リライアブル制御
研究背景
今までは、機械が故障すると暴走する危険があるので、緊急停止措置が取られてきました。 しかし、機械を緊急停止させると不都合な場合があります。例えば、工場の製品搬送システムやエレベータ、 将来普及が予想される介護ロボットをはじめとしたサービスロボットがこれにあたります。
研究概要
本研究は、機械そのものに新たな部品を追加させるのではなく、 機械を動かす制御アルゴリズム(ロボットの頭脳にあたるもの)を変更させることで、故障後も安全に動かせるようにします。
研究対象は、多重フィードバックループ系(センサをたくさん持つ機械)のセンサ故障です。 図1のようなn個のフィードバックループ(センサ)を持つ制御系に対して、ETF Gn-1は下式で与えられます。
本研究は、機械そのものに新たな部品を追加させるのではなく、 機械を動かす制御アルゴリズム(ロボットの頭脳にあたるもの)を変更させることで、故障後も安全に動かせるようにします。
図1 ETF切換部を有する多重ループ系のブロック線図
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2リンクマニピュレータの電流センサ故障にETFを適用した場合の実験結果です。 正常時に比べ、故障時はマニピュレータの腕が振動していることが分かります。 故障時にETFを使用すると、正常時と同じように滑らかな動きで指定した位置まで腕を振り上げることができています。
超音波モータ
超音波モータの駆動回路の開発
今後、高齢化社会になり医療・福祉現場でも機械化が進み人間との共同作業の場面が増えると予想されています。 このような現場で用いられるアクチュエータとして、注目されているのが超音波モータ(USM)です。 このモータは、超音波領域の超音波振動を駆動源とするアクチュエータで電磁波を発生せず、またその影響を受けません。 このような特性は計器類が多く存在する医療現場において有効であると考えます。 また、電源が切れていても保持力 (自己保持特性)を有するため、電磁モータに比べ省エネでもあります。 一方でUSMはドライバの入出力特性が非線形であるという難点があり、現在大学や研究機関、企業などで研究が行われています。 本研究ではこのようなUSMの入力波形による特性の違いについて把握し、制御系の運用を容易にするため変調機能を有する駆動回路を開発し、ドライバの入出力特性とUSMの駆動特性を検討します。
超音波モータの駆動原理
USMは圧電素子に交流電圧を加えることで生じる振動を用いて駆動するモータです。 振動の利用の仕方から、クサビ型と進行波型の2つに分かれますが、進行波型の方が耐久性に優れているなどの点から現在はこちらが主流となっています。 本研究で用いるUSMも、進行波型です 圧電素子に交流電圧を加えると素子に定在波が生じます。 この定在波を2つ合成することで進行波を得ることができ、そこに弾性体を貼り付けると弾性体のある1点は楕円軌跡を描きます。 ここにロータ(移動体)を接触させることで駆動力を得ます。