静定梁の挙動(3)

~単純梁の内部に生じる力~

それでは,単純梁の内部に生じる力を調べることにします.内部に生じる力の事を「応力」と言います.梁の場合,応力には軸力(通常は0),せん断力,曲げモーメントの3種類があります.

応力を求めるには,まず応力を求めたい位置で部材を仮想的に”切断”します.そして,切断した左側(右側でも可)を使って,部材に作用している外力(支点の反力も含む)と釣り合う力を,切断した点で考える事とします。力の釣り合いを満足するように得られた力が,その位置での応力となります.

具体的には下図のようになります。計算の方法は「構造力学」の教科書等を参照して下さい.

(計算の仕方に関しては,YouTube(構造力学入門)でも解説しています.)

応力が部材の中でどのように分布しているのかがわかると非常に便利なので,これを図に表わします.ここでは,曲げモーメントの分布を図で表す事にします.

曲げモーメント図は上のようになります.ここで,曲げモーメント図は引張られる側に描く点に注意してください.実験での梁の変形の写真(下)と比べて下さい.

写真と曲げモーメント図の比較から,曲げモーメントの最大となっている場所でゴムが最も伸びている事がわかります.

ところで,曲げモーメントとゴムに生じる力の関係は上図のようになっています.すなわち,梁の下側のゴムの引張力と同じ大きさ(向きは逆)の圧縮力が,梁の上側に生じます.そして,引張力と圧縮力の間の距離(うでの長さ)と引張力の積が梁の曲げモーメントと釣り合っています.

言い換えれば,梁に生じる曲げモーメントは,ゴムに生じる引張力とスタイロフォームに生じる圧縮力に分解され,それぞれが負担する事により荷重を支えていることになります.


前のページへ次のページへ