外界からの刺激に対して、個体がどのように応答し変化するかを調べる学問のことを生理学と言います。研究対象が植物であれば植物生理学、動物であれば動物生理学と分類されます。
動物であれば、外界からの刺激に対する応答として、運動や行動が対象になることが多いです。この場合、外界からの刺激というのは、光や音などの感覚刺激はもちろん、ストレスなども含まれます。
これに対して、動物の行動変化を神経伝達の観点から理解しようという学問のことを神経生理学と言います。この場合神経というのは、筋肉や臓器を動かす末梢神経のことでもあり、末梢神経に司令を与える中枢神経のことでもあります。
脊椎動物の場合、中枢神経というのは脳・脊髄に相当します。脳の中では、ニューロンと呼ばれる神経細胞が互いにネットワークを形成し、外界からの刺激を情報処理し、どのような行動を行うかを決定していると言われています。
神経生理学では、ニューロンが脳の情報処理の中心であるという立場をとっています。ところがニューロンのネットワーク活動だけでは説明のつかない事象が数多くあり、ニューロンだけで個体の行動レベルを説明するのは困難です。結局、神経生理学においてもミクロとマクロの隔たりがあります。