフルネスとは,一言で表現すれば,その瞬間の自分の体験に対して全力で集中することです。しかし,一重に“注意を集中する”といっても,一つの活動に没頭したり,複数の体験に同時に注意を配分したりなど様々な形があります。

本発表では,①MTにはどのような注意が関わっているのか,②MTのエクササイズの種類によって,心配への作用プロセスに違いがあるのかといった観点から,私の研究成果をご報告させていただきます。