第30回 人格

ヒトは初め自分の存在に気がついた生物と述べました。

それは、環境に気づいたから、自分に気づいたのです。

すなわち、他に気づいたから、自分に気づき、

群れの中の自分に気づいたのです。

自分に気づいたときから、人格を持とうとします。

それは、経験から、自分の人格を作ることです。

人格を作ることによって、外の環境への対応をパターン化します。

対応の効率を上げ、自分を正当化して、ストレスを受けにくくします。

そのために、今までに出会った者の人格を、おおよそ真似(まね)て作ります。

しかし、真似しきれるものではありません。

何となく真似た状態で、結局は、自分でも自分がよく分からないまま、

それなりの人格を作り上げていきます。

その人格が、絶えず見直しされるなら、研鑽(けんさん)され成長するでしょう。

しかし何の後悔も反省もなく、人格をそれでよいと固めてしまうと、

それは以前に述べた、「業(ごう)」または「宿業(しゅくごう)」と

なってしまいます。

「業」に捉(とら)われると、心は萎(ちぢ)み、砂のように乾いて、

何の潤(うるお)いもなくなってしまいます。

しかし、心が確立し成熟したときは、もう人格を見直す必要はありません。

人格は完成されたのです。

完成された人格を疑ってはいけません。

あなたはその人格を守り、従うのです。

あなたはあなたのスタイルを演じるのです。

心から演じるのです。

それは決して、あなたの「業」にも「宿業」にもなりません。

それは、あなたを捉えるものでなく、あなたを導くものだからです。

あなたはあなたの人格を信じます。

その取るべき人格をふたたび掲げます。

(1)堂々としていること(泰然性)。

今の自分が、出来うる限りのベストであると開き直って、自分を信じ、

迷わず、どんな事態にも堂々と対処するという覚悟(かくご)が必要。

あなたの取るべき、正しい基本の姿勢です。【愚念】

(2)自分を律する(毅然性)。

秩序を保つためには、ある程度、欲求を断たなければならない。

あなたの取るべき、正しい攻めの姿勢です。【脱念】

(3)円滑化を心がけること(整然性)。

誠意は、ものごとの円滑化を進める。

あなたの取るべき、正しい構えの姿勢です。【悟念】

(4)ストレスを溜(た)めない(裕然性)。

ストレスを溜めないためにも、ある程度の諦めが肝心。

これらがあなた取るべき、正しい守りの姿勢です。【諦念】

あなたが、その人格を徹(てっ)すれば、

あなたの、その人格をけなす者たちが、きっと現れるでしょう。

それは、心が未確立、未成熟か、心が乾ききった者たちです。

おそらくあなたは、彼らに侮(あなど)られるでしょう。

「慈愛のシステム」は、空回りを続け、

「プライドのシステム」は、あなたを孤立させる。

あなたは「お人好しだ」と利用され、

あなたに無理難題を押し付けるかもしれない。

しかし、怯(ひる)んではいけない。

あなたは一人だが、神が付いている。

あなただけの神。

あなただけの神のシステム。

あなたの人格は、神が導いたものだからです。

あなたの神は、あなたを守る。

あなたの神は、あなたを癒(いや)す。

あなたの神は、あなたを導く。

あなたの神は、あなたの願いを叶える。

大いなるパワーが、あなたを覆(おお)っている。

あなたがそれを確信したとき、

あなたは、真の大人となる。

あなたは、大きな視野で、ものごとを見ることが出来る。

あなたは、優しくものごとを扱うだろう。

プライドは優しさだ。

真の大人は、優しい。

優しい人は、優れた人である。

(2010年9月1日)