現代制御

現代制御は、制御対象の状態をベクトルで表し、状態遷移を多元連立微分方程式で表した状態方程式を用いることで、様々な特性分析と制御系設計を行う手法であり、線形システム制御とも呼ばれる。20世紀後半に、ロケットなどの多変数システムの制御系設計が古典制御では難しいことを受けて研究開発が進んだ。多元連立微分方程式が線形ならば行列を用いて記述できるため、理論の多くは線形代数の知見にもとづいている。

制御理論の主目的である安定性の確保にくわえ、そもそもシステムが制御できるか(可制御性)、内部状態を推定可能か(可観測性)について数理的に示すことができる特徴がある。

制御系の設計においては、フィードバック系の無限時間累積誤差を最小化する制御行列を見つける最適制御がよく行われる。

オブザーバとは計測可能な変数が状態の一部分であるときに用いる状態推定サブシステムである。最適制御系を実装するためには、状態を得る必要があるが計測可能な変量の数が状態数より少ないことが多い。このとき、足りない状態を推定するために、状態推定器(オブザーバ)を構築して利用する。

カルマンフィルタ は、計測と状態遷移に確率的誤差要素(ノイズ)が含まれるとき、状態を最尤推定するサブシステムである。システムのパラメータと計測値の誤差の分布が既知であるとき、これらからカルマンゲインを算出し、これを用いて状態推定の逐次更新を行う。