第18回 運行(2)

人を回る四つの環境があると述べました。

それぞれの環境は、構造をもっています。

構造は一つでなく、いくつかの構造が重なり合って、

影響し合って存在しています。

それらを【複合構造】と名付けましょう。

四つの環境は、それぞれに【複合構造】をもっています。

構造とは、建物のようなものです。

建物には目的があります。

人が、雨、風、直射日光などから身を守り、効率良く生活や、

社会活動が出来るように、スペースや機能を提供することです。

すなわち、建物(構造)は、外世界からのエネルギーの影響を最小限にし、

中に存在している人(エネルギー)の動きを制御する目的をもっています。

建物に、未完成や不備、不具合があれば、機能は十分に果たせません。

また建築材料によって、その機能や耐久性に差が生まれます。

建物(構造)の機能は、必要十分な条件によって確実なものとなります。

建物は、作業スペース、収納スペース、休憩スペース、生活スペースなどの

機能の違いによる、いくつかの部分から作られています。

全体を空調、温調、給水排水配管、電気ガスなどのエネルギー供給、

通信、受信装置、配線などの、機能システムが張り巡(めぐ)らされています。

これら部分やシステムは、機能として互いに重なり合い、影響し合って

存在しています。

これらが建物のもつ【複合構造】です。

どんな構造も基本的には、この建物の仕組みと同じです。

現実世界には、いくつかの構造が存在します。

それらは、上で述べた「建物」のように、人為的に作られたものと、

「生物」のように、自然現象で生まれたものがあります。

人為的に作られた構造であっても、それがいくつか複合して、

自然現象で生まれたもののように、人の理解を超えてしまうものがあります。

「経済」がその例です。

人為的構造と自然的構造の複合も多くあります、

構造は要素という部品から作られています。

要素だけでは、構造の持つ目的を達することは出来ません。

また構造には、それがなくても目標が達せられる付着(ふちゃく)要素が

あります。

しかし、この付着要素が、何の役にも立たないというわけではありません。

構造は、要素のバランス関係にあります。

そのバランスを確固とするために、付着要素が役立っていることが

多くあります。

このことが、構造の分析を複雑にしています。

構造は、エネルギーの制御を行います。

制御は空間的だけでなく、時間的にも行われます。

すなわち、因果を導くと言うことです。

自動車構造は、ガソリンを燃やして、伝達装置によりタイヤを回します。

因果を導く構造です。

制御を行うには、パワーが必要です。

別の言い方をすれば、構造が機能を発するためには、パワーが必要、

すなわち、構造が構造として維持するためには、パワーが必要と言うことです。

もちろん、このパワーにもエネルギーが使われます。

ある系において、構造がそこにあるとすれば、エネルギー関係は、

以下のようになります。

外部(環境)エネルギー

構造(維持・制御)エネルギー

内部(被制御)エネルギー

この三つの状態が、構造を回るエネルギー形態の基本です。

エネルギーを「気」と表現すれば、

これらの形態は、構造を回る一つの「気象(きしょう)」と言えます。

構造が維持されるためには、外内部のエネルギー(気)が強く制御されている

必要があると述べました。

エネルギー(気)を制御するためには、三つの方法が必要です。

防御:ディフェンス、ガード

修復:メンテナンス、ヒール

活性化:ガイド、リード

これらの制御方法(システム)が効率良く機能していれば、

構造はより確固(かっこ)なものとなります。

制御するためにもパワー(エネルギー)が必要でした。

「気の流れ」または「因果の流れ」に対して、「円滑(えんかつ)化」を目指すこと、

すなわち「優しく」対応することを述べました。

構造を維持、制御するためには、「秩序化」を目指すこと、

すなわち「厳(きび)しく」対応することが必要です。