第2回 生命神

地球以外の宇宙のどこかに、ある程度進化した生物はいるのでしょうか?

宇宙が生まれて150億年、そして銀河系が生まれて100億年、

太陽が生まれて50億年、地球が生まれて46億年と言われています。

単細胞生物の発生に5億年程度、単細胞生物から多細胞生物への進化に、

30億年近くかかった事実から見ると、宇宙の年齢から考えて、

地球以外に、複雑な生物の存在の確率は低くなります。

ましてや、人やそれ以上の知性を持った生物の存在の確率は、

ほとんどゼロと言えます。

ゆえに、生命の源となる物質が、隕石(いんせき)とともに地球にやって来て、

生命誕生や進化のきっかけになったという可能性は否定できませんが、

それが、何らかの意志によるものとは、到底(とうてい)考えられません。

神は、宇宙にもいないのです。

多細胞化した生命は、変化の可能性が増え、多彩な進化を遂(と)げます。

多くの生物が淘汰(とうた)され、より環境に適応したもののみが

生き残っていきます。

太陽の光を求めて植物がまず陸に上がり、昆虫が後を追い、

やがて外殻(がいかく)から脊椎(せきつい)構造に進化した動物が、

それらの後を追いました。

生物としての動きも、ただの反応から、知覚による反射、認識による行動と

進化し、本能という記憶回路を持つようになります。

そして約500万年前、今まで環境に対してされるがままだった生物が、

初めて自ら環境に対して働きかけができる「意識」という能力を手に入れました。

「意識」を持った生物、ヒトの誕生です。

第五の奇跡です。

大きく五つの奇跡が、生命の進化の中で起こりました。

それらは、長い年月の必然と偶然の繰り返しから生まれました。

自然は、エントロピー(無秩序さ)を増加させる方に向かいます。

しかし、生命はそれに逆らい、秩序を構築していきます

それは、生命を維持していこうとする大きな意志、使命があるようです。

それは、神のごとき振る舞いです。

生命を司る、この仮想の神を、「生命神」と名付けます。

生命神は、すべての個々の生物に宿(やど)っています。

生命神は、長い進化の連鎖(れんさ)と蓄積からつくられたシステムです。

生物の命を癒(いや)し、命を守り、命を強くします。

生物は、エネルギーの吸収・生成・循環(じゅんかん)の代謝

  細胞の増殖・分裂

細胞・組織・器官の防衛と機能維持・修復

感覚・神経伝達・記憶

以上の大きく四つの系統で、生命を維持しています。

これらの系統は、生物の進化の程度に従い、発達度が違います。

進化の進んだヒトの場合では、これらの系統を以下の方法で制御しています。

血液による水・栄養補給、老廃物の排出、免疫、損傷の修復

リンパ液による老廃物の排出、免疫

内分泌液(ホルモン)による自律神経や酵素分泌の調整

電気信号や神経伝達物質による神経や脊髄、脳内の情報伝達

ヒトの身体は、以上の四つの系統と、四つの流れの調和によって、

命を育み、癒(いや)し、守っています。

この機能を作り出し、活性化しているのが、生命神であり、

この構造、機能そのものが、人の生命神と言えます。

生命神は「生きる力」を、この構造に与えます。

生命神は「生きる力」を、すべての生物に与えます。

生命神は「生きる力」を、人に与えます。