オープンキャンパス2025/6/15
現代の人工システムのほとんどは電子回路をサブシステムとして用いて実現されており、エレクトロニクス、メカトロニクスと呼ばれている。コンピュータを用いたシステムの構築も物理的には電子回路である。
電子回路システムは大きくアナログシステムとデジタルシステムに分けることができる。アナログとは連続量、デジタルとは離散値を用いることを指し、これらは情報、状態や時間の扱いにおいて連続にするか離散にするかに反映される。
アナログ電子回路システムとは、情報伝達及びその処理が電圧や電流などの連続量で行われるシステムで、また時間についても連続的に扱われるものが多い。
いっぽうデジタル電子回路システムは、情報伝達及びその処理が離散的に行われるシステムである。時間についても、クロックを基準とする離散時間で処理するものが多い。デジタルは用いる値が段階的となる。このとき一般的には2つの値だけで情報を扱う2値が多く、その他3値、4値やさらに多値のデジタル量を使うシステムもある。
量と時間のアナログ、デジタルの組み合わせは自由に選ぶことができ、また全体のシステムの一部がデジタルで一部がアナログであることもある。
アナログとデジタルの存在が典型的なのは電子回路だが、それ以外にも機械要素や、さまざまな物理量においてもアナログとデジタルでの実現が可能である。レコードの音声記録は連続波形がそのままのアナログ連続量である。ストリートオルガンなど譜面を自動読み取りする楽器の音響の指示はデジタル離散値となっている。ギターのフレットもデジタル離散値である。
一つのシステムの中で、デジタルとアナログが共存することも可能で、実際にはほとんどのシステムは何らかの意味でデジタルとアナログの両方が用いられている。
このときアナログ量とデジタル値を相互に変換することを、AD、DA 変換という。(AD: Analog-to-Digital, DA: Digital-to-Analog)
連続量を離散値に置き換えるとき、ヒストグラムの区分のように値をいくつかに切り分けて変換を行う。これを量子化という。
時間もクロックステップを基準とした離散時間で処理を行うことになる。このとき、連続な時間を離散時間に切り分けることをサンプリングという。離散化の時間頻度、つまり時間方向の解像度を周波数で表したとき、これをサンプリング周波数という。時間方向に離散化することで、異なる周波数の情報と錯誤するエイリアシングなど、アナログでは存在しなかった問題が起こることが知られている。このとき情報の再現性について、情報とサンプリング周波数の関係として、サンプリング定理に従うことが知られている。