食について
私は,食べることが大好きです.作ることも好きです.
現代は,全国・全世界の色々な美味しいものが食べられる世の中です.
肉や野菜の食材も,どんどん食べやすいものに改良されています.
モンゴルでの経験から,こんな状態で大丈夫かな?って不安になることがあります.
当たり前のように豊富な食材,外食産業も非常に多く,そして価格も異常に安い.
そして食材や食べ物の廃棄物の多さ.尋常ではありません.
ウナギやマグロが減っているようですが,そんなもの食べなくとも大丈夫です.
フォアグラ,トリュフに至っては食べたことありません.
食べたいとも思いません.地元の季節ごとの新鮮な食材があれば,十分ですよね.
高知ではカツオが美味いのは嬉しいのですが,季節感がないのに違和感を感じます.
モンゴルで学んだこと
30代のとき,モンゴルでの現地調査を手伝う経験を得ました.
毎年半砂漠地域で,2〜3週間のキャンプ生活.当然バス・トイレ無しです.
そのときの衝撃は,食べ物です.
半砂漠ですから野菜はほとんどありません.主食は羊さんです.
放牧しているの売ってもらいます.当然生きている羊,一匹ずつです.
その羊を屠殺して食べます.屠殺は,地元の方にしてもらいます.
日本で食材の肉は,パック詰めされた肉片しか見たことがありません.
その屠殺から解体に至る作業は,寸部の無駄のないすばらしいものでした.
それは,羊への感謝の気持ちも込められているのだと思います.
羊には可哀想なのですが,改めて命を戴いていることを理解できました.
日本で食べているパック詰めの肉も過程は同じはずです.
以来,食べ物への感謝の気持ちは,忘れずにいたいと思っています.
「いただきます」という言葉がかけ声だけないならないよう気持ちを込めて!
味について
「美味しい」という言葉は,食べてなくても聞いていて心地よいですね.
でも「まずい」という言葉は,非常に抵抗があります.
食べ物は,すべて美味しいと感じてもらうために作られたはずだからです.
工業製品と化している食べ物は,生産者の顔が見えないのでまずいと言いやすいかも.
でも食材に対しての感謝の気持ちは,忘れてはならないはずですね.
はじめは美味しくないと思っても,食べているうちに慣れるかも.
ただ,わけの解らない食品添加物や合成調味料は,勘弁して欲しいです.
味がきつ過ぎて,喉が渇いて仕方がない.食べたあと体が悲鳴を上げているようです.
調味料について
最近,スーパーに行くとインスタントものが多すぎると感じています.
昔は即席ラーメンくらいだったと思うのですが,近頃は鍋のスープまである始末.
鍋は,具材の旨さがあれば,味付けは適当で十分.
塩,酢,醤油,油,香辛料さえあれば,鍋に限らずほとんどの料理ができます.
胡麻油を使えば中華風,オリーブ油を使えば洋風.
でもこの油,すごく美味しいですが,食べ過ぎには注意しないと....
手作りで,時間をかけて作られた調味料は,新鮮な食材とのコンビで楽しめます.
お刺身は,その代表的な食べ方ですね.
四国では一般に溜り醤油を使いますが,様々な醤油で味わってみてください.
それぞれの魚にあった醤油があることに気づかされるでしょう.瀬戸内の白身魚と太平洋の赤身魚は,全く違った味ですから,合わせる醤油も変えると美味しさが変わります.贅沢だなあ...
贅沢な食べ物が多過ぎ?
白米は,玄米に比べて,美味しく,食べやすく,たくさん食べられます.
豆腐も,大豆に比べて,味が繊細で,食べやすいです.
小麦や蕎麦も,挽いて粉にして,食べやすくします.
油にしても,色々な原料から,その成分だけが抽出されたものです.贅沢ですね.
しかし,すべての食材は,それぞれ本来の味を持っています.
人間は,様々な工夫をして,食べやすくて美味しいものを作ります.
土壌,気候,文化を通して,伝統的な料理が生み出されるのは,地域の宝です.
でもそれが行き過ぎると,体に良い影響は与えません.
美味しいものは,食べ過ぎてしまいがちです.注意しましょう.
お酒もその代表例ですね.大吟醸が好まれているのですから.
贅沢な食べ物は,要注意! 白米すら贅沢品の一つなのです.
食事のバランス
厚生労働省が,食事バランスガイドを発行しています.
そんなにたくさんの種類の食事は,里山暮らしだと無理です.
季節ごとに採れる野菜・野草は限られています.しかし,年間通して見た時にはバランスが取れそうです.
露地物であれば,夏や体を冷やす野菜,冬は体を温める野菜が自然に採れるので,それを積極的に摂取する方が良さそうです.
さて,乳製品が項目として挙がっているのがよくわかりません.
カルシウムや乳酸菌の摂取であれば理解できるのですが...
手作りの「ぬか漬け」などは,乳酸菌が多く含まれます.
しかし,一般に販売されている製品は,発酵を止めているものが多く,生きた乳酸菌が少ないので取り上げられないのでしょう.
この食事バランスガイド,食材はスーパーで購入することが前提となっているようです.
本来は,食材の効能を熟知しておけば問題ないのに,一般向けに分かりやすくというのがもう一つの問題のようです.
本当に美味しいものはお金で買えない
食材は鮮度が重要ですから,収穫したその場で食べるのが一番です.
お金で買えるものは流通を伴っているので,鮮度は悪くなります.
筍(タケノコ)はその代表的な食材です.高知の筍が美味しいのは,鮮度が良いからです.
鹿や猪のお肉も買ってきたものより,猟師さんに頂いたものの方がずっと美味しいです.
流通に乗せるには,衛生的に管理された場で,資格を持つ人がさばいたものでなければなりません.
山で仕留めた獲物を遠くの施設に運ぶよりも,その場で解体したものの方が鮮度が保たれるからです.衛生的ではないかもしれませんが...
さて,料理は本来,食べてもらう相手に応じて作ってもらうのが一番です.
相手の嗜好だけでなく,体調や環境等を考慮して作られたものは最高です.
そのような料理は,高級レストランでも味わえません.
つまり家庭料理こそ,本当に美味しいものと言えます.
以前,体調を崩したとき,カミさんが作ってくれた蕎麦がきは最高でした.
お母さんの手料理が最高と皆が言える社会でありたいですね.
お酒について
私はお酒が飲めませんでした.ビール一杯でヘロヘロ.美味しくありませんでした.
日本酒一合飲めば,もどしてしまう始末.そして,頭痛に悩まされるのです.
でもお酒の場は好きで,色んな人の本音を聞いたり,自分の本音をぶちまけたり.
嫌々飲んでいた酒ですが,30歳を過ぎたとき,ビールが美味しいと感じ始めたのです.
それから徐々に色々なお酒を自分に合っているかどうか確かめ始めました.
すると,年代によって美味しいと思うお酒の種類が変わっていったのです.
50歳を過ぎた今は,熱燗が最も自分に合っていると感じています.
代謝力も衰えているので,ゆっくりとお酒がまわって,心地よく酔えます.
やはりお酒は,歳をとってからゆっくり楽しむものかもしれませんね.
お酒が飲めない人も,体の声を聞きながら適度に楽しんで下さい.
決して煽るように飲んではいけません.ゆっくりと味わいながら.贅沢品ですから.
土佐の酒文化
高知に酒豪が多いことは,全国的に知られています.本当にそうだなと思いました.
地元の宴会に招かれると,返杯の嵐です.注ぎつ注がれつ人がどんどん入れ替わります.
瀬戸内で育った私にとって,お酒をたくさん飲めるのは,お祭りやめでたい時だけと思っていました.
瀬戸内は水が豊富にありません.それに比べて高知は二期作でコメが取れるほどですから,本当に豊かなんですね.
そんな豊かなところなので,お酒もたくさん飲めるわけです.
そしてお酒を飲むための遊びもたくさんあります.
箸拳,ベクハイ,菊の花など,ベロベロの神様が降臨します.
学生の皆さんも,地元の方と地元の酒を飲んでもらいたいものです.アルコール中毒には注意しながら...