FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources、ファイア)は、保健・医療のプロセスに関する情報交換で使用される、一群のリソース(情報素材)を定義します。リソースの特徴は:
基本となるリソースの定義に加えて、FHIR では、RESTful環境、メッセージ交換、主に人が読む前提での診療文書およびエンタープライズSOAアーキテクチャーにおける、これらのリソースの利用をサポートする軽量な実装フレームワークを定義しています。それぞれの手法にはそれぞれの利点があり、FHIRは、これらの実装手法のうちからひとつを選ぶのに伴う負担をなくし、保健・医療機関が、他の実装手法との相互運用性を犠牲にすることなく、目的にあった情報交換の実装手法を選ぶことができる状況を提供します。
リソースは、簡潔で理解しやすく定義されていますが、徹底した世界中の現場からの要求事項収拾と公式なモデル化プロセスに裏打ちされているため、リソースのコンテンツは安定性・信頼性の高いものとなっています。リソースのコンテンツは堅牢なオントロジーを下敷きに(RDFを含む)計算機処理可能な言語で記述されているので、リソースの定義やコンテンツは、計算機による分析や変換プロセスを通じて、更なる応用が可能です。
FHIRは、さらに、コンフォーマンスのための基盤となるフレームワークとツール群を提供することで、異なる実装環境や保健・医療機関において、リソースの前提条件や利用方法を正式な計算機処理可能な方法で記述することを可能にし、コンフォーマンスと機能定義の両方のフレームワークを活用した計算機による自動処理での相互運用性を実現します。
リソースと、3層からなるサポート階層(実装フレームワーク、定義の完全性、コンフォーマンス・ツール群)が合わさって、保健・医療のデータを軛から解き放ち、フォーマットやセマンティックスの相互変換のハードルで阻まれることなく、必要なところ(病院の基幹業務システム、モバイル診療情報システム、クラウド形式のデーターストレージ、国レベルの保健情報レポジトリ、研究用データベース等々)に滞りなく行き渡る事を可能にします。
他のどんな手法と比べても、FHIRは[実装者の心に、よりいっそう火(ファイア)を点けずにいられないでしょう。](註:[]には、提唱者により、何かFHIR FIREに関する洒落を入れることが義務づけられています。)
FHIRの仕様書は、入門編、実装編、リソース編の三編からなります。
入門編では、リソースを理解し、利用するために必要な、基本的な内容を解説します。
実装編では、リソースが様々なコンテクストでどのように使用されるかについて説明します。
リソース編では、リソースの定義を列挙します。
各リソースについて、以下のページが提供されます。
FHIRのコミュニティーは、より広い HL7 のコミュニティーの中にあって、定期的に会合を持ち、その人脈、ノウハウ、過去の標準規格および所属企業・組織の力を活用しています。HL7 は FHIR の管轄者としての権限でその自由な使用を許可し、FHIR のコミュニティーは HL7 の提供するインフラストラクチャーに依拠しています。
FHIR のコミュニティーが利用している主要な HL7 のサービスとしては HL7 Wiki と FHIR メーリングリストが上げられます。さらに FHIR コミュニティーは HL7 のワークグループミーティングで定期的に実際に顔を合わせています。FHIR の開発を管理する正式なガバナンスの取り決めの文書は(どこにおくべきか未定で、これは懸案事項です。)
FHIR の仕様を記述したウェブページには、それぞれ、より広範なコミュニティーからのインプットを管理する Wiki のページへのリンク Community Input が用意されています。FHIR の仕様をより良くするため是非ともコメントをお願いいたします。
EHR機能モデル(EHR Functional Model、EHR-FM)は、電子診療記録(Electric Health Record)システムに含まれる機能の参照リストです。FHIRは医療における情報交換に的を絞って実装されますが、その情報交換の多くはEHRを前提とした文脈で発生します。下表は、FHIRを用いてどのようにEHR-FMに記載された要件を満たすことができるかの一例を簡潔に記述したものです。これはFHIR仕様書を読む際にFHIRの使い方を理解することを助けるためのもので、適切なEHR-FMの実装方法やFHIRの使用方法は、ここに記述されたものに限りません。
EHR機能モデルは、システム間のインタラクションについて、いくつかのモードを記述しています。それぞれは FHIR を用いて幾通りかの違った方法で実装できます。
適切なセキュリティ管理のされた FHIR サーバーと、SecurityEvent および Provenance リソースの厳格な使用とを組み合わせることによって、EHR 機能モデルで定義された以下の重要な記録管理機能を満たすことができます:
注意:FHIR は、正式な HL7 標準として投票される以前の、現在開発中のドラフト仕様です。
実装者がここで定義されている内容での試験実装を行うことは歓迎されていますが、内容が事前の通知無しで変更される可能性があることを明記して下さい。
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