ファジィモデリング

モデル(模型)とシミュレーションはシステム工学の基本ツールである。対象システムの挙動を記述し変量や時間推移を与え、目標の設計や応答の分析を行う。

システムのファジィモデル F(x, t) は、入出力の関係をファジィ推論規則で記述するモデルである。ファジィモデルは、因果関係をファジィ命題で記述するため、言語的に解釈することが容易で、可読性の高いモデルとなる。

ファジィモデリングは、対象システムをファジィモデルで表現することである。モデリングの手法には、サンプルデータにもとづく方法と、システム知識に基づいて定性的にファジィ 規則を構築するものがあり、一般には前者のデータにもとづく方法をファジィモデリングということが多い。

ファジィモデルは、N個のファジィ 規則からなるファジィシステム/ファジィ推論規則である。

「ファジィモデル Fm(x1, ..) 」

  • R1 : if x1 is A11 and .. then y is B1

  • R2 : if x1 is A12 and .. then y is B2

  • ..

M個のデータ {( x1, x2 .. : y) _1, .. ( ( x1, x2 .. : y) _M} が与えられたとき、モデルとデータとの誤差が小さくなるように、ファジィモデル Fm のパラメータ(Aij, Bj) を探索することでファジィモデリングが行われる。

モデルとデータの誤差 e はたとえば

  • e = \sum ( |y_i - Fm(x1i, ..)| )

とする。

モデリング手法は様々であり、代表的なものに以下の形式がある。これらの派生、改良型も無数に存在する。

(標準型)標準的には、前件部の命題を構成するファジィ集合Aij の個数と配置をあらかじめ決め、推論規則の構造を固定とておき、後件部Bjのみ調整する手法がとられる。ファジィ制御などでは、1変数の定義域をおよそ5分割する三角型ファジィ集合 NB, N, Z, P, PB をそれぞれ前件部とした5つの規則で制御器をモデリングすることがよく行われる。2変数では各変数5分割で、全体で5x5=25個の規則を使う。

(逐次法)逐次法は、推論規則を少数から始め、逐次的に追加しながらモデリングする手法である。前件部の取り方は種々ある。

(TSK法)前件部の設定をデータ群のクラスタ分析により設定し、推論規則を配置する。後件部は線形式 f(x1, ..) で構成し、最小二乗法などにもとづいてパラメータを獲得する。

(GAs式)前件部、後件部とも遺伝子コーディングした推論規則の群を準備し、遺伝的アルゴリズムにより誤差を極小化した最良なファジィシステムを獲得する。

(ファジィ・ニューロ式)前件部、後件部、規則の結合の一部あるいは全部をニューラルネットで構成し、学習によってモデリングする。