研究内容 My works

研究内容を課題毎に紹介します

沿岸資源生物の資源変動機構の解明

 沿岸域には多様な生物が生息しており、多様な漁業が漁獲の対象としています。これまで、沿岸に生息する資源生物について、資源生態学的な知見を蓄積するとともに、資源解析を通して資源量変動パターンを幾つかの魚種について明らかにしてきました。その過程において、地先の資源として捉えられてきた生物についても、地理的に離れた個体群が同調して変動しているものが少なくないこと、またそれらの一部はレジーム・シフトに対応した中長期的スケールの変動パターンであることを示してきました。すなわち、沿岸資源の変動機構も気象海洋学的に明らかにする必要があるものと考えられますが、仮説検証のための研究事例が十分とは言えない段階です。

  沿岸生物の資源変動と海洋環境との関係を時空間的に広く体系化した研究は、国内だけでなく国外においても進んでいません。私は、資源変動機構を海洋学的な観点から解明することを目標として、多様な資源生物を体系的に整理し、変動パターンを類型化すること、パターン毎に資源量や再生産成功率の増減の時間的な変動スケールで明らかにすること、各水域および日本周辺水域での気象海洋学的な変化との対応関係と両者をつなげるための事例研究を蓄積することを課題としています。

沿岸資源の総合的管理方策の構築

 沿岸資源は、海洋学的な環境要因によって変動しますが、種苗放流や漁場造成といった増殖施策によって、また人為的な環境改変によっても、資源量や漁獲量が左右されます。これまで私は、生活史の諸特性である年齢・成長、再生産特性、分布移動を個体群レベルで明らかにし、生活史と生息環境や環境改変との関係の解明に取り組んできました。

 沿岸資源管理については、個体群変動様式に応じた方策かどうか、その検証が十分に行われているとは言えません。我が国の沿岸資源について,資源管理・環境保全・増殖施策を通した総合的な漁業管理方策を提示するために、沿岸資源の資源解析や生活史全体にわたる資源生態の解明を継続するとともに、有効な漁業管理,種苗放流や漁場造成を検証的に整理し、その法則性を見出し、我が国の沿岸資源に関する管理理論を構築することを目標としています。

<Subjects>

1.沿岸魚類の資源生態と資源管理方策 Fisheries biology of coastal fishes and fisheries management strategy

2.耳石を用いた年齢査定 Age determination using otolith

3.底魚の資源生態 Fisheries biology of demersal fishes

4.耳石微量成分を用いた魚類の資源構造の解明 Analysis of fish population structure by otolith microchemistry

5.干潟生物の生物生産様式 Biological production in tidalflats

6.東日本大震災後の水産業 Fisheries after the Great East Japan Earthquake on 11 March, 2011

7.その他 Others