第7回 生きる指針

成長欲求は、秩序ある生き方を人に求めます。

そのための、四つの指針(ししん)を下に示します。

(1)堂々としていること-泰然(たいぜん)性-

人は劣等感や弱みがあると、それを避けよう、隠そうとして、

不自然な行動や無理をします。

そこには自分を侮(あなど)られたくないという、存在本能が働くからです。

その結果、あせりや動揺などが起こって、冷静に対処できなくなります。

完璧な人間はいません。

自然の道理に逆らった、無理のある行動は、秩序構造を

崩(くず)してしまいます。

今の自分が、出来うる限りのベストであると開き直って、自分を信じ、

迷わず、どんな事態にも堂々と対処するという覚悟が必要です。

背筋を伸ばし、目をそらさない態度を心がけます。

経験を多く積んでおくことも大切です。

自己秩序や環境秩序が、大きく破損するような経験は避けるべきです。

しかし、現状の秩序をさらに成長させるためには、経験、知識を増やし、

思考を深め、古い殻を破って、修復、改善、発展させていく

必要があります。

他人と比べて、自分が労が多い、損な役回りであるなどという

自尊心からや、苦手意識から避けてしまうのではなく、

労を惜しまない態度が必要です。

経験は、自己を成長させます。

経験は、人を賢(かしこ)く強く、泰然(たいぜん)とします。

自分の中には、生命神がいる。

生命神も、経験によって成長します。

そして生命神はたえず、自分を守り、癒し、導いてくれます。

そのことを信じ、生命神の成長を望みます。

それがあなたの取るべき、正しい基本の姿勢です。【愚念(ぐねん)】

(2)自分を律する-毅然(きぜん)性-

生きることが喜びでなくてはいけません。

生きる目的は、生きる喜びを得ることです。

しかし、生きる喜びが、衝動的で刹那的でのみあると、

人はやがて虚しさを感じます。

 

深い知性や技能に基づいた、安定した喜びを求めるようになります。

そのために、自己秩序の完成を目指し、環境秩序を

整えようとするのです。

秩序を保つためには、ある程度、欲求を断たなければなりません。

自分を律(りっ)するのです。

人は、欲求を、生きる具体的な原動力とします。

動物的な欲求を満たし、喜びを得ることも、人にとっては重要です。

それらを、あまりに抑圧してしまうことは、ストレス発生させます。

欲求の解放と制御を、バランス良く心がけることが、生きる知恵です。

生命神を敬(うやま)います。

生命神を敬えば、人の意識も、生命神を裏切らない、

生命神に恥じない覚悟を持って、自己を制御できるはずです。

制御された自己によって、環境の秩序化にチャレンジします。

それがあなたの取るべき、正しい攻めの姿勢です。【脱念(だつねん)】

(3)円滑(えんかつ)化を心がけること-整然(せいぜん)性-

秩序とは、安定であり、その中でものごとが円滑に進むことです。

必要なものが多すぎる無駄、少なすぎる無理のないように、

自分をとりまく環境が、バランスよく整理整頓されていることです。

ものごとはすぐに複雑化してしまう傾向があります。

たえずものごとを明確化しておこうとする心構えが必要です

すべきことはする、切るべきものは切る、守るべきものは守る、

他人に、譲るべきは譲る、押し通す時は通す、

そういう割り切りも必要です。

そして全てのことに、誠意を持って取り組むことが重要です。

目先の自分の得を考えて、環境を破壊したり、

他人を陥(おとしい)れるようなことは、してはいけません。

外の環境に被害を与えれば、いつか自分もその被害を

受けることになります。

今、自分にとって得にならなくても、環境の秩序形成にプラスになるなら、

それを行うべきです。

それを行うことによって、たとえ自尊心が傷ついても、

すべきことはするべきです。

それが誠意(せいい)です。

誠意は、ものごとの円滑化を進めます。

生命神は秩序を尊重します。

生きることが、秩序を形成すること、そのものだからです。

そして自分の生命神と、他人の生命神をつなぐのは、誠意です。

他人が人であるなら、誠意は必ず通じます。

それがあなたの取るべき、正しい構えの姿勢です。【悟念(ごねん)】

(4)ストレスを溜めない-裕然(ゆうぜん)性-

自分の望みが、すべて適(かな)うことはありません。

望みが妨げられれば、人はストレスを感じます。

人が、いかに望みを諦められるかが、一つの大きなポイントです。

もちろん、簡単に諦(あきら)めすぎるのも問題ですが、

人は、望みに固執(こしゅう)する傾向があります。

ものごとが達成できないのは、「パワー」「時間」「物質」「方法」がない、

または足りないからです。

この条件を、【対応四要素】と名付けます。

この四要素が満たされたからと言って、

ものごとが達成できるとは限りません。

「確率」「限界」「タイミング」「バランス」が、整わなくてはいけません。

この条件を、【成行(せいぎょう)四要素】と名付けます。

以上から、望みは、なかなか適(かな)いません。

 

思わぬ障害は、簡単にやって来てしまいます。

ストレスを溜めないためにも、ある程度の諦めが肝心です。

「宿縁(しゅくえん)として諦める」

固執は、自然の道理に逆らった、無理な行動を引き起こします。

生命神は、自然を第一とします。

望みが適わないのも、また、自然の成り行きとして受け入れるのです。

これらがあなた取るべき、正しい守りの姿勢です。【諦念(ていねん)】