締章:続

2011(平成23)年1月


2010(平成22)年度の納会で、2011(平成23)年度のチームスローガンを発表しました。事前に部員からメールで募ったところ、部員皆が一生懸命考えてくれました。

数ある候補の中から一つを選び、当初は選ばれたひとつのみ発表するつもりだったのですが、せっかく各々考えてくれた案、それぞれチームに対する思いが見て取ることができ、何らかの形で全員の案も発表したくなりました。結果、企画:藤井研策、構成:神保雄一、音楽:渡辺邦裕、映像:近藤直之で素晴らしいものが完成しました。(2010年度納会にて発表)


経堂農大通り野球クラブという団体が誇るべきところは、区商連での実績や、北沢リーグ9連覇、全国大会出場もさることながら、“最も”誇るべき点ではありません。それは、諸先輩方が積み上げてこられた“57年(2010年時点)という歴史”にあります。

そしてこれからも私たちが引き継ぎ、それを続けていくべきだ、ということで、2011(平成23)年度スローガンは“続”に決定いたしました。


発案者渡辺邦裕からのコメント(メール)には、

「今年はこの10年でかつてない程チームの形が(良い形で)変わって、新加入の若手がキチンと定着してくれれば、Bチームも老体に鞭打ちながら、まだまだ経堂の歴史は続くのかなと。継続は力なり、ってのも加藤さんの好きな言葉ですし。」

とのコメントが付いていました。


さらにチームの解釈として、Aチーム監督の藤井研策は、


我々は!

年齢なんて関係ない!これからも大好きな野球を「続けていく」・・・。

勝つために、日々努力し「続けていく」・・・。

全国大会優勝!その夢を持ち「続けていく」・・・。

大切な家族へ・・・大切な君へ・・・いつまでもあなたへの感謝の思いを持ち「続けていく」・・・。

そしてこの経堂農大通り野球クラブの歴史を、これからも築き「続けていく」・・・。


と付け加えています。


黒田氏は現場監督でおられた頃、「常にメンバーを探し、集め、チームを運営していかなければならない。それが草野球クラブチームの宿命だ。」とよく口にされていました。

クラブチームというものは、皆それぞれ部員の生活環境が大きく異なるため、全員が毎回参加できるというわけにはいかず、不安定な団体と言えるでしょう。(ここで言う“クラブチーム”とは、いわゆる“企業チーム”ではない軟式野球チームを指します。)

実際、当時のメンバーは現在に比べてかなり流動的であり、チームに親交のあった方からの紹介などで、他チームをメインとして活動しながら、1~2年だけ、数試合だけ助けてくださった方々も大勢いらっしゃいます。実は藤井研策も元々そういった選手のひとりでした(その藤井研策が現在、チームの監督として献身的な働きをしてくれていることに、感謝・尊敬の念を抱くとともに、経堂のチーム力を感じます。)。


経堂は運営面において、商店街から多大なバックアップを受けており、他のクラブチームに比べて大変恵まれているということは常に意識していなければなりません。ですから、毎年7月に行われる経堂祭りは商店街の方々との交流を持つことができる場で、感謝の気持ちを具体的な形として表わすことのできる場なので、チームの活動として大切にしなければなりません。


このように、たくさんの方々に支えられ、守ってきたこのチームを現役の私たちひとりひとり(あなたもですよ!)には守り、続けていく“義務”が存在します。


これらのことを踏まえ、最後に、これからも経堂というチームを“続けていく”ために私たちができることを、感謝の気持ちを忘れない、野球を通じて人間的成長をはかるという2点に絞り、確認していきましょう。


まず、野球をすることができる環境に感謝しましょう。ここで言う環境とは、“職場・学校”や、“家庭”、“自身の健康”、“チーム”の4つです。これら4つの全てが適した環境でないと、野球を続けていくことは難しいでしょう。

野球に行かせてもらうことを許してくれる家族に感謝し、野球ができる身体に産み、育ててくれた方に感謝し、その健康を保つことを忘れず、チームの存在と仲間に感謝し、チームのために自分ができる形で少しでも協力する。このようなことが野球をすることができる環境を保つことにもつながってきます。


次に自身の成長についてです。

まずよく言われることですが、チームでの活動を通じて集団行動を学びましょう。チーム内における現在の自分の役割を理解し、それを果たす努力をしましょう。自分の役割とは野球に関してだけではなく、運営面全体において言えることで、具体的な担当がなくとも、なるべく時間を作って出席するようにする努力をすることや、部員それぞれと積極的にコミュニケーションを取っていくことも大切な役割です。主体性を持って参加することは仕事にも大いに活かすことができるはずです。

さらに自分以外の部員の役割を考え、それができているか?他の部員を見たときに、自分であれば具体的にどうするのか?を考えることにより、視野を広げることもできるでしょう。特に、リーダー的な立場の人のことを考えると、非常に勉強になると同時に、素直に敬意を抱くことができるのではないでしょうか。


自身の成長についてのふたつ目は、野球技術向上へのアプローチが仕事力向上へのアプローチ(手法)のバリエーション増加につなげることができるということです。一言で野球技術と言っても、単純に投げ方・打ち方のフォームから、相手との駆け引き、状況判断とそれに応じたプレーなど様々です。

それらを向上させるための手法は、自分で考える、人から盗む、人から教えてもらう、書物から情報を得る、メディアから情報を得る、繰り返し練習をする、場数を踏むなどありますが、これらの手法はどれも、仕事力(学力)を向上させるために採る手法にもなるものです。そして多くの手法を経験し、ものにするほど、自分が成長するための手法のバリエーションが増えることにも繋がります。


前主将の加藤岳もよく言っていますが、私たちは野球を通じ、野球によって成長してきたところが大きいと思います。そしてこれからも、野球を通じ、そして経堂というチームを通じて自身を成長させていきましょう。

それが、必ずやチームの成長にもつながります。


草野球のクラブチームという不安定な団体の衰退は、始まってしまうと一気に進行してしまうことが珍しくありません。1~2年前まで非常に活気があり、諸々大会でも上位に勝ち進んでいたチームが存続できなくなり解散、もしくは分裂してしまうことを私は何度も目の当たりにしてきました。


私が入部した時期は、経堂農大通り野球クラブの名前が草野球界に少し知られ始めた頃だったということもあるかもしれませんが、10年前は今よりも他チームの目を気にすることが多かった気がします。実際、HPの記事や以前の“経堂の歴史”を書く際も、そういった意識がありました。もちろん現在は全く気にしないということではありません。しかしそういったことよりも、チームの部員を大事にし、守っていくことの方がチームにとっては大切だと考えるようになりました。

そして、そのことが大先輩方が築き上げてこられた経堂農大通り野球クラブという素晴らしいチームを守り、“続”けていくことだと信じています。