オープンキャンパス2025/6/15
現代制御以前の主に伝達関数を道具として制御系の分析、設計を行う制御手法を、現代制御と比して古典制御という。それ自体は単に制御理論ともいう。
古典制御では、主としてフィードバック制御とその分析が行われる。このときのキーとなる手法が伝達関数である。
制御対象への入力を x(t)、出力を y(t) = f(x) とすると、出力は時間の関数としてy(t) = f(x(t)) = f○x (t)と合成関数で表せる。このとき対象f(x)については線形を仮定する。すなわち f(x+y) = f(x) + f(y) とする。h(y)によるフィードバック制御を行うと、y = f(x -h(y)) を時間で解いた挙動をとるが、これを一般に扱うのは困難である。そこでラプラス変換による伝達関数を用いる。ラプラス変換では、関数の合成が積に変換される。これにより時間軸上で定義された合成関数を、複素空間の関数の積へ置き換え、複素空間(周波数空間)でのシステムの合成を行うことが容易となる。
伝達関数 G(S) は関数 g(t) をラプラス変換したものである。ラプラス変換は以下のように定義される。
G(s) = L |g(t) | = \int_{0}^{\inf} f(t) e^{-st} dt
合成関数の積への置換 L|g(f(t))| = G(s) F(S) はラプラス変換のとくに重要な性質である。
L|f(t) + g(t) | = L|f(t)| + L|g(t) |
L|f(g(t))| = L|f(t)| L|g(t) |
L|1| = 1/s, L|a| = 1/s × a
L| d/dt f(t) | = s F(s)
ここで、フィードバック制御の分析をする。
システム f(x) をh(y)でフィードバック制御するとき、y(t) = f(x(t) -h( y(t))) となる。両辺をラプラス変換すると、 Y(s) = F(s) X(s) - F(s) H(s)Y(s) となり、整理すれば
Y = F/(1+FH) X となる。
このとき、入力X(s) への係数(実際は合成関数)の F/(1+FH) を、伝達関数と呼ぶ。
伝達関数の主変数は複素数 s であり、制御理論で対象とするシステムではsの有理式となる。
代表的なシステムは、1次遅れ系と2次遅れ系である。さらに高次の遅れ系も原理的にはありうるが、実システムでは対象となりにくい。
1次遅れ系 : K/1+Ts
2次遅れ系 : Kω^2/s^2 + ζωs + ω^2
ここで、Kはゲイン、Tは時定数、ζは減衰係数、ωは各周波数。
伝達関数 G(s) をsに対して複素空間上の軌跡を描いたものをナイキスト線図という。
sを横軸として|G(s)|、arg(G(s)) をプロットしたものを Boad線図(ボード線図)という。
システムが安定(発散しない = 収束する)ための条件は arg(G(s)) > π で、|G(s)|<1 である。