第44回 全日本軟式野球大会1部 高松宮賜杯
東京都代表・経堂農大通り野球クラブ
皆様方のご支援・ご声援ありがとうございました
平成12年10月27日(金)、滋賀県大津市・皇子山球場にて 北は北海道、南は沖縄から地方予選を勝ち抜いてきた全国32 代表チ-ムが揃い、華やかにそして盛大に開会式が行われました。
戦 跡
1回戦 対㈱スタンレ-鶴岡製作所 (山形)延長12回サヨナラ勝ち
2回戦 対名古屋鉄道 (愛知) 5-6敗退
10月28日(土)
全国大会1回戦の朝がやってきた。 前日の開会式に参加した12名,夜中に到着した8名が揃ってホテルロビ-に6:40に集合する。 振り返れば7月真夏の炎天下に行われた東京都大会予選、苦戦の連続で勝ち取った全国大会への代表キップ。 “東京都”“世田谷区”“経堂農大通り商店街”代表としての誇りを胸にいざ試合会場へ出発。 彦根市・荒神山球場、緑豊かな荒神山に囲まれた立派な球場で、全国大会の実感が涌いてくる。 試合前のウォ-ミングアップ、キャッチボ-ルを始めるがいつもとは何か雰囲気が違う。 緊張している…。後攻め<経堂>のシ-トノック開始のアナウンスが流れる。 キャッチャ-からのボ-ル回しでいきなりワンバウンドの送球…。 その後もまともなボ-ルが投げれない状態が続きノックを始めるが、捕れない、 投げれば悪送球の連続。雰囲気に飲まれ地に足がついていない・・。 そしてシ-トノック終了。ベンチ前でミ-ティングを行なう。
゛エラ-してもいい、チャンスに三振してもいい、とにかく思いきったプレ-をしよう。
試合に出ている者、ベンチにいる控え、全員の気持ちを1つにして戦おう!
今出来る事、とにかく大きな声を出して、明るく、楽しく、元気よくいこう!”
午前8時、いよいよプレ-ボ-ルのサイレンが荒神山に響き渡った…。
先発長井投手の初球が決まりストライク。
その時、聞き覚えのある鐘、太鼓の音が…。
阿波踊りの音だ!経堂祭りの音だ!幼少の頃から聞きなれている音、
祭りの時、汗だくになりヤキソバや焼鳥を焼きながら聞いている音…。
スタンドを見上げると、商店街役員の方々が応援をしてくれているのが目に入る。
心地良く、そして、心強い応援だ!
先頭打者がサ-ド前へボテボテのゴロを打つ。足が前へ動かない…エラ-…。
しかしここで長井投手の絶妙な牽制球で走者を刺し流れを引き止める。
投手は落ち着いている。野手にも元気が出てきた。大丈夫だ。いける。
3者凡退に打ち取り選手達に満面の笑顔が広がる。
6回まで許した走者は2人のみ。かたや経堂もヒット2本、四球1つと緊迫した投手戦となる
7回表山形の攻撃、先頭の2番打者にレフト前へ運ばれ無死1塁。
1死を取るも四球、三振、四球で二死満塁のピンチ。
7番打者の当たりがライト前に上がる。
ヒットと思われた瞬間ライト竹内がスライディングキャッチのファインプレ-でピンチを凌ぐ。
その後も両投手の好投が続き延長戦へ突入。
10回ウラ経堂の攻撃、先頭の5番打者平良に代打屋嘉比を送る。
会心の当たりが右中間を破りノ-アウト2塁のチャンス。
しかし次打者の送りバントをキャッチャ-が3塁へストライク送球、タッチアウトでチャンスを潰す。 そして迎えた12回ウラの攻撃は3番近藤からの好打順。
レフト前ヒットでノ-アウト1塁。
4番大内の2球目にエンドランを決行、野選と暴投を誘い無死2・3塁のチャンス。
ここで迎えるのは先程代打で2塁打を放っている屋嘉比。
3塁ランナ-が還ればサヨナラという場面に山形県は敬遠策で満塁とする。
次打者は好投を続けてきた長井。
ヒットはいらない、とにかく転がせ!経堂ナイン、スタンドからの声援が打者に送られる。
気持ちを込めた打球がセカンド前へ転がる。
3塁ランナ-近藤は好スタ-トをきって本塁へ突入。
焦ったセカンドはボ-ルをはじき、延長12回の死闘が幕を閉じる…。
"サヨナラだ!”一斉にベンチを飛び出し抱き合う経堂ナイン。
スタンドにこだまする鐘、太鼓の音。
選手一同、スタンドの応援団、皆んなの気持ちが1つとなり、全員の力で勝ちとった1勝。
全国大会1回戦突破!!
10月29日(日)
前日の夕方から降り続いていた雨は上がっているが試合は出来るだろうか…?
相当な降雨量でグランドは水びたしであろう…。
しかし滋賀県野球連盟の方々の迅速な対応と多人数でのグランド整備で順延は間逃れた。
早朝からグランド整備をしていただいた方々に感謝したい。
第1試合の開始時刻が1時間遅れとなり、経堂の試合も予定より30分遅れの11:00プレ-ボ-ル。
2回戦の相手は強豪、愛知県・名古屋鉄道。
前日の激戦を制し波に乗る経堂ナイン。
普段通りの野球をやれば必ず勝てる!
初回愛知の攻撃、先頭打者にいきなりレフト前へ運ばれる。
2番打者がバスタ-エンドランで1死2塁とスコアリングポジションにランナ-を進めてくる。
続く3番打者がセンタ-へタイムリ-ヒットで先制点を許す。
先発の近藤投手は
右サイドスロ-のボ-ルを低めに集めて打たせて取るタイプ。
しかし低めに集める球を主審がストライクを取ってくれない…。
1回ウラ経堂の攻撃。先制点を許すも前日の余韻からか、ベンチ内のム-ドは良い。
先頭打者長嶋がセンタ-前へはじき返す。
反撃開始だ!2番林が
送りバントをするもファウルとなり2ストライクと追い込まれる。
しかし、鋭く振り抜いた打球はレフト頭上を越え、
両翼99mのスタンドへワンバウンドで入りエンタイトル2ベ-スで無死2・3塁。
迎える打者は先発投手の3番近藤。
先制点を取られた悔しさが気迫となり、レフト前へ2点タイムリ-ヒットで逆転。
本塁へ送球される間に2塁へ進む。
いつも冷静な近藤が
ベ-ス上で両腕を上げベンチに向かってガッツポ-ズを見せる。
なおも続くノ-アウト2塁のチャンスで迎える打者は4番大内。
守備でも一番声を出し、チ-ムを引っ張る中心選手。
大内への2球目、ワイルドピッチでランナ-が3塁へ進む。
愛知県は動揺している。つけいるチャンスだ。
すかさずセンタ-後方へ軽々と運びタッチアップで3塁走者が3点目のホ-ムイン。
ベンチ内、スタンドからの声が一層大きくなり完全に経堂ペ-スだ。
2回表愛知の攻撃。先頭打者を3塁ゴロに打ち取りワンアウト。
近藤投手も自身2点タイムリ-を打ち、
落ち着いた様にみえたが、相変わらず際どいコ-スが
ストライクにならずコントロ-ルに苦しみ四球を選ばれる。
送りバントが決まり2死2塁で9番打者は相手投手。
相手投手も同じ気持ち、3点取られた責任を果たそうと気合が入っている。
真ん中に入ったカ-ブを左中間に運ばれ、1点を返され3対2とされる。
3回表愛知の攻撃。2番打者にいきなり左中間2塁打をゆるす。
キャッチャ-フライ、ショ-トフライで2アウトを取るも
5番打者にレフト前へ同点タイムリ-を浴びる。
同点に追いついた愛知に元気が出てきた。続く打者に左中間を破られ、
1塁から走者が還り逆転。外野の芝生は前日の大雨で水浸し状態。
ボ-ルがすべり本塁へ悪送球の間に打者走者も長躯ホ-ムイン。
3対5と2点のリ-ドをゆるす。
6回、前日の試合で延長12回を1人で投げ抜いた長井投手を
マウンドへ送る。体はボロボロなはず。しかしこれ以上追加点は与えられない。
゛いつでも投げれます!”その言葉を信じるしかない。
先頭打者に死球を当ててしまい無死1塁。
後続を打ち取り、2死3塁とするが2番打者に
レフト前にタイムリ-を浴び3対6と3点のビハインド。
それでも経堂はあきらめない。
まだ4回も攻撃が残っている。
6回ウラ先頭打者は5番竹内。
この回の先頭打者は試合を大きく揺るがす大事な場面。
貫禄でセンタ-前へクリ-ンヒット。
続く6番平良の当たりは3塁手横へ強烈なゴロが飛ぶが、
横っ飛びでボ-ルをはじきショ-ト前へ転がる。
スタンドからは奥様、子供が応援している。
1塁へ気迫のヘッドスライディング!ノ-アウト1・2塁とチャンスを広げる。
゛負けてたまるか!” ゛絶対に逆転するぞ!”
チ-ムに一層気合いが入る。
次打者が四球を選びノ-アウト満塁とするが、
8番捕手小倉が力強いストレ-トに詰まりファ-ストフライで1死。
迎える打者は9番簔口。
内野手は極端な前進守備を取りホ-ムゲッツ-を狙っている。
1点でいい。この回は絶対に点が必要な試合展開だ。
2球続けてカ-ブで追い込まれた後、
カウント2-2からのストレ-トをセンタ-横へはじき返す。
タッチアップで竹内が還り4対6と差を2点に縮める。
7回・8回と長井投手が0点に抑える。
力は残っていないはず。経堂の逆転を信じ気力で投げている…。
8回ウラの攻撃、またも先頭の竹内がセンタ-前へ
強烈な打球を放つ。2盗を決め、ノ-アウト2塁とするが次打者がキャッチャ-フライに倒れる。
なんとか3塁へ進めたい。竹内が
ノ-サインで果敢に3盗を決め1死3塁。
たたきつければ1点が入る場面で強い打球のショ-トゴロ。
しかしランナ-が好スタ-トを切り5点目が入り、ついに1点差とする。
9回表の愛知の攻撃を3者凡退に打ち取り、最終回に望みをつなぐ。
1番打者長嶋からの好打順。
エラ-でもいい、四球でもいい、とにかく塁に出る事。
セフティ-バントの構えなどで投手を揺さぶり四球を選ぶ。
同点のランナ-がノ-アウトから出塁。
スコアリングポジションへランナ-を進める事。
2番林がきっちりとセカンド方向へゴロをたたきつける。
1死2塁。愛知へプレッシャ-をかける。ベンチ内も身を乗り出し、
打者長井へ激をとばす。
しかしファ-ストフライに倒れ2死となる。
バッタ-は4番大内。
厳しいコ-スしか投げてこない、4番打者の宿命。気迫は勝っている。
打ってくれ!
ベンチから精一杯の声援を送るが、
無情にも打球はセカンドのグラブに収まりゲ-ムセット…。
5対6、1点差に泣きました。
今大会を通じて…。
遠路はるばる滋賀県まで応援に駆けつけていただいた商店街役員の皆様と、
選手一同が一体となって戦った全国大会。
2回戦敗退という結果には決して満足のいくものではありませんでしたが、
それ以上のものを学んだ貴重な体験をする事ができました。
勝って喜びを分かち合う、
負けて自然と込み上げてくる涙、全力を出しきった結果です。
社会人、学生の混合チ-ムですが、1人1人今後の人生に役立つ、
1まわり大きくなれた大会だったと思います。
これも、経堂農大通り商店街会員皆様方の全面的なバックアップと、
多数の皆様方の御支援、御協力のお陰です。
選手一同、一生忘れることの無い、
大変素晴らしい思い出をつくる事ができました事を心より御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
経堂農大通り野球クラブ選手一同