第三十三回 広島CBT勉強会

●日時: 平成24年4月17日(火)19-21時

●場所: 広島大学病院外来棟 3階大会議室

●症例検討会

症例提示;岡田祐典先生(リフレまえだ病院)

症例概要;『EMDRを用いた解離性同一性障害の事例』

EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理)とは,外傷的な記憶の映像,認知,感情,身体感覚といった情報に焦点を当てながら眼球運動,音,タッピングなどの両側性刺激の提示を行い,外傷記憶の処理を行う心理療法である。

外傷記憶の処理に有効性が認められているEMDRであるが,Shapiro(2001)はその著書で解離性障害への安易なEMDRの適用の危険性を訴えている。眼球運動の使用が治療的に早過ぎると,解離障壁の透過性亢進が早まる危険性があり,そのために人格システムの氾濫,制御不可能な不安定,自殺や殺人の危険性の増大が生じる可能性があるためである。また,この種の臨床群に属するクライエントは,活性化された記憶が変化しないままになりやすい傾向を持つため,より高度なEMDR手続きが必要になる。