コラム⑥「スマホ世代の我が子を守る!!」

〜我が子たちが使っているアプリ、もしかして危ない!?知っておくと安心な情報について〜

1.スマホ世代への理解を深め、我が子を性被害やトラブルから守るために

 今日のお話のテーマは、「便利なスマホにひそむ危険」についてです。余談コーナーとして、「モンテッソーリ教育で気づかせてもらえた、我が子を観察することの大切さ」のお話もさせていただきます。 

 さて、ふくちゃんがiPhoneを初めて手にしたのはちょうど20歳ごろ。便利さやスマートさに感動したことを覚えています。次々にデザインや機能が刷新され続け、今や小学1年生から1人1台タブレットを使いこなす時代、そして職員会議でもタブレット片手に受ける時代になりました。


 時の流れについていけない私ですが、そうも言ってはいられません。なぜなら、友人トラブルやいじめの多くが、そのタブレットやスマホを介したものへと明らかに変化してきているからです。しかもそのトラブルはますます低年齢化してきています。


 例えば、LINEのやり取りでのトラブルは高学年では以前からよく聞いていたものの、昨今では低学年までLINEで遊びの約束をしたり画像を送り合ったり。。。言葉の使い方も理解力も未熟ゆえ、トラブルが発生するのは必然とも言えますよね。


 絵文字や顔文字、スタンプもありますが、相手の表情や声のトーン、言い方などが見えないため、目に見える視覚情報だけで相手の言いたいことを汲み取るというのは大人でも誤解が生まれます。


 でもそれらのトラブルによって、大きく心が傷ついて不登校になってしまったり、いじめに繋がってしまうことも少なくありません。そのトラブルを未然に防ぐためには、子ども任せにしてはいけませんし、学校でも危機意識を持って、タブレットの使い方やスマホの危険性についての指導を取り入れています。


 ご家庭でも、そしてお友達家族とも考えてみていただきたいです。子どもたちが、友達同士のトラブルに巻き込まれないために、そして、友達の枠を知らない間に越えてしまい思わぬトラブルや性被害に合わせないために・・・子どもたちを狙う悪質な犯罪から我が子を守るためには、親が賢くならなければなりません。

 皆さんのご家庭では、いつから子どもに自分用のスマホやタブレットを与えていますか?

 また、家庭での使用方法や時間に関するルールはありますか?

 このコラムでは、友達の枠を越えた思わぬトラブルや性被害の例として、今では当たり前の通信手段となっている「LINE」、そして子どもたちがよく使っている若者に人気の動画共有アプリ「TikTok」について、ご紹介します。最後に、研修で学んだ最新のアプリ「ミクチャ」についてもお伝えします。

  まずは、LINEについて。皆さんは、LINEの「オープンチャット」をご存じでしょうか?恥ずかしながら私は最近、教育関係の講演を聞いて初めて知りました。。。

 

 「オプチャ」とも呼ばれるようですが、トーク画面の右上の、下の写真の赤丸の部分を押すと開くことができます。

 趣味の合う人と一緒にスポーツ観戦する!とか、子育ての不安を相談する、などいろんなチャットグループもありますが、誰でも自分のLINEアカウントとは全く別のアカウントが作成できます。そんなメリットがある反面、悪い人は年齢や性別を隠してアカウントを作って、子どもたちに近づきます。そんなことを知らない子どもたちや、知っていたとしても、ついつい言葉巧みに騙されてしまい、子どもたちは自分と同年齢の同性の子どもだと信じてしまうこともあります。そうして、本当は全く知らない人のはずなのに、友達感覚でLINEのやり取りをしてしまっているうちに、個人情報を聞き取られたり位置情報を知られたりして、いつの間にか子どもたちが犯罪に巻き込まれるというケースもあるので要注意です。


 未成年者の使用については検索を一部制限するなどして、LINE運営側も対策しているようですが、そこをすり抜けてくるのが悪い人のずる賢いところであり、親のスマホやアカウントを子どもに使わせている方などは、年齢制限がかからない場合などもありますので要注意です!!今一度、我が子のスマホそのもの、そして、子どもたちが使っているアプリについてもチェックしてみてください。

 次に、子どもたちがよく使っている「TikTok」について。こちらは音楽に合わせて動画を撮ったり、作成した動画を公開することができるアプリです。13歳未満には使用が禁止されていますが、親名義のアカウントを使って簡単に楽しむことができてしまいます。

 そして、保護者の知らないうちに動画をアップしてしまっていたり(位置情報がオンになっているとさらに危険です!)、その動画に「いいね!」をしてきた見ず知らずの人とDM(直接メッセージのやり取りをする)をしていて性被害に遭うケースがニュースでも取り上げられています。もちろん男の子が狙われることもあり、男の子でも被害者になりえます。投稿されている動画はスマホの画面録画機能を使えば、誰でも自分のスマホのカメラロールに投稿されている動画を保存することができるので、一度投稿してしまって誰かに保存されてしまえば、完全に取り消すということが困難になります。また、投げ銭の機能もあるため、投稿した動画や配信に対してお金に換金できるアイテムをゲットすることもできるという危険もあります。もちろん、その投げ銭の見返りを求められる犯罪もあると思います。

 実際に起きた犯罪の手口としては、動画を投稿した子どもたちに「いいね」などと近づき、DMでやり取りをして、「LINE」で使うスタンプをプレゼントすると言って送り、その見返しとして下着姿の画像を要求したり、それを脅しに使ってさらに動画を送らせたり、さまざまな脅し文句を使って直接会うことを強要しようとする事件もありました。

(読売新聞オンライン2021年1月25日記事から引用https://www.yomiuri.co.jp/national/20210125-OYT1T50104/

 勝手にやり取りしてしまった後ろめたさで親に相談しにくかったり、恐怖で相手の指示に従ってしまったり・・子どもたちの未熟さを利用した悪質な手口は次々に言葉巧みに大人の目をかいくぐって子どもたちに迫ってきます。 

 最後に、「ミクチャ」について。これは私もまだ使ったことがありませんが、どうやら登録すれば、小学生でも誰でも顔出しで動画の生配信ができるようです。

 「いいね!」をもらえた数が多ければ、人気配信者のランキングに入れます。投げ銭の機能もあるため、応援したいと思ってもらえて投げ銭をしてもらえたら、その2〜3割が本人の収入になるという仕組みがあります。特に女の子たちは、自分を認めてもらえたという自尊心が満たされるだけでなくお金ももらえるという仕組みになっているため、ハマりやすいようです。


 動画を配信する側になることも危険ですが、配信者の誰かのファンになってしまった場合にも危険があります。動画の配信が夜中になっている場合もあるため、気に入った人の動画配信をついつい見ていて昼夜逆転してしまうこともあります。さらには、投げ銭をするファンの側になってしまった場合、その額によってファンとしてのランキングが決まるため、ランキング上位をキープするように煽られたりして投げ銭をしすぎて金銭トラブルに発展して、依存症の専門病院を受診する小学生の女の子も増えているようです。実際には、投げ銭を得るために、親のお金を使ってしまったり、お金を得ようと危険な手段を取ってしまうこともあります。

 子どもたちが使っているアプリにどんなリスクがあるのか、子どもたちは大人以上に使いこなしていますが、やはりリスクを理解している子どもたちは少なく、その利用が低年齢化すればするほど、何も考えずに自分の動画を面白いと思って誰にでもオープンに投稿してしまうケースや、気軽に危険なアプリを使い始めてしまうケースがあります。アプリも次々に出てきており、先程ご説明した「ミクチャ」のみならず動画配信サービスも新しいものが次々と登場し、新しい危険な機能があるようなものも今後さらに出てくる可能性があります。そういった危険性を親が理解し、我が子が取り返しのつかない被害に遭ってしまう前に守るためには、しっかりと情報を集めたり、子どもたちのスマホやタブレットに制限をかけるなど、対策をする必要があります。子どもと普段から話をするようにして、どのようなアプリをどのように使っているのかを聞いてみることも大切です。

 子どもたちも段々と知恵がついてくると、怒られないようにバレないように、保護者や教師に見られないように設定したりと大人以上に巧みにスマホやタブレットを操作できるようになっているということも覚えておいてください。

 私が絶対に我が家のルールに取り入れようと思っているのは、1人の空間(自分の部屋や1人だけの時間など)ではスマホやタブレットを使わせないことです。きちんとなぜその必要があるのかということを子どもとも話し合った上で、フィルタリングの設定や時間でのコントロールもかけます。


 そんなこと言われても、設定方法わからん!という方は、大阪市のサイトに掲載されている設定方法などが参考になると思いますので、以下の資料を合わせてご確認ください。また、各携帯会社へ問い合わせても設定方法などを教えてくれますが、割と待たされるかと思いますので、時間の余裕のある時にお試しください。

資料①「子どもを守る方法知っていますか ~スマホの設定、大丈夫?~」

 警察庁の調査によると、子どもの性被害のうち、約9割が被害時にスマホのフィルタリングを利用していなかったという結果があるようです!ぜひ、フィルタリングをしましょう!

<忙しい方向けに、フィルタリング方法を一部抜粋しておきます。>

以下のURLから、リーフレット全体の資料が閲覧できます。https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000121/121316/firutirasi.pdf

資料② 大阪市の親力アップサイト:こちらに、上記でご紹介したリーフレットが掲載されていたのですが、それだけでなく、他のコラム記事もおすすめです。


<ちょこっとコラムタイトルのご紹介> 

 クリックするとその記事が読めます。個人的には、赤字にしている106、105、85がオススメです!

第107号「子どもも大人も性が多様である中を生きる大事なひとり~その1~」

106スマホ時代を生きる子どもたちと共に~その2~

105スマホ時代を生きる子どもたちと共に~その1~

第104号「繊細な子ども『HSC』ってどんな子?」 

第102号「支援学校卒業後も豊かに歩む~『移行期』への支援~その1」 

第101号「『住まい』から考えるシングルマザーの支援」 

第98号 「ひとりにしないこと―自死やこころの病気への理解 その1」

第97号 「アートを楽しむことは保護者と子どもの相互理解にもつながる?!」

第96号 「『生きる教育』その2~『性』を学ぶことは『命』を学ぶこと」

第95号 「『生きる教育』その1~思いを言葉で伝える」

第94号 「子どもと考える防災備蓄のススメ」

第92号 「女性と子どもの困難~DVに気づいたらどうする?その1」

第91号 「新しい時代を生きる子どもたちに求められるコミュニケーション力とは?

85号 「ハッピーをかなえるスマホ~子どもが安全にスマホと付き合うには

他のコラムも読みたい方は以下のURLから閲覧できます。

https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000121316.html#3

我が子が依存症かな?と思ったり、悩んでいる方はこちらのページもご覧ください。

「こころのオアシス」

大阪府こころの健康総合センター

http://kokoro-osaka.jp

2.余談コーナー「モンテッソーリ教育で気づかせてもらえた、我が子を観察することの大切さ」

 たまたま我が子が入園できた保育園がモンテッソーリ教育だったというお話は以前にもさせていただきましたが、その時に私は「モンテッソーリ教育って何?」と思い学び始めました。将棋の藤井棋士などでその後有名になったのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、その教育で大切なことは、子どもを観察することです。


 私はそれから、我が子が今何に夢中になっているのか、ブームなのか、こだわっているポイントは何か、地雷はどういったポイントにあるのか、興味関心が高まっている対象は何か、など、毎日じーっと見ていることはさすがにできませんが、意識して観察したり見守るようになりました。


 その時に、我が子といえども、それまでの自分には全然と言っていいほどに、子どもが求めているもの、こだわっているものが見えていなかったことに気づきました。


 そしてその観察をするようになったことで、どんな風に褒めると効果があって子どもがやる気になるか、どのタイミングで声をかけると自分からやってくれるか、イヤイヤ期などは特に、どのタイミングでどんな風に声をかけるとスイッチが入って暴れる前にスムーズに着替えさせることができるか、などなど、親子ともどもストレスが軽減できたことがたくさんあります。


 今日のメインテーマのスマホやタブレットの使用についてもそうですが、子どもたちが今どんなアプリやゲームに夢中になっているのか、それのどのポイントが面白いのか、良い面と悪い面は何か、ということを観察したり子どもから聞き取りながら、一緒に考えていく姿勢を持つことは親子関係を良好に保つ上でも大きなメリットになり、さらに暴力やいじめ、性被害といったものから子どもを守ることもできます。


 親にとっても自分の時間はとっても大切ですが、ほんの少し子どもに目を向ける時間を作って、我が子を観察してみてはいかがでしょうか。我が子の成長や意外な側面に気づくことができるかもしれません。