システム理論

システム理論は1960年代から始まった現代的な総合科学であり、様々な対象を数理的にとらえ表現し分析し問題解決を行うパラダイムである。

システム科学とシステム工学は、システム理論の柱であるが、この三者の関係は複雑である。ある意味これらの関係自体がシステムとその理論(科学・工学)における、解決すべき問題の一端を隠喩している。

システム科学は事物をシステムとして抽象化したときの性質を調べる分野であり、また抽象化の方法それ自体もシステム科学の範疇である。とくに数学基礎論や離散数学など現代的な数学モデルと、力学系としての連続モデルを活用し、さらには離散構造上(ネットワーク上)の確率モデルやその展開など最新の数学的知見に基づいている。

システム工学は線形システム理論などモデリング技術を様々な複雑対象に適用し、計算機も援用しながら、問題解決を図る工学分野である。とくに航空宇宙システムの開発とともに発展した。実応用のなかで、人の要素が大きいことが明らかになり、人に関する様々な知見、プロスペクト理論/行動経済学や、ゲーム理論、創造性工学、人材開発などもシステム工学の一分野として取り入れられ発展した。

ファジィ理論は、システム科学の一分野である。システム科学は様々な対象、具体物や概念も含んだ神羅万象の「対象」を数理的にとらえる科学である。このとき、人とその社会の複雑さは、物理的なシステムと比べて十分に複雑であり、初期のシステム科学が持っていた数理的な技法では表現が困難であった。このため、人のような複雑なシステムを記述する方法として、あいまいさを含んだファジィ理論による表現が提案された。人の行動規則をファジィ推論規則で表現しこれを計算機的に実装することで、人の変わりとしての自動化(ファジィ制御)ができるようになった。