Date: February 10, 2010 / 12:30-17:30
Venue: # 402, Hosui-Kaikan, Hakusan Campus, Toyo University
(Address: 1-10-2, Honkomagome, Bunkyo, Tokyo)
甫水会館4階402号室(東京都文京区本駒込1-10-2)
Abstract:
The workshop aims at discussing socio-historical dynamics of maritime communities in Southeast Asian peripheries. We expect that it will provide the participants with an academic arena seeking for comparative perspectives on the study of social history of Southeast Asian maritime world/s in which sea oriented societies have been formed and reorganized through the eras of modern- state building as well as globalization. In the workshop the specific reference is given to the Sama- Bajau, a well- known maritime folk who have long maintained communities and networks across the national boundaries in Insular Southeast Asia. Foregrounding advancements in studies on the maritime world/s in Southeast Asia, presentations of the workshop will explore issues and topics essential to understanding the flexible and dynamic natures of the Sama- Bajau maritime communities based on the recent fieldworks. A special lecture will also be presented by a Sama-Bajau intellectual, Mr. Haji Musa Malabong, from Sulu, the Philippines.
Programme
12:30-12:40
Welcoming Remarks
Prof. MATSUMOTO Sei’ichi
Faculty of Sociology, Toyo University
12:40-13:00
Introduction: Significance and Perspectives of the Studies on Maritime Folks in Southeast Asia
Assoc. Prof. NAGATSU Kazufumi
Faculty of Sociology, Toyo University
13:00-13:30
Attracted by “Poverty”: A Decade with the Bajau in Davao City, the Philippines
Assoc. Prof. AOYAMA Waka
Research Faculty of Media and Communication, Hokkaido University
13:30-14:00
Dynamics of Ethnic Relations on the Malaysia- Philippine Border: A Case of Bangi Islanders
Assoc. Prof. JUNAENAH Sulehan
Faculty of Social Sciences and Humanities, Universiti Kebangsaan Malaysia
14:00-14:10
Coffee Break
SPECIAL LECTURE
14:10-14:50
Sea is Our Home: Past, Present and Future of the Maritime Culture of the Sama Dilaut
HAJI MUSA S. Malabong
Chief Organizer, Sama Dilaut Cultural and Social Services Association
14:50-15:05
Comments for the Special Speech
Prof. TERADA Takefumi
Institute of Asian Cultures, Sophia University
15:05-15:20
Coffee Break
15:20-15:50
Trepang and Talipan: A Linguistic Perspective on the Social History of Maritime Southeast Asia
Assoc. Prof. AKAMINE Jun
Graduate School of Humanities and Social Sciences, Nagoya City University
15:50-16:30
VIDEO PRESENTATION: Thirty Years of Maritime World in Southeast Asia
MONDEN Osamu
President, Studio UMI Inc.
16:30-16:50
Review and Comments
Prof. TACHIMOTO M. Narifumi
Research Institute for Humanity and Nature
16:50-17:30
Discussion
The workshop is co-organized by Research Project on
"Comparative Area Studies on Maritime Southeast Asia"
マン島におけるスポーツ文化の生成過程と社会的機能
――スポーツボランティアの活動に着目して
小林ゆきさん(東洋大学大学院博士後期課程3年)
□ 日時 2010年1月18日(月) 18:10~20:00
□ 場所 東洋大学白山校舎 5401教室
□ 要旨
本研究は、1907年から続いているオートバイのモータースポーツ、マン島ツーリストトロフィーレース(以下、TT)の文化人類学的研究の一環として、スポーツボランティアの活動に着目し、スポーツ文化の生成過程と社会的機能について考察することを目的とする。
TTのコースは公道を利用するという性格上、選手と観客双方に対する安全管理や緊急時の救護のため、「マーシャル」と呼ばれる多数のスポーツボランティアを配置する必要がある。現在では2週間に渡るレース期間中、一周60kmのコースに約1600名から2000名を擁する。
フィールドワークと文献研究により歴史的変容と空間的側面から考察した結果、TTにおけるマーシャル活動は①レース時の運営に関わるだけでなく、スポーツ文化の発展に寄与している。②他者受容の文化が促進され世代交代が起こることで、組織の新陳代謝とレベルの向上が促され、持続可能な文化発生装置としての一端を担っている。③モータースポーツの空間を演出すると同時に、スポーツ文化の媒介となっている。以上が明らかとなった。
民俗芸能の伝承と地域社会
――三重県鈴鹿市内の獅子舞伝承を事例として
平山眞さん(鶴舞看護専門学校)
□ 日時 2009年12月21日(月) 18:30~20:00
□ 場所 東洋大学白山校舎 5401教室
□ 要旨
今回の報告においては、三重県鈴鹿市肥田(ひだ)町における獅子舞伝承を主な事例として取り上げ、その概略を示しつつ、20世紀後半からの大きな社会変動の中でのその変遷を辿り、地域社会と文化伝承の関係について考察を加える。
鈴鹿市肥田町においては、同町に鎮座する宇気比(うきひ)神社の春秋例祭において、獅子舞が奉納される。これには現在、小学生から約50歳までの男性20数名からなる獅子舞保存会のメンバがあたっているのだが、その伝承は20世紀後半における産業構造の変化や人口流動といった社会変動の波を大きく被り、一時は途絶、その後復活はしたもののその存続を巡って議論が闘わされるなど、幾多の変遷を経てきている。ここでは、社会変動の中で幾度か廃絶の危機をくぐり抜けてきた獅子舞伝承が、何故に可能であったのかについて、そしてまたそこから何を読み取るべきなのかについて考えてみたい。
ところで、報告者は、2007年3月から2008年9月までの約1年半の間同地に居住し、この地の住民の日々の営みを目の当たりにしてきた。また獅子舞保存会にも加入させていただき、獅子舞伝承の場である例祭前の2週間前後の練習に加わり、2008年の春秋例祭でも獅子舞を舞うという機会を得ることが出来た。今回提示されるデータは主として、こうした実体験や、保存会メンバからの聴き取りに基づいたものである。
漁村の高齢者とその役割
――高齢海女や漁師が働く意味――伊豆・下田市須崎地区の高齢者労働の事例より
齋藤典子さん(静岡県立静岡西高等学校(日本史)、清水東高等学校(小論文)非常勤講師)
□ 日時 2009年11月16日(月) 18:10~19:40
□ 場所 東洋大学白山校舎 5401教室
□ 要旨
本発表は、伊豆半島の海村・下田市須崎地区に住む漁民高齢者男女が日常行う労働が高齢者自身や家族、あるいは漁民社会にどのような役割をもたらしているのかを考察するものである。本発表で取り上げる伊豆半島は、明治期以降、昭和50 年代まで、およそ50 箇所で海人による貝の採取やテングサの採藻漁が行われてきた。近年、海女の高齢化や後継者不足から、多くの地域で海女によるテングサ漁が終焉を迎えている。しかし、高齢化率32%を超える超高齢社会の下田市須崎地区では、今も70,80 代の後期高齢者・海女によるテングサ漁が続けられている。さらに、テングサ漁を終えた冬季は、夫とエビ網漁を行う。つまり、70 歳を超えても夫婦ともに現役の漁師や海女として、海で働き続ける。なぜ、須崎地区の高齢者は高齢になっても働き続けるのか。高齢者が働く理由は、経済的な要因や「生きがい」などの個人的理由に依拠するだけであろうか。須崎地区の高齢者漁民労働のフィールドワークを通して、明らかになったのは、地域の伝統的な漁民としての働き方が男女ともに体系付けられていることである。その背景には、地域の共有資源である共同漁場の利用というローカルコモンズの概念がある。本発表では、高齢者労働の背景、目的、役割、影響を地元に残る近世史料を用いながら考察を深めてみたい。
□ 発表者略歴
2009年9月 名古屋大学大学院文学研究科比較人文学文化人類学科博士後期課程満期退学
日本文化人類学会、日本民俗学会、日本老年社会学会所属
元 静岡新聞社 営業局 編集記者
国際結婚女性の適応様相についての考察
アジア文化研究所プロジェクト「境域アジアのトランスナショナル・コミュニティ―:地域間比較研究の定礎に向けて」(代表:松本誠一)との共催
キム・ミヨン(金美榮)さん(国立韓国国学振興院・責任研究委員、同附属「韓国儒教文化博物館」展示企画室長)
□ 日時 2009年10月19日(月) 18:10~19:40
□ 場所 東洋大学白山校舎 5302教室
□ 要旨
本研究は国際結婚によって安東地域に定着した外国人女性たちが日常生活において適応していく過程を考察したものである。つまり、日常生活において外国人女性たちが経験する葛藤はなんであろうか、この葛藤をいかなる方法で乗り越えているのか、という問題を深層的に分析する予定である。
□ 発表者プロフィール
韓国の儒教文化中心地、安東出身。安東大学民俗学科、仁荷大学大学院修士課程、東洋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士課程在学中に高橋統一教授指導の下、鳥羽調査。韓国南海岸の中央部、サチョン(「サンズイに四」川)村落の社会人類学的調査を行い、学位論文とする。韓国では日本の民俗学研究の紹介、日本社会文化の紹介に努めるとともに、韓国の民俗学・社会人類学的研究を展開。とくに、安東地方の同姓村落を対象とした悉皆調査は注目される。著書の一部に、『日本の家と村の民俗』2002(韓国語)韓国:民俗苑、『儒教文化と女性』2004(韓国語)韓国:サルリム出版社、『家族と親族の民俗学』2008(韓国語)韓国:民俗苑、共著『韓国の宗教と祖先祭祀』2008、岩田書院などがある。
インドネシア高等教育の発展におけるイスラーム私立セクターの役割――1950年代~60年代のインドネシア・イスラーム大学(UII)とシュハダ・モスクに着目して
中田 有紀さん(東洋大学法学部企業法学科)
□ 日時 2009年6月15日(月) 18:10~19:40
□ 場所 東洋大学白山校舎 5401教室
□ 要旨
インドネシアの高等教育の機会拡大には、私立セクターが重要な役割を果たしてきたことが指摘されてきた。しかし、私立セクターが果たした役割とは、教育機会の量的な拡大に限定されるものではない。高等教育の質の充実・発展の支えとなる役割も果たしてきたといえる。本発表では、インドネシアの高等教育の発展に、イスラーム私立セクターが果たしてきた役割について、1950年代~60年代におけるジョグジャカルタの私立インドネシア・イスラーム大学とシュハダ・モスクに焦点を当てて考察することを目的とする。政治・社会の変化に対応しながらも、個人や財団などのプライベートなイニシアティブは、高等教育の発展を支えてきたことを明らかにする。
ヴェトナム・コホー族チル集団の社会構造とその変動過程
本多 守さん(東洋大学アジア文化研究所客員研究員)
□ 日時 2009年5月18日(月) 18:10~19:40
□ 場所 東洋大学白山校舎 5401教室
□ 要旨
本発表対象のチル集団は、モンクメール語族に属するコホー族の中の焼畑耕作民で母系制社会を形成する。発表では、最初にチル社会の社会構造を示し、次にフランス占領後、現在に至る過程でチル社会が受けた外部の政治的経済的変化によって、変化する社会構造の変動過程を明らかにする。そしてその変動過程において婚姻連帯の変化に焦点を当て、リーチの姻戚関係に基づく社会構造理論と比較しながら新しい婚姻連帯拡大型モデルを提示する。
マニラにおけるムスリム・コミュニティの社会形成と変容
渡邉 暁子さん(東洋大学社会学部)
□ 日時 2009年4月20日(月) 18:10~19:40
□ 場所 東洋大学白山校舎 5401教室
□ 要旨
フィリピンは東南アジアで唯一のキリスト教国家である。そのなかで南部フィリピンに居住するムスリムは、1960年代末より武力を伴った分離独立運動を展開してきた。このため、従来のフィリピン・ムスリム研究の多くは、中央政府と対立する南部イスラーム勢力をめぐる諸問題を主題としてきた。しかしながら、戦禍を逃れ、国内外での経済的向上を求めてマニラに移動したムスリムは現在12万人を超え、もはや特定の領域内でその社会を捉えることが困難になっている。首都において政治的、経済的に重要な位置を占めるようなったムスリムに対し、その社会に関する研究は端緒についたばかりである。
本報告ではこうした研究動向をうけて、マニラのムスリム・コミュニティを対象とし、国家のマイノリティとしてのムスリムの社会文化面での動態を理解することを試みる。具体的には、グローバルなムスリム・ネットワークとムスリム・コミュニティ形成との関連、ムスリムとキリスト教徒との日常的な交渉や関係、都市マイノリティとしてのムスリムの自己表象の戦略といったものを、フィリピン国家をとりまくマクロな社会経済状況の変化との相互作用のなかで、ムスリム・コミュニティの社会形成過程に位置づけ、考察していく。