線形と非線形

システムには線形なシステムとそうでないシステムがある。線形でないシステムを非線形なシステムという。

システムが線形であるとは、システムを表現する入力 U と出力 Y の間の写像、関数 F(U) が線形であるときを言う。

関数 = F(U) が線形であるとは、 F(U1 + U2) = F(U1) +F(U2) と、F(αU1) = αF(U1) が成り立つことを言う。

たとえば f(x) = ax とすると、F(x+y) = a(x+y) = ax + ay = f(x) + f(y)であり、F(bx) = a(bx) = b(ax) = bF(x) となり、線形である。

非線形とは線形でないものすべてのことである。典型的には f(x) = x^2、f(x) = sin(x) などがあるが、とにかく線形でないものは全て非線形である。このため、非線形だけを対象とした議論はできず、多項式や初等関数、幾何関数など非線形の中でも特徴的なサブクラスそれぞれ個々について調べられている。

また、非線形な関数では逆関数や微分を求めることが難しいこと多く、そもそも不連続であったりして数理的には扱いづらい。このため、通常は、より扱いやすい関数で近似して議論する。とくに単純な線形式を区分的に複数用意し、これらを接続して近似する線形近似はよく行われる。

実世界の対象物、システムのほとんどが、精密には非線形システムである。このため、工学的には、上記のように区分的に範囲を限定して線形に近似して扱うことが多い。