子育ては大変で当たり前
~分かち合えって笑い合える人とつながりましょう〜〜
~分かち合えって笑い合える人とつながりましょう〜〜
毎日の育児と家事、あるいは仕事にまで追われているという方も最近は多いのではないでしょうか。そんな大変な中、「あ、明日のノートもうない」とか「宿題忘れてきた」とか夕方になって言い出す・・・ありますよね。
まずは、はっきりお伝えしましょう。「子育ては大変で当たり前」です。
本当に『頭の中どうなってるの?』と覗いてみたくなるほどに、子どもたちは予測不能で不思議な生き物です。意味不明なことを繰り返すのも日常茶飯事。子どもと毎日向き合うことに疲れ果ててしまうことがあるのは、親の弱さや怠慢ではなく、日々発達し進化していく子どもと向き合っている紛れもない証拠なのです。それだけでも国民栄誉賞レベルだと、私は思います。
さて、子どもの脳は大人のように即座に判断したり感情をコントロールしたりはできません。これまでの保健通信でもお伝えしてきたように、感情や自制心を司る脳の「賢い部分」はゆっくり成熟します(大人と同等に働くには20年以上の年月が必要です)。つまり、忘れ物を繰り返す、イヤイヤ期の爆発、口ごたえや反抗、これらは「できない」から起きることであって、「やる気がない」や「わざと」ではないことが実は多いのです。
また、人は無意識のうちに自分が育てられた経験を元に、子どもに接してしまいがちです。厳しく育てられた方は、つい同じ手を使いたくなることもありますが、児童精神科医・佐々木正美先生の言葉を借りるとしたら、「悪いことをしたから叱るのであって、悪い子だから叱るのではない」という視点が大切です。人格を否定する叱り方は、子どもの自尊感情を傷つけ、長期的な心の成長を阻害する恐れがあります。
では、具体的に何を意識すればよいでしょうか。日常ですぐ試せるポイントを三つご紹介します。
子どもの感情を否定せず、子どもの言葉をおうむ返しのように繰り返したり、短い言葉で共感的な言葉を返してみてください(例:「痛かったんだね」「分かってほしかったんだね」「とってもイヤだったんだね」)。
これだけで子どもは「自分の気持ちを分かってもらえた(聞いてもらえた)」と感じて安心し、落ち着くことが多いです。
親も人間です。感情的になってしまうことがあって当然です。そんな時は、互いに傷つけあわないよう、なるべく早くその場から離れて深呼吸をしたり、落ち着く音楽を聞いたりして自分を落ち着かせましょう。落ち着いた後で「ごめんね、さっきは言いすぎた」と伝えることが、子どもとの関係修復、そして子どもにとっての大切な学びになります。謝る親の姿は、子どもに「自分の非を認める勇気」を育てます。
不安や疲れが溜まると、親は余裕を失います。友達や相談できる人に話す、短い息抜き時間を作る、本を読むなど、心を満たす行為を意識的に取り入れてください。心が満たされると、子どもの小さなSOSにも気づきやすくなります。
最後に、子育てで大切にしたいことは、子どもが「自分は愛されている」「大切な存在なんだ」と思えること。そうした安心感があれば、子どもの心と体は健やかに成長します。そうして、母性的な「ありのままを受けとめてくれる愛情」が土台にあるからこそ、父性的な「規律を守る」ことができるようになるのです。その順序は決して逆にはなりません。まずは、子どもの愛情の土台を育んでいきましょう。そのための、親自身が幸せな時間やつながりを持つことも忘れずに。
この通信では、これからも「子どもの発達」「感情の受け止め方」「親のセルフケア」などを分かりやすくお届けしていきます。皆さまのご意見や体験もぜひ共有してください。完璧な親はいません。一緒に学び合い、支え合いながら、子どもたちの笑顔を増やしていきましょう。
皆さんのご意見やご感想、募集ぜひお寄せください。