第3回目の道場長インタビューです。
今回は、合気道の技術を中心に伺いました。(広報部)
問:当道場の合気道の特徴について教えてください‥
姿勢の正しさを特に重視していることが特徴です。
古来、日本は戦国時代など戦いに明け暮れてきましたが、いつ死ぬかわからない戦いを通じて、常に人間本来が持つ機能を十分に発揮できる状態にありたい、そのような願いが起こってきたと考えられます。そうでないと死にきれない、十分に力を発揮する前に殺されたのではやりきれない‥、そのような思いから武術というものは生まれたのだと思います。
そんな中、人間本来が持つ能力を十分に発揮できる状態とは何かが研究され、結果、その鍵は姿勢の正しさにあることに気づいたのだと思います。このような理由から、日本武道は特に姿勢を重視しているのだと考えられます。私自身、個々人の能力を最大限に発揮できる状態をつくるには第一に姿勢の正しさが必要だと考えています。
問:確かに姿勢は大事だと思います‥
この正しい姿勢のことをヨガの世界では聖なる姿勢と呼び、「クンバハカ」とか「クンブハガ」と呼ばれていますが、近年では、統一体とか心身統一体、自然体や超自然体などと表現されているようです。この姿勢が、その人の能力を最大限に発揮できる姿勢です。脳や肺、その他の内臓諸機関の位置が正しく一番活動できる状態になり、脳の電気信号が神経に円滑に流れ、重心が体の中心(丹田)に位置し、精神が最も安定している状態をつくる。脳も神経も筋肉も内臓も精神も最も良い状態、まずは、この最大限に能力を発揮できる状態の姿勢を正座でつくることからはじめています。
問:なるほど‥
困ったことに、私は常に万全の状態でいないと不安になる(笑)気質の持ち主です。このため、姿勢が少し崩れただけでも気分がブルーになる‥、このような理由から、心をいつも晴れ晴れとさせたい一心で姿勢について研究してきました。この気分というものは、ある時は矢でも鉄砲でも飛んで来い!の時もあれば、人と顔を合わせるのも嫌な時もある‥。またある時は、超難題の仕事が舞い込んできて他の人が尻込みする中でも、「俺に任せろ!」という時もあれば、避けてとおりたい時もある‥。これはいったいなんなのだろう? そのような疑問が昔からありました。
問:理解できます‥
結局、気持ちが暗くなったり、後ろ向きになったりするのは、生命エネルギー(気)の不足により生じる気力減退が原因です。分かりやすく言えば、単に持っている気の量が赤字になっている状態。例を挙げると二日酔いというのは、深酒によるアルコール過剰摂取により生命エネルギーが急激に減少した状態です。私の場合、強烈な自己嫌悪に陥ります‥(笑) この生命エネルギーが減少すると性格が陰気、考え方が後ろ向きになります。これが自己嫌悪の正体。逆に生命エネルギーが復活すると勇気倍増、困難な問題が生じても動じることなく「俺にまかせろ!」という気分になるから不思議です。
問:とてもよく理解できます‥
若い頃は、持って生まれた「元気」がありますので、あまり意識することはないと思いますが、元気を失いがちな年齢の人は理解できるのではないでしょうか。しかし、この生命エネルギーを後天的に補う方法があります。これには、食事、日照、清浄な空気環境、そして正しい姿勢での呼吸が必要です。分かりやすく言えば、呼吸法や気功法のことです。そして、この呼吸法や気功法というものは、正しい姿勢をとらない限り、正しい効果が生じません。逆に言えば、正しい姿勢であれば、あまり呼吸を意識しなくても勝手に効果が生じます。
問:正しい姿勢ですか‥
ここで重要なのが、人という生き物は「充電できるアンテナを持った生命体」だということ。「充電できるアンテナ‥」とは姿勢の正しさということです。ここに充電できる鍵があります。「このため正しい姿勢とは何ぞや」となるのですが、正直、皆さん、骨格、肉付き等々が異なりますので、正しい姿勢とは人それぞれ多少は異なっています。共通しているのは重心が1カ所に集まり安定していることです。その姿勢で無心になれれば充電が始まります。
問:充電ですか‥
充電状態のバロメーターは、「気持ちのよさ」です。「快感」ともいえます。ここが体験できれば、きっと止められなくなると思いますよ。仕事、家庭等々のストレスでエネルギーをロスすることがあると思いますが、正しい姿勢で無心に至れば、エネルギーが充電されるため、いつの間にか「取るに足らない問題」だと思えるようになってきます。気が強くなっているのですね。これは事実ですが不思議ですね。
問:とても気持ちが良いのですね‥
はい、そして大事なのが、「幸福感」をしっかり味わえることでしょう。江戸時代の方々にとっての禅や瞑想の意味は悟りを開くためだったのだろうと思いますが、本当は、この幸福感を味わうため、または、養生(健康づくり)のためにやっていたのではないでしょうか。
問:はい
結局のところ、人間とは重力に対して垂直に正しい姿勢をとり、心身共にリラックスすることで勝手に生命エネルギーを充電する機能を持った生き物なんです。瞑想や禅、そのほかの行法により、付随的に健康等が様々な面で好転する場合があるのは、このような理由だと考えています。この生命エネルギーが増加することで、心や身体の問題、人間関係、その他社会的な問題等々、多くの事が解決する場合があります。その鍵が姿勢です。このような理由から当道場は正しい姿勢を最も重視しています。
問:子供クラスでは、毎回細かく指導されていますね‥
はい。子供クラスでは、足はこうで、頭のてっぺんが引っ張られていて、眉と眉の間を緩めて‥など、より細かに具体的に指導しています。うちの子供たちは姿勢がいいですよ。自慢です。毎回の稽古時にやるので癖になるようです。また、男の子には、イチロー選手など有名なスポーツ選手を例に挙げて、姿勢が正しいほうが強く能力が上がることを理解してもらい、女の子には、モデルやアイドルを例に挙げて、姿勢が良いほうがより美しくなれることを理解してもらっています。
問:ほんの少しの姿勢の違いが、実は大きな違いなのだと思うようになりました‥
この重要性について、なかなか理解していただけないのが残念ですが、先ほど話しましたが、実は姿勢を正すことで、付随的に様々な悩みが解決するといったら言い過ぎでしょうか。それぐらい大事なことだと考えています。なお、これは、合気道の諸手取り呼吸法で実験できます。姿勢が正しくないと絶対に投げられないし、姿勢を正すと絶対に投げられなくなる。姿勢が正しい方が物理的に強いのだとはっきり理解できます。そして大事なことは、物理的な姿勢は精神状態に直結します。物理的な姿勢が整わないと精神が安定することはありえないですね。
問:確かにそう感じます‥
合気道の面白いところは、いくらテクニックばかり訓練しても統一体を得た人には決して及ばないということです。技術というものは必ず破られるものです。実際のところ、多大な力には、生半可な技術では対抗できないものです。脱線しますが、このような理由から、その力を抜いてしまう技術的な合気は秘密にされるのだと思います。
以上のことから、まずは、統一体を目指して、姿勢を整えて大きくゆっくりと丁寧に稽古することが最速の上達法ではないかと考えています。そのためには、私の提唱する「合気の舞」を楽しみながら稽古することが一番の早道だと思っています。
問:統一体に至るとどうなるのですか‥
日本人で太極拳の達人と呼ばれる方が、ある本で、「丹田ができたら急に相手が軽くなった気がした‥」と述べられていましたが、私もまったく同様の体験をしています。25か26歳ぐらいの時ですが、呼吸法を行なっていた時期に下っ腹がカチコチに固くなった経験があります。実際に叩いてもらってもなんともない‥。これはいったいなんなのか理解できずに、武道の先輩などに聞いてみましたが、「病院に行ってみたら‥」などと言われる始末‥(笑) この時期は、勇気凛凛、元気いっぱい、矢でも鉄砲でも持ってこいの勢いでした。これが私にとっての統一体への入り口の経験だったのだと思います。
問:はい‥
この状態で合気道を稽古しましたが、「本当に他人が急に軽くなった感じ」がして驚きました。それまで苦手だった呼吸投げもビューンとかかる。他の技も抵抗されても関係なくかかりだす‥。威力が急激に上がってしまったので怖くてゆっくりやらないと危ないことに気づく‥。特に天秤投げなんかは軽くやってもギューンと錐もみ状態で飛んでいく(笑) ここで初めて合気道は実は怖い武道なんだなと気付きました。入身投げなんかはちゃんと投げると危険すぎますよね。頭を打たないように注意しないと‥、そう思うようになりました。
問:そのような期間はどれくらい続いたのですか‥
下っ腹がカチコチに固くなった期間は、1ヶ月程度だったと思います。その後、いつの間にかその感覚はなくなりました。その代わり、丹田を自覚することができるようになりました。これがよかった。その時には、なぜ丹田が自覚できるようになると威力がでるのかが理解できてはいませんでした。不思議だなー、そんな感じでしたね。なお、武道では、よく丹田という言葉を使用しますが、自覚出来ている人は意外に少ないように思います。
問:具体的にどうすれば‥
まずは、物理的にしっかりとした姿勢をつくり、次にこの姿勢を維持しながらゆっくりと動きます。具体的には、正しい姿勢を崩さずに歩法や一教運動などの単独動作を行います。これができたら、ようやく相手をつけて稽古する。相手がいても一切姿勢は崩さない、このような稽古がとても大事だと考えています。まずはその人の最大限の能力の発揮、そしてそれをいついかなる時にでも維持する。この鍛錬を一生続けることで、その人の一生は最大限の能力を発揮できた人生となりえます。そこに後悔はありえません。子供たちにも「この道場に縁があったからには、一生正しい姿勢で生活しなさい」と諭しています。合気道の技術を覚えるより重要なことだと思います。
問:丹田も関係ありますか‥
はい。丹田(下丹田)というものは、物理的な重力の集約点です。上半身の重みが集約される一点、このため正しい姿勢の持ち主にしか丹田を自覚することはできないと思います。逆に言えば、リラックスして正しい姿勢をつくることで自然と丹田が自覚できるようになるはずです。自覚する方法としては、きちんとした構えの姿勢をつくりリラックスします。他の人から身体を押してもらいます。きちんと力が抜けていれば、無意識に姿勢を崩されまいとお腹(丹田)で踏ん張るはずです。その中心、頑張る芯のように感じる場所、そこが丹田です。
問:武術はなぜ丹田を重視するのでしょうか‥
それは、武術的には、火事場の馬鹿力を発揮できる鍵、相手のレーダーに気づかれない力を発揮する鍵、そして、最少にして最大の武術的効果を発揮する鍵になるからです。さらには、健康的には、丹田を中心とした身体運動を繰り返すことで、内臓諸機関によい影響を与えることや無理のない身体運動になることから、結果的に健康長寿につながるからだと思います。
問:なるほど‥
丹田は、昔から諸道・諸芸のコツと言われていますが、確かにそうだと思います。全ての身体運動が丹田を中心に行われることで、その人自身の最大限の身体能力が発揮できるようになるからでしょう。
問:呼吸力とも関係ありますか‥
合気道の呼吸力には様々な定義がありますので一概には言えませんが、私の考える呼吸力とは、身体の中心から発する金剛力、いわゆる中心力や丹田力の別名。そして、その爆発力を活用したタイミング力のことです。「呼吸力」の呼吸とは、「その呼吸(拍子・タイミング)だよ」の呼吸だと考えています。そして、この力を発揮する鍵が丹田にあると考えています。
問:柔かな力のことを呼吸力と表現される先生もいらっしゃいますね‥
私の場合は、柔らかな力や“のれんに腕押し”的な技法のことは、あくまで「柔(やわら)の力」と表現しています。特に“のれんに腕押し”的な技法について、よく合気と混同されますが明確に異なる技術です。これは、古流柔術において用いられてきた力の使用方法で、時と場合によっては効果的な力の使い方になりえます。もちろん合気道にも必要な技法の一つだと思います。
問:大東流の佐川師範の言葉で有名な透明な力については、どのようにお考えですか‥
そうですね‥。私の考える透明な力とは、「○○○○○○○」のことです。これは、全身が弛緩しないと使用できませんし、体感もできません。この理解が進めば、確かに大きな力を発揮することや敵の力を抜くことが可能となります。ちょっと発想が違いますね。
問:敵のレーダーに察知されない力の使い方については、どのようにお考えですか‥
「敵のレーダーに察知されない力の使い方」のことを「透明な力」と表現される方もいらっしゃいますが、私の考える透明な力とは別物です。ただし、これも有効な技術です。しかし、これらを複合的に使用することも可能ですので、一般的には混同されている場合が多い気がします。ただ、補足しますと上記の「○○○○○○○」を使えるようになればレーダーに察知されない力と同じ力が発揮できるようになりますので、結果的に同じことだとも言えますね。
問:脱力は必要ですか‥
最終的に必要です。しかし、正しい姿勢ができていない段階で力を抜いても、腑抜けになって弱くなるだけです。まずは正しい姿勢をつくることが大前提で、それができて初めて全身の力を抜いていく、そして、最低限の力で立つ、思考回路も縮小させ脳も緩める、心はすべてをゆだねる・おまかせ・まかせる的な気分でリラックスする‥、これが本当の自然体です。
問:その武術的効果は‥
もちろん武術的な効果も高いです。まず、威力が全然違う。重心が安定することから、突然技がうまくかかりだすので、急に上手になった気がします。そして相手が急に軽くなったと自覚できることでしょう。さらには、精神の安定から相手の心の兆しを感じることができるようになり、全てにおいて先手を打つことが可能になります。いわゆる直感も冴えわたりますので、間違いをおかすことがなくなります。自然体の人は絶対にだませませんね。なんとなく違和感を感じてしまうものです。このため、普段の稽古では、常に正しい姿勢を意識し、大きくゆっくりと自分の姿勢を崩さずに相手の姿勢・バランスを崩す稽古を続ける。これが稽古の主体となります。
問:健康的には‥
最も重要なのが健康的な効果です。人間は年齢を重ねるたびに持って生まれた生命エネルギーが減少していきます。いわゆる気力の減退というものです。しかし、人間は姿勢を整えて意識のスイッチを切り替えると気力を充電することができる生物であり、この気力の減退を後天的に補うことができます。いや実は、意識のスイッチの切り替えさえ必要ないのかもしれません。よく考えたら正しい姿勢で立っているだけで気力が湧き上がってくることもありますね。例えば本屋で立ち読み中に身体がカーッとしてきて汗が出てきたりすることがあります。こんなことは、私の中では日常茶飯事なので、当たり前になっています。
問:それでは合気とは‥
合気道で言うところの精神的な合気と武術で言うところの技術的な合気とはニュアンスが異なります。‥がしかし、最終的には一致するというのが私の考えです。技術的な合気とは剣術上での合気を体術上で表現したものです。ある方が言った「敵の力を抜く技術」というのは、言い得て妙だと思います。上手い表現ですね。しかし、あえて本質を分かりにくくしている感じもします。実は、もっと分かりやすく表現することも可能なのです。あくまで、私の考える合気ではありますが‥。
問:‥正直ピンときません‥
こういう話はいかがでしょうか。例えばAさんとBさんが闘うことになりました。Aさんは戦闘能力が100、Bさんは110です。戦闘能力とは、戦いに必要なパワー、スピードというところ。Aさんは、ウェイトトレーニングやサーキットトレーニングなどで戦闘能力を10以上増加させることで闘いに挑むはずです。Bさんも同様にトレーニングを行い、さらに戦闘能力を増加させて闘いに臨みます。これが一般的な考えだと思います。
問:普通はそうですよね‥
実は、合気道を含めた高級な日本武道はそのような闘い方はしません。自身の戦闘能力を向上させることなく、敵に勝利するもう一つの方法があるからです。発想が違うんです。
問:どういうことですか‥
闘いに勝利するために必要なものは、あくまでパワーとスピードです。
問:そうですよね‥
もう一つの方法とは、自身の戦闘能力を可能な限り維持しながら、敵の戦闘能力を引き下げることで勝利する方法です。例えばAさんは、自身の戦闘能力100を維持しながら、Bさんの戦闘能力110を瞬間的に99以下に引き下げて勝利するという技術です。私の場合は、この敵の戦闘能力を瞬間的に引き下げる技術を合気と表現しています。
問:はい‥
このようなことが可能ですので、日本武道は死ぬまで稽古ができますし、体力のない女性や子供にもできるのです。そして、実はものすごく単純な原理でできている。日本武道の奥の深さは凄いですよ。日本文化の誇りだと思います。
問:残念ながらピンときません‥
当会の指導者クラスのメンバーに対しては、既により具体的に伝えてあります。後は各自が工夫すれば進化していくと思います。ちなみにこの技術は、真面目な人ほど気がつくことが出来ない気がします。逆に遊び心のある人ほど気づく可能性が高いのではないかと思いますよ。
問:ますますピンときません(笑)‥
私の考える合気とは、本来は誰でも使用可能な技術なのですが、ある事情から一般の人は発揮できなくなっている能力の使用が必須となりますので、その部分をクリア出来さえすれば理解できると思います。
問:どのようにして‥
タイ捨流剣法に金剛王寶剣というものがあるのですが、その口伝から閃くものはあったのですが、具体的にどう使えば良いか分かりませんでした。しかし、その後、ある事件に遭遇したことで直感的にも体感的にも理解することができました。面倒な事件に巻き込まれましたが、面倒かつ危険な事態に逃げださなかったことが結果的によかったですね(笑) 今では、とても大事なことを教えてくれたと感謝しています。
<参考>
タイ捨流極意の剣「金剛王寶剣」。この剣は、「金剛ハ火ニ入ッテモ溶解セズ、水ニ入ッテモ溺レズ、古今ニ渡ッテ不変ノ強ミヲ云フ。王寶剣トハ天子ノ天下ヲオ治メ給フ御剣也」と伝えられている極意の剣です。この剣についての具体的な口伝が残っていますが、私は合気を別の表現で述べたものではないかと考えています。
問:先生はどのような合気道を目指されているのですか‥
新陰流の理合「転」について教えていただいたことがありますが、転とは、「自身の中にすばらしい働きが元々備わっており。それが太刀を執った時に、そのまま現れ、それは刀法の理に自ずと適い、敵の千変万化の働きにも自在に応じ制すことができる。」という境地のことです。そして、「転を自在に発揮できる境地を『神妙剣』とも呼びます」が、私の合気道は、このような境地を目指しています。
問:深いですね。しかし、面白いところですね‥
私は、このような宗教・哲学の境地と武術の境地の一致が顕著に表れている所に惹かれます。多分、このような考え方がなければきっと武道をやめていると思います。私の場合は、やる意味が見いだせなくなっている、そう思います。好きなのでやっているのには違いありませんが、実はその根本に「神様に近づくためにやっている」という意識が強くあります。
幼少の頃(幼稚園?)に何故か父を見ていて、「生きると言うことは、神様に近づくためなのだ‥」とふと思ったことがあり、現在もその考えに基づき生活しています。悩んだときは、「この場合、神様だったらどうするだろう?」というのが判断指針となっています。
問:はい‥
結局のところ、現在の私の武道のテーマは、「仮に神様という高次元の意識をもった存在がいて、もし私に、その神様が憑依した場合は、この心と身体をどのように使用するか。きっとこの心身を最高度に発揮させるパフォーマンスをするだろうな‥」といったところです。現代版の神道流と言えるのかもしれません。
問:最後に‥
呼吸法や気功法というのは、生命エネルギーの赤字を補てんするためのものであり、その重要なコツがこの姿勢にあります。話は長くなりましたが、当会の特徴は、姿勢を正しく整えることで、心と身体を健康に、いや強健にしていくことにあります。
しかし、あまり知られていませんが、この養った気というものは、心の状態と密接に関係しており、例えば、本心や良心に恥じる行動をとってしまった場合などには、せっかく養った気が急激に減少していくという性質を持っています。気は養うだけでなく、倫理・道徳に基づいた生活を送らないと全く意味をなしません。そのような意味でも、しっかりとした生活基盤を築き、日常から、「本心・良心にもとった言動は絶対にしない」という心がけが必要になってきます。
私も修業中の身です。会員の皆さんと共に無理のない範囲で成長していけるよう努めてまいりたいと考えています。
(広報部)ありがとうございました。
道場長インタビュー4につづく