四段審査論文Ⅱ

「初心者の稽古法」

 宮崎合気道会 大塚厚子

 初心者はまず前後の受身を単独稽古しますが、初めての人は恐怖感があったり、柔道のそれとも違うので、習得するのはなかなか困難です。

 肩から腰への対角線で回れるようになるまで、手本を示したり、コツを教えて、苦手意識を持たせないように指導する必要があります。受身は技の中で出来なくては意味が無いので、基本技での受身を覚えてもらいますが、慣れる事が目的なので、取りは受身の動作を確認しながら技を掛けます。

 自分の経験からも、受身がとれるようになって初めて技の稽古が成立するとさえ思うので、繰り返し、時間を掛けて上手くなっていただきたいと思います。

 次に攻撃の仕方を覚える事も重要です。腕だけを振ったり、お尻が残りがちなので、姿勢を整え、腹で攻撃する事が出来るようになるのが目標です。

 攻撃や受身は難しいので、初心者は流れを覚えるのが大事です。これは基本技についても同じです。姿勢も動きも、日常生活では経験することが無いので、手本を良く見て、模倣するしかありません。

 従って手本を見せる人は、基本通りに技を掛け、受けをする時は初心者を導きながら、技を作る事に徹します。

 有段者には自分なりの形や癖がありますが、初心者の相手をする時は、誰から技を掛けられても同じ技だとわからなければなりません。技の名前と一連の流れ、用語を覚えてもらう為に、相手をする人達は言葉と動作の関係を同じにします。事前に先生の指導を受け、意向を確認し不一致が無いようにする事が重要だと思います。

 形に忠実な稽古を繰り返す中で、基本技に含まれる要素が総ての技の要素である事、簡単だから基本技とされているのでは無い事を知ってもらい、目的の違いがあっても、それぞれに合気道を楽しんで欲しいものです。