オープンキャンパス2025/6/15
制御工学 (Control Engineering )は、対象物に目的の挙動をさせるための工学的手法について研究する学問である。
古典制御理論は、主としてアナログシステムを対象とし、発振、発散を抑えることを目指した理論である。対象物の特性をその入出力でとらえ、伝達関数で表現する。多くの制御対象が一次遅れ系で近似できるため、PID 制御を実際の手法としながら、特性分析にはラプラス変換を用いた周波数空間での収束性把握について、ナイキスト線図、ボード線図などにより周波数応答を把握する手法が提案されている。
現代制御理論は、入出力の関係だけではシステム把握の難しい対象システムの制御を行うために開発された。入出力だけで把握できないシステムとは、内部状態を持つシステムでありその挙動が無視できないものである。観測できない内部状態も含め、状態空間を構成し、動的な推移を状態方程式によって記述する。状態方程式は、状態ベクトルと遷移行列からなる。状態遷移行列の線形空間での分析によって動的特性の把握を行う。目的挙動を記述した目的関数との差分を最小化する最適制御理論によって設計を行う。
デジタル制御は、コンピュータによる制御で、計測、制御ともにデジタル化したものである。時間に対する離散化はサンプルホールドで行い、このときの制御設計はZ変換を用いて連続系の線形制御から変換することで行う。
典型的な制御システムは、安定性を担保するレギュレータ(追従制御)と、大局的な行動目的の遂行を行うシーケンサ(シーケンス制御)からなる。
レギュレータは、設定された目標に対し、制御対象を追従させる。シーケンサは、環境条件等の変遷に対し様々な条件から、レギュレータの目標設定を変更する。
たとえば、ビルの空調制御では、タイマーによる24時間の温度設定をシーケンサで行い、その温度設定に対して個々の空調機がそれぞれがもつレギュレータにより追従制御を行なっている。季節によって設定温度が変えたいとなれば、シーケンサに対してカレンダーの環境条件を与えることで実現される。