空気圧駆動伸長型アクチュエータは、圧縮空気を印加することで、大きく伸びるという特徴を持つアクチュエータです。これまでの円筒形空気圧駆動伸長アクチュエータは、駆動時に壁厚が厚くなったり、径方向に大きく膨張したりするため、狭い環境で干渉することから、適用環境が制限されていました。
本研究室では、径方向の膨張が小さく(25%未満)、軸方向に520%以上伸長する円筒型ゴム構造を利用した空気圧伸長型アクチュエータを開発しています。
超伸長型アクチュエータは、螺旋状に巻かれた長繊維のピッチ間のゴムの径方向膨張を円周方向に配向させた短繊維の拘束により減少させ、長繊維の周りの応力集中を分散・緩和します。試作した超伸長アクチュエータは、20%の径方向膨張率で520%まで伸長しました。この結果を踏まえて、管内の検査や、人体の近くで駆動する装具など、狭い環境での高い出力重量比を実現しながら、超伸長型アクチュエータを適用することで大きな伸長と収縮を達成することが期待されます。
図1 超伸長型空気圧ソフトアクチュエータと他のアクチュエータの伸縮・膨張率の比較表
図2 に従来の伸長型アクチュエータと当研究室で開発したアクチュエータを示します。超伸長型アクチュエータは短繊維による拘束を追加することで、従来の長繊維のみによる拘束と比較して、膨張率を低下させられます.そして、膨張しない分軸方向へ大きく伸長できるため,従来のアクチュエータでは困難であった500%以上の大きな伸縮を実現できています。
図2 本研究における長・短繊維複合型伸長型ソフトアクチュエータと従来研究における長繊維複合型伸長型ソフトアクチュエータの伸縮状態比較
開発中の超伸長型アクチュエータは、ゴムチューブに対して、らせん状の長繊維と配向した短繊維による複合的な拘束が加えられています。これらの拘束によって、長繊維間の半径方向のみへの膨張を短繊維により軽減して、応力集中を軽減します。
図3 超伸長型アクチュエータの断面図構造.
超伸長型空気圧ソフトアクチュエータと他のアクチュエータの伸縮・膨張率の比較表を示します。このグラフからわかるように、開発中の超伸長型アクチュエータは、25 %以下の膨張率でも520%以上という大きな伸縮率を発生することができます。この伸縮/膨張率比は従来の度の空気圧駆動型のソフトアクチュエータと比較しても大きいです。
開発した超伸長アクチュエータは、以下の研究に応用されています。