コラム⑧「変化し続ける子どもたちのネット事情〜闇の世界に迫る〜」

〜知ることから始めませんか?大人の目をかいくぐる子どもたちのネットいじめの実態〜 

2.子どもたちに増えているネット依存と不登校の実態

①子どものネット依存調査

 大阪府の子どもたちが自分たちのネット利用について考える「大阪府スマホサミット」において、キンバリー・ヤング氏が作成した世界的に認められている依存症のアンケート(表1)を用いた調査結果が発表されました。表1の8つの質問のうち、5つに「はい」と答えた人をネット依存と推定しています。2019年と2020年に実施された調査では、アンケート結果からネット依存症と推定された小学生は、2019年に10.2%、2020年には13.7%に増加ていました(図1)。コロナでの自宅待機や、外出できないといったものも増加に影響があったと考えられます。13.7%という数字は、つまり10人に1人以上の子どもがネットに依存しているということです。今後も増加することが予想されます。こうした背景を踏まえ、本校では、6年生へのスマホ・ゲーム依存症の保健指導、5・6年生を対象としたスマホ安全教室の実施(来年3月予定)、4学年ではSNSのトラブルを予防する取り組みなどを担任の先生方が行っています。


 私の弟がゲーム依存症だというお話は別のコラムでもさせていただきましたが、依存症になってしまった脳は治りません。治療は非常に時間を要します。子どもたちをネットから守れるのは、家族や友人、学校とのつながりです。ネット上ではない現実空間の心地よい居場所を、一緒に増やしていきましょう。そして家庭でも、家族でお出かけする時間や団欒の時間など、子どもがネットから離れる時間をぜひ作ってみてください。

図1:出典「大阪府スマホサミット」Yahoo!ニュース2020年12月

https://news.yahoo.co.jp/byline/takeuchikazuo/20201217-00212826

(令和3年3月第4回教育委員会大阪市 報告第4号「携帯電話等の使用実態に関する調査報告等について」参照)https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000529/529417/houkoku4.pdf

<ゲーム障害>

 精神科専門医が用いる国際的な診断マニュアルでは2013年にインターネット・ゲ一ム障害(Internet Gaming Disorder, IGD)として提言され、さらに2019年5月にはWHO(世界保健機関)が国際疾病分類の改訂(CD11)に伴いゲ一ム障害として認定されました。主な診断には「ゲームの時間や頻度をコントロールできない」「日常生活の中で他の活動を差し置いてゲームを最優先する」「生活に支障が出ているのにゲームを続ける」という3つの基準が提示されています。当てはまる状態が12カ月以上続いた場合、依存症の疑いがあると診断されます。


 『もしかしてうちの子、依存症になっているのでは?』と思われた方は、ぜひお早めにご相談ください。医療機関は現在ゲーム依存症等の患者が増加しているため、予約が1か月以上取れないこともあります。

<大阪府の依存症相談窓口>

以下のサイトには、SNS相談、土日の相談窓口、平日の相談窓口が掲載されています。

摂津市にお住まいの方の平日のご相談は、「茨木保健所」です

茨木保健所:072-624-4668(9時〜17時45分)

<インターネット依存・ゲーム障害治療施設リスト>

②不登校

 小学生でも中学生でも、不登校の数はH24年頃から増加し続けています。スマホがない時代には、不登校の子どもたちは、漫画を読み飽き、ゲームをクリアしてしまい、テレビでは昼メロしかやっておらず、友達にも会えず、友達とのやりとりもできない状況でした。しかし、スマホが普及したことで、漫画はネットのサイトで次々新しいものを読むことができ、終わりのないオンラインゲームに没頭できるようになり、次々とアップされる新しいYouTube動画を視聴できるようになりました。さらには、ネット上で見ず知らずの友達とつながることが容易になり、子どもたちの間でも抵抗がなくなっていることで、不登校が増加したのではないかという見解もあります。

3.家庭でも今日から始められる、「ネット依存」予防への取り組み

  残念ながら、これさえすれば予防できる!なんていう特効薬はありませんが、何か一つでも、ご家庭で無理なく子どもと一緒に始めてみていただけると、現状を変えるきっかけになるかもしれません。『①ネット利用時間のコントロール』は子どもと一緒に「コントロールできないことでどんな問題が起こっているのか」ということも話し合いながら、スモールステップでチャレンジできるコントロール方法を見つけることができるといいなと思います。『②生活リズムを整える』ことは、実は非常に大切です。ネット時間がコントロールできないことで弊害が生じやすく、睡眠不足や欠食、運動不足により徐々に見えない形で心身の状態が崩れていきます。『③ネット以外の興味を作る』ことは、ネット時間を制限することが困難な場合にも有効であり、ネット以外の時間を積極的に増やすことで、結果としてネット時間を減らすことができたり、生活リズムを整える効果が期待できます。また、保健室から見ている子どもたちの様子や、依存症の弟と向き合う中で感じているのは、『子どもたちの、自分を見てほしい思い』です。私の弟はもうとっくに成人している年齢ですが、それでも、頑張りに気づいてささいなことを褒めるだけで意欲がわいてくるようでした。その姿を見ていても、子どもたちは家族に構ってほしい、関わってほしいと願っているように思います。何かひとつでも、家庭で始める予防の取り組みのヒントがあればと思います。

①ネット利用時間のコントロール

・記録を取って可視化する(治療の一環としてもよく勧められます)

・家族とルールづくりをする

・ネットの利用は、リビングや外が見える場所でする

・ノイズキャンセリングのイヤホンを使わない

 (のめり込んで没頭しすぎないようにするため)

・時計を見える場所に置く、アラームを設定する

「依存症の子どもたちは、責められたり否定されると、余計に止められません」

 対策としては、本人と話し合った上でネット利用時間のルールを作ったり、iPhoneによるスクリーンTimeの設定や休止時間設定の利用がオススメです。ただし、暴力や暴言が激しいなどコントロールがすでに難しい場合は、家庭だけで頑張りすぎず、専門機関につなぐことも必要だと思います。

②生活リズムを整える

・入浴で清潔を保つ

・外で運動する

・食事をバランスよく食べる

・太陽の光を浴びる

・睡眠を適切な時間にとる

③ネット以外の興味を作る

 釣り、お菓子作り、アウトドアなど、なんでも子どもが興味を持ったことから始められるといいですね。

④子どもを見る時間を1分でも作るススメ

 保健室でも子どもたちからは、『おうちの人に話を聞いてほしい』『聞いてもらえない(と感じている)』という心の声がしばしば聞こえてきます。具体的には、「仕事で忙しそうだから話せない。」「疲れて帰ってきてるし、(一緒に過ごしたり、話したりする)時間もないから。」「しんどいって伝えても、寝ときとか薬飲んどきって言われるだけ。」という言葉を耳にします。私自身も仕事に家事育児と、余裕がない身なので身にしみる言葉でもありますが、みなさんのご家庭ではどうでしょうか?

 

 きっとおうちの方も心配しながら声をかけてくれていると思います。もちろん、「またか」と、いつものことだと流してしまうこともあるかもしれませんが、もしかしたら子どもたちは、おうちの人と話をしたくて、「話を聞いて!」「私を見て!」と言えずに、「しんどい」という訴えになっているのかもしれないなと思うことがあります。小学生になると、なかなか素直にその気持ちを表現できなくなります。そうして、言葉にならない『見てほしい』『聞いてほしい』気持ちをなんらかのSOSで発信するのではないかなと思っています。もしかしたら、友達とトラブルになっていて、モヤモヤした気持ちがあるのかもしれません。

 

 子どもが『荒れる』背景には、必ず理由があります。小さい子どもならば、「お腹が空いてる」「眠たい」ということすら自覚できなかったり言葉にできずに不機嫌に駄々をこねますが、小学生もまだまだ自分自身の心や体のモヤモヤを、言葉にできない発展途上です。思春期が重なれば、なおさらです。イライラしやすく、反抗的になることも多いですが、心の中は不安でいっぱいです。友達とのこと、好きな人のこと、体の変化のこと、勉強のこと、将来のこと、子どもたちはいっぱい悩んでいます。


 まだまだ言葉も未熟で不器用な子どもたちは、必死に自分を見てほしいと願っています。頑張ったことを知ってほしい、褒めてほしい、認めてほしい。その気持ちは先生に褒められるよりも、おうちの人に褒めてもらえた方が、何倍もうれしいものです。なかなか忙しくて時間が取れない、自分に余裕がないのは私自身にもあてはまることなので、頑張ってくださいなんて言えませんが、知っておいていただきたいです。わが子を見ていても、毎日「聞いて聞いて!」「こっちを見て見て!」の連続です。


 子どもたちは、親が思っている以上に、親のことをよく見ています。親はもちろん、生活のために働いたり家事をこなしたりと、子どもを見てばかりもいられません。それでも、ちょっと仕事や家事の手を止めて、わが子を見つめる時間を作ってみていただけたらと思います。いじめからわが子を守る一番の対策は、わが子を見つめてみることではないでしょうか。

本校開催日時 3月2日(木)

3限10:50~11:35

4限11:40~12:25

(5,6年生、各1時間で実施予定ですが、何限目かは未定です) 

場所:体育館の予定

YouTubeの指導動画

小学校低学年向け:https://www.youtube.com/watch?v=JDBxawehHx4

小学校中学年~高学年向け:https://www.youtube.com/watch?v=iC6oQ8cU03I

小学校高学年~中学生向け:https://www.youtube.com/watch?v=pdRqAqmYZK8

中学生~高校生向け:https://www.youtube.com/watch?v=1iLTW5c34Hk

保護者向けの内容> 

デジタル時代の子育てを一緒に考えてみよう! (低年齢層 (~6歳程度) の保護者対象)

インターネットトラブル事例集(2022年)