コラム⑨3学期保健指導

~別府小学校の心と体を育む取り組みについて~

3学期の身体測定が終わりました。


「めっちゃ伸びてる!」

「よっしゃ!」


元気な声がたくさん聞こえてきて、こちらまでうれしい気持ちになりました。

身体測定の前には、各クラスで保健指導を行っています。

今日はその内容や取り組みについてお話させていただきます。

1年生「学校・友達・自分のいいところミッケ!」

お友達から「あなたのいいところはおしゃべりが面白いところです。」とメッセージカードをもらって、恥ずかしそうにしながらもとっても嬉しそうな子どもたち。


「もっと書きたい!」と授業が終わっても、たくさんいいところミッケをしてくれました。


友達に見つけてもらった自分のいいところも大切にしながら、もっともっと、自分のことも友達のことも好きになって大切にしてほしいなと思います。


お家でも、ぜひお子さまのいいところを言葉にして伝えてあげてください。

そして、普段のありのままのあなたも もちろん素敵だということも伝えていただけると嬉しいです。

年生「自分の周りにいる大切な人と自分のいいところを見つけて伝え合う

お友達に上手にお手紙を書いて、照れながらも交換する姿がとっても可愛かったです。


お互いに書いてもらったことへの「ありがとう」のお返事も書けていた2年生。

3学期になり、また一段と成長した子どもたちの姿を見ることができました。みんな真剣に取り組んでくれていました。


普段はあまり意識しない自分のいいところ、自分の頑張っていることに気づく機会にもなったと思います。

年生「自分が困った時に助けてくれるオリジナルアイテムを考えよう

2年生の時に学んだソーシャルスキルモンスターとソーシャルスキルアイテムを復習しながら、自分が困った時によく現れるモンスターってどれかな?と自分と向き合いながら考えました。


ソーシャルスキルモンスターってなにそれ!?と思われると思いますので、少し説明させていただきます。

ソーシャルスキルトレーニングの一貫ですが、就学前の子どもから高学年でも活用できます。


例えば、自分の子どもがすぐ友達に暴言を吐いたり暴力を振るってしまうことをやめられず、親も子どもも困っているとします。それに対して、親はお友達を怪我させないかとヒヤヒヤし、「ダメでしょ!」「やめなさい!」と叱ってしまうと思います。


そんな時、子どもはどう思っているのでしょうか。実は子どもも「本当はダメなことだ。」と分かっています。でも未熟さゆえに、イライラした衝動を理性的にコントロールすることが難しく、そう簡単に自分を抑えることができません。子どももやめられなくて困っているのです。


そんな中、何度も何度も同じことで叱られてしまうと、「自分はダメな子なんだ。」と自己肯定感が低くなってしまい、「どうせ自分には無理だ。やめられないんだ。」と諦め、他のことにも意欲的に取り組めず諦めやすいといった悪循環に陥ります。


その悪循環を食い止めてくれるのがこのソーシャルスキルトレーニングです。

「君がイライラを抑えられない時は、『おこりんご』というモンスターの仕業かもしれない。」といったように、子どもの問題行動を一度、その子の中から外に取り出します。


そして、「君だけじゃなく、『おこりんご』は他のお友達の中にもいるよ。『おこりんご』はみんながちょっとでもイライラをコントロールできたら、元の世界に戻ってリンゴジュースになりたいんだって。一緒におこりんごを元の世界に戻せるように考えてみよう。」と、外に取り出したその子の問題行動に対して、親や先生が子どもと一緒に解決するチームになることができます。


その際に、効果的な解決に導いてくれるアイテムを提示します。

その名もイライラを消してくれる『イラけし』。これがまた親しみやすく、子どもがゲーム感覚で楽しみながら、チャレンジできる仕組みになっています。


このソーシャルスキルトレーニングは、自分の感情をコントロールする能力が未熟な子どもたちにとっても、やり方が分かりやすいのでコントロールスキルが身につけやすく、イライラして困った時の手助けをしてくれます。

子どもが思わず動きだす! ソーシャルスキルモンスター」

イトケン太ロウ/著、小貫 悟/監

出版年月:2021年3月19日

ページ数:120

ISBN:9784491043326

3年生は2年生の時に、支援学級の先生からこのソーシャルスキルモンスターやアイテムを教えてもらいました。今回の保健指導では、その発展編として、3年生になった今の自分がよく困ることは何かをモンスターリストを見ながら考えました。そして、自分なりの困った時の対処スキルを身につけるため、オリジナルアイテムを作りました。

ポイントは「今日からチャレンジできるアイテムにすること」として、暴言を言ってしまう気持ちにブレーキをかける「暴言ブレーキ」という一般アイテムをスモールステップ化させた「しねブレーキ」など、自分が「これだけなら頑張れそうだ」と思えるチャレンジできるレベルのアイテムを考えてもらいました。


少し難しい部分もあったかと思いますが、みんな一生懸命に自分によく現れるモンスターと向き合い、アイテムを考えていました。


「俺、面倒くさがりだからこの『メンハクサイ』モンスター。」

「私、適当だからこれ(『テキトースト』)。」

「いつもやるべきことを後回しにしちゃうから『アトデ』かな。」

「よく困らせてくるモンスター2つあるねんけど、どっちのアイテム考えたらいい?どっちも捨て難い!両方に使えるアイテムにしてもいい?」

と自分たちで次々と発言する子どもたち。


大人が思っている以上に、自分のことをよく分かっているのかもしれないなぁと感じました。


お家でも、ぜひどんなアイテムを作ったのか、そのアイテムはどのモンスターに対応するためかなど、聞いてあげてください。そして、子どもたちが自分なりに考えたアイテムを使うチャレンジができるよう、見守りサポートしていただけたら幸いです。


いつもイライラを抑えられない子が、一度でもチャレンジして『イラけし』をちょっと使ってみることができたら、「使えたね!」「今とってもイライラしてたのに、よく我慢してチャレンジできたね!」と子どもががんばったことを具体的に褒めてあげてください。きっと、ちょっと自信と勇気が湧いてきて、もっともっと使えるようにチャレンジしていくと思います。

年生「ネット世界に潜む罠

KDDIスマホ安全教室の動画資料を活用しながら、LINEやインスタグラム、ゲームなどの通知が気になったり、オススメ動画をついつい見過ぎたりして、やるべきことをやるためにネットから離れるつもりだったのが、いつの間にか長時間使用してしまうといった仕組みや罠に目を向けてもらいました。


実際に依存症の診断基準となる項目のアンケートに答えてもらい、自分のネットへの依存度を客観的に見てもらいました。そして、自分自身の行動を振り返ったり、今後の自分にとって必要なルール作りに取り組んでもらいました。


依存症になり、萎縮してしまった脳は治りません。

回復にも本当に時間がかかりますので、未然に防ぐことがとても大切です。ネットのトラブルが増え始めた4年生も、しっかりとネットとの付き合い方について、正しい知識を身につけていってほしいと願っています。


お家でもぜひ、使い方について話し合ったり、お家での使い方のルールを一緒に考えてみてください。


SNSへの投稿による被害に関する動画も視聴し、安易な投稿がどれほど危険かということも考えてもらいました。被害者にも加害者にもならないために、身近で手軽なネットが世界と繋がっていることを改めて意識してほしいなと思います。

「はまり過ぎにご用心スマホ・ケータイが手元にあると、ついつい気になって勉強に集中できなかったり、寝不足になったりします。そうならないためにどうしたらよいか、ルールやマナーについて考えます。 

「写真で住所がバレちゃうの?インターネットに載せた写真から、自宅の住所や居場所が知られてしまう可能性があります。スマホやケータイで撮った写真から、不特定多数の人に個人情報を知られる危険性を説明します。 

KDDIスマホ・ケータイ安全教室(初級コース)

全動画内容がこちらのYouTubeでご覧いただけます。授業で扱った内容のほかに、以下の内容が見れます。

・「無料ゲームって無料じゃないの?

・「ネットいじめはダメ!

・「ながらスマホは危険がいっぱい!

年生「ネットを使いすぎるとこんなことが・・・  」

ゲームに熱中して勝ち続けたいあまり、過度な課金や長時間利用により日常生活に支障をきたすほどの依存状態になってしまう危険性について学習しました。


これはまさに、ふくちゃんの弟にも起こったことですが、ゲームの仕組み自体が本当に巧みに作られていて、子どもたちがどハマって抜けられなくなるような構造になっています。特に、年上の人たちと一緒にやっている場合や、お互いに課金をして強くならないといけないような仕組みになっているソーシャルゲーム等に熱中している場合は、危険度が高いです。


子どもがどんなゲームにハマっているのか、そのゲームにはどんな危険要素があるのか、例えば複数人でチームを組んでやるので途中で抜けにくいゲームか、どのような金の仕組みがあるか、最近熱中するあまりにやめられなくなっていないか、使用時間や課金額に関して嘘をついていないかなど、しっかりと見守る必要があります。


ゲームやネットに依存的な状態になっている場合、じっくりと本人の話を聞いてあげながら、大切な脳と身体を守るためにはどんな使い方をしたらいいか、一緒に考えていく必要があります。

KDDIスマホ・ケータイ安全教室(初中級コース)

「負けたくなくて」

 子どもたちが夢中になりやすいゲーム。依存により生活リズムが崩れたり、知らぬ間に高額課金に陥ってしまうことがあります。利用する前のルール決めと、しっかり守ることの大切さをお伝えします。 

保健委員会で行ったアンケートから、高学年が「ゲームを含めた電子機器の使用時間が長い」という結果が出たことも伝えて、毎日の長時間利用がどのような結果につながるかについて考えてもらいました。

KDDIスマホ・ケータイ安全教室(初中級コース)全動画内容がこちらのYouTubeでご覧いただけます。授業で扱った内容のほかに、以下の内容が見れます。

・「伝わらない思い  」スマホやケータイでは相手の顔が見えない分、思いを伝えるために強い言葉を使ってしまうことがあります。またSNSのやり取りは、エスカレートしやすく、言葉の暴力に繋がる可能性があります。相手の気持ちを考えながらやり取りすることが大切です。 

・「遊びにおいで… インターネット上で仲良くなった人は本当にいい人でしょうか? 友達でしょうか? インターネット上で知り合った人を信用してしまうことの怖さ、会いに行くことの危険性をお伝えします。 →こちらの内容は3月に5,6年生を対象として、実際にKDDIの講師をお招きしてお話していただく予定です。

年生「受援力(周りの人に「助けて」と言える力)を身につける

これからの人生において、困った時や悩んだ時に「助けて」と自分から助けを求め、人の助けを受けることは、子どもたちが自分の心と身体の健康を守って生きていく上で非常に大切です。


中高生2万人に対するアンケート調査(資料1)において、「死にたいと思ったことがありますか?」という問いに対する中学生の回答で、70%近い子どもたちが「いいえ」と回答した一方で、20%の子どもが「時々ある」と回答していました。これはつまり、10人に2人の割合で「時々死にたいと思う」ほど悩むということです。


そこで、自分では抱えきれないような深刻な悩みを抱えた時に、ぜひ今日の授業を思い出し、相談先につながってほしいという願いを込めて、お話をしました。


中学校で支援してくれる担任の先生や副担任の先生といったサポーター以外にも、保健室の先生や部活の先生、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーといった様々な先生がいてくれること、学校外にも支援をしてくれる社会資源があることを伝えました。


そして、未来の悩める自分に向けて、こんな相談先があるよと調べた相談先を書き込むワークを行いました。『24時間子どもSOSダイヤル』をはじめ、LINEやチャットで相談できる窓口もあるので、実際に自分でその相談先について調べて知るという体験をしてもらいました。


特にネットでの相談をする際には、正しい相談先であるかどうかを考えること、安易にネットに悩みを投稿して、優しい言葉で近づいてくる人に騙されて犯罪に巻き込まれないよう注意することも伝えました。


お家でも、中学校に向けて不安なことはないかなど、聞いてみてあげてください。思春期であまり話さなくなっている子もいるかもしれませんが、「困った時はいつでも相談にのるからね。」「家族はいつもあなたの味方だよ。」と言葉にして伝えてあげることも大切ではないかと思います。

<社会のサポート資源>

・24時間子どもSOSダイヤル

全国どこからでも、24時間、いじめやその他のSOSを無料で相談することができます。

LINEやチャットからの相談窓口も含め、以下のサイトから6年生には自分たちで相談先を探してみてもらいました。