第17回 運行(1)
人生には、運がつきまといます。
運とは、純粋には確率のバラツキです。
そのバラツキが、人生の偶然や奇跡を生み出し、
やがて社会に、大きな影響を与えることがあります。
誰もが、幸運に恵まれた人生を送りたいと思っています。
そのためには、この確率のバラツキを含めて、
この世界の、大きな流れを読む必要があります。
人をとりまく環境を、大きく四つに分けます。
体内環境:身体の状態、意識、精神内の世界(内環)
対外環境:対人環境、人が直接に対応する世界(対環)
社会環境:人が所属している社会、または世界(外環)
自然環境:物理法則に従う自然世界(自環)
以上の四つの環境(世界)を【四環】と名付けます。
【四環】には、それぞれエネルギー(気)の流れがあります。
エネルギーは、集中または蓄積し、やがて臨界(りんかい)点を越えると、
エネルギーの高いところから低いところへの、移動を引き起こします。
その移動の時に、さらに回りのエネルギーを巻き込み、
増大することがあります。
しかしやがては、分散・拡散して、エネルギーは小さくなります。
それぞれ、以下のような気流が発生します。
内環・・・生体気流
対環・・・対人気流
外環・・・欲望気流
自環・・・自然気流
【自己・環境秩序】を作ることが、幸福への道であると、前に述べましたが、
これら気流の状態(気象)を読み、その流れをうまく乗り切ることが、
一つの重要なポイントです。
それぞれの気流は、互いに影響し合っています。
流れには、ベクトルのように、方向と力があります。
それらが合わさって、相乗したり、減少したりします。
自分の望む方向に順方向であれば、ものごとは好調(幸運)に進みます。
しかし勢いがありすぎれば、制御不能となり、流れに翻弄(ほんろう)されます。
また、勢いがあると言うことは、衝突の可能性も出てきます。
自分の望む方向に逆方向であれば、ものごとはなかなか進みません。
障害や妨害が多く、無理をしてものごとを成し遂(と)げようとすると、
さらに無理を呼んでしまいます。
流れを邪魔しているものを取り除けば、淀(よど)みがなくなり、
流れが順調になることもあります。
流れに逆らわず、また流れに翻弄されず、気の流れを読むことが
肝心(かんじん)です。
気の流れは、眼には見えません。
その流れを感じる、または察するしか方法はありません。
そのためには、以下の四つの能力が必要です。
認識力(理解力):現象や状況の因果を見抜く。
制御力:自分の感情や欲求、思い込みに捉(とら)われない。
創造力(発想力):諦めず、可能性を見出す。
気力(動機力):上の力を働かすための体力、根気が必要。
【自己・環境秩序】が整っていれば、当然、気の流れも冷静に
感じることが出来ます。
しかし【自己・環境秩序】の形成にも、気の流れに従うことは必要です。
自分を含め環境の円滑化を心がけます。
円滑化とは、「因果と言う大きな流れに従う」ということです。
「今は小さな無理をしても、大きな無理を引き起こさない」ということであり、
「やがては、正しい流れに導く」ということです。
回りに対して「優しく」対応するということです。
「優しく」対応するとは、人やものごとを強引に、粗雑に扱わないと
いうことです。
人に対しては、思いやり、気遣(きづか)うと言うことです。
相手と協力し合って、互いに良い環境を作ろうとすることです。
そのためには、相手を受け入れなければなりません。
「優しさ」は「寛容(かんよう)」です。
とにかく相手を信頼し、任せるべきを任せ、助けれることは助けます。
相手が、その「優しさ」に呼応してくれれば、より高い意識の関係となります。
楽しく、安定した、豊かな環境を作り出す一歩となります。
しかし、呼応されず、その「優しさ」を自己都合のためだけに利用されて
しまったなら、その「優しさ」は、単なる「甘やかし」「放任(ほうにん)」と
なってしまいます。
それも仕方のないことと諦めます。
「正しい流れに導く」ことは、容易ではありません。
まずそういう心構えでいるということが、大切です。