バナナという作物

🍌 シモンズらによる遺伝子型分類の指標

シモンズらによる栽培バナナの分類法

「バナナの分類と名称の由来」では、さまざまな遺伝子型の栽培品種があることを紹介しました。栽培バナナは分類がむずかしいと述べましたが、植物学者シモンズら(Simmonds & Shepherd 1955)はアクミナータとバルビシアーナの植物体が大きく異なる点に着目し、栽培バナナを植物体の形質から遺伝子型ごとに分類する方法を提唱しました。

この方法は、植物体の15の形質(以下の表1)について、1~5点のスコアで採点していき、合計の点数によってその植物体の遺伝子型を推定するというものです。具体的には、アクミナータの形質であれば1点、バルビシアーナであれば5点と採点し、両者の中間的な形質を示すものには、2~4点をつけます。

表1.シモンズによるバナナ遺伝子型推定の15の形質

合計の点数は15~75点の範囲になりますが、シモンズらは、

15~23点:AA、AAA、およびAAAA

26~46点:AAB

49点 :AB

59~63点:ABB

67点 :ABBB

と分類しています。


この点数割り当てに対してシラヨイら(Silayoi & Chomchalow 1987)は、次のように改良を加えています。

15~25点:AA、およびAAA

26~46点:AAB

47~49点:AB、およびAABB

59~63点:ABB

67~69点:ABBB

70~75点:BB、およびBBB


上記のシモンズの採点法で調査の経験を積んでいくと、バナナの植物体を見ただけで、遺伝子型を推定できるようになるといいます。私たちもたくさんのバナナを見てきましたが、バナナの遺伝子型の判断は難しいと感じます。