回 専門家インタビュー Feb. 2021

ターニングポイントで考える「自然共生社会」への転換

竹内  気候変動、人口減少、資本主義の経済体制など、環境や社会経済分野では多くの問題に直面しており、このままの状態では今後は立ち行かないと考えられています。どの分野の人も、10年後、30年後の幸福な将来のためには「今がターニングポイント」だと言っています。生物多様性・生態系分野でも同じくターニングポイントだと言えるでしょうか。

中静  生物多様性・生態系は、社会の色々なターニングポイントのなかで一番絡んでくる問題だと思います。「持続可能な社会」を考えたとき、石油、地下資源などはどんどん制限されていくので、再生可能なもので社会を作っていくことを考えると、生物以外のものはあまりないと思います。太陽・風・水を利用した発電もありますが、食糧は生物しかない。また、本当に再生可能な資源ということを考えると、生物を使うしかなくて、その生物を材料としてイノベーションに利用するかが重要だと思っています。例えば、改質リグニンという素材は、リグニンで高機能プラスチックを作るという技術で、実用化されようとしています。他にも、7階建てとか10階建てのビルとかも木材だけで作れるような時代になってきていて、そのほうがコストも安いし二酸化炭素の排出量も少ない可能性があります。今までの社会じゃない新しい社会を作るときに、生態系をどう利用するか、生態系資源をどう利用するかが「持続可能な社会」を作るカギになると思います。