コラム③小児肥満から生活習慣病につながる鎖を断ち切るために

〜若いから大丈夫!?子どものころの生活習慣は一生ものと言っても過言ではない 〜

1.小児肥満から生活習慣病につながる鎖を断ち切るために

 ちょっとぐらい太ってたって健康的で可愛い!と、子どもたちにはそう思うのですが、やはり長い目で見ると、軽度の肥満であっても、その体重をキープし続けてしまうと、身体に負担がかかってしまうことは否定できません。


 私は救急病棟で働いてる時に、思ったんです。健康で長生きするって本当に大事だなって。」


 病気になってしまってからでは、本当に大変です。治療することも大変だし、症状も辛かったり、いろんな生活が制限されたり、後遺症に悩まされたり。。。


 健康な時にはなかなか意識することは難しいのですが、生活習慣病になってからでは遅いです。早期発見早期治療も大切ですが、そのもっと前に予防することが何よりも大切です。


 この機会に、自分や家族の健康について考えてみていただけたら嬉しいです。

次に、救急病棟で健康の大切さを実感した時のことをお話させていただきます。


 私は救急病院で働いていた時に、まだ30代という若さで、心筋梗塞になって救急搬送されてきた患者さんに出会いました。


 その方の原因はやはり生活習慣。長年肥満体型だったその方の原因は、運動不足とカロリーの過剰摂取・・・つまり脂質の摂り過ぎにより、サラサラ血液ではなくドロドロ血液になり、その悪影響によって血管が硬くなってしまいました(いわゆる動脈硬化!)。そうして血管の壁が分厚くなることで、血管の内径も狭くなって血液が流れにくくなります。そんな狭ーい血管やボロボロになっていく血管のその先に、心筋梗塞が起こります(かなりザックリな説明であることをご了承ください)。

(一般社団法人 日本小児内分泌学会より引用)

 その患者さんは、まさにそのような生活を学童期から続けていて、さらには大人になって運動する機会もなくなり、働き始めたものの、接待での飲食が増えてますますカロリーの過剰摂取になったり、睡眠不足になったり、デスクワークの仕事でろくに動かず、ストレスで過食に走り・・・


 その方をケアする中で思ったのです。予防教育をもっともっと早くにしなければ!と。


 学童期、もっと言えば幼少期からですが、今の生活習慣というものは、子どもたちにとっては良い習慣も悪い習慣も、他の家庭を知らない分、当たり前になり、その習慣で健康の土台が形成されます。

(一般社団法人 日本小児内分泌学会より引用)

そして、高校を卒業する頃には、誰にも運動しろなんて言われなくなりますよね。

 運動すると気持ちがスッキリして、ストレス発散になる!という感覚だったり、適度な運動を続けることは自分にとって大きなメリットになる!ということを体験したり学ばない限り、誰も面倒な運動なんてやりたくないものです。特にこれからの暑いジメジメした季節なんてそうですよね。


  とはいえ、子どもであっても大人であってもそうなんですが、太っていることは痛くも痒くもありません(大人は段々と膝にきたりもしますが)。特にこれといった症状がないので、痩せなければ!という危機感や意識を持ち続けることは難しいものです。


 それに肥満になる子どもの多くは、家庭での生活習慣が大きく影響しているため、本人が意識しただけでは簡単には改善できない難しさがあります。そこで保護者の皆さんに声を大にしてお伝えしたいのです!!

子ども(ついでに大人も!)の生活習慣を、いつ変えるのか??


 今です!!ぜひ今日からやりましょう!!

 子どもはよほどの肥満でない限り、食事制限なんてガッツリしなくていいんです。 

 子どもも大人も嫌なことを継続させるのは無理難題で至難の業ですから!!続けるコツは「小さなステップ」「小さなごほうび」です。

「小さなステップ」

①毎日体重を記録してみようかな!


②寝る前にストレッチしてみようかな!


③夕方涼しくなったら、家の周りちょっと散歩しようかな!


④野菜もなるべく摂って、3食ちゃんと食べようかな!


他にも、YouTubeのエクササイズ動画一緒に見て5分だけやってみる!、夜22時以降の夜食は家族みんなでやめる!でもなーんでもいいんです。

「小さなごほうび」

 小さなごほうびでも、モチベーションにつながります。例えば、何か一つでも出来たことがあれば、がんばったシールを貼れる!しかも、10個シールが貯まったら映画見に行ける!なんて、ご褒美を考えてもいいかなと思います。それが出来たら、次にはあっという間に30個もシールを貯めることができるかもしれません。(ご褒美は小さめからスタートがオススメです)

 健康的な生活ができると気持ちが良いですし、そんなささやかな頑張りを積み重ねることができたら、いつのまにか継続する力もついたりと、良いこと尽くしだったりします。 

 保護者の皆さんも、子どもたちの健やかな成長を元気な身体で見守っていくためにも、子どもと一緒に健康への意識をちょこっとだけでもいいので、変えていってもらえないでしょうか?

 そんな小さな変化が、素敵な家族の未来につながることを願って。。ふくちゃんより、お伝えさせていただきました。

 健康的な食習慣については、本校の栄養士のHPが7月にアップされる予定ですので合わせてご覧いただけたらと思います。


 学童期の子どもたちだけでなく、大人も肥満かどうかをチェックする指標について、次に説明を加えておきますので、気になる方はチェックしてみてくださいね!

成人(高校生以上)向けの指標:BMI

BMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。


以下のサイトでも簡単に計算してくれます!

https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228732

2.余談コーナー「我が家のシール大作戦」 

さきほどご紹介した「シールでごほうび作戦」を我が家でも実践してみたのでご紹介します。


 我が家で改善したいと思ったきっかけは、保育園入所とともに子どもの爪噛み癖がついてしまったことや、鼻ホジホジからの〜パクッと鼻くそ食べちゃう癖がついてしまったことをなんとかしたいなぁ!というものでした。


我が家の「小さなステップ」


 チャレンジの設定は、「ちょっと頑張れば達成できることにする」というのがミソかなと思います。まずはその子がチャレンジできそうな「小さなステップ」を設定するために、ちょっと頑張ればできそうなことは何かなと、わが子を観察してみてください。

 

 例えば、爪噛みであれば、よくやってしまうタイミングを観察して、我が子だとテレビ見たりボーッとする時間たったので、その時には両手に何か持たせておいて(もはや物理的に出来ないようにさせてますが。。)、やってなかったら「出来たじゃん!」「やっぱりママはあなたならできると思ったんだぁ!」などと、初めは大袈裟に褒めていました。


 それができるようになったら、次に設定する小さなステップを何にするか、子どもを観察しながら考えていく・・・といった感じです。


 大事なポイントは、

「できなかったとき、できなかったことは責めない」

「できたとき、できたことだけを褒める」


我が家の「小さなごほうび」

 我が家の女の子は、プリンセスや塗り絵が大好きなので、初めはきれいな人魚やプリンセスが描ける水塗り絵をごほうびにしました。男の子は、虫が大好きなので、ごほうびは昆虫館へ行こう!だったり、昆虫鉛筆ゲットだ!だったり、どれも割と安上がりですが、子どものニーズに合っていれば満足度も高く、意欲も出るので大丈夫です。


 高学年になるとごほうびの設定が難しくなるのかなーとも思いますが、本校の子どもたちを見ていると、お手伝いをして誰かの役に立つことや、自分一人で何かができるようになることに喜びを感じる子どもは多く、そうした意欲をチャレンジに変えて、いろんな生活体験をさせたり、毎日コツコツ頑張れるようになれるといいなと思っています。


 ご飯は残さず食べてほしいな、ご用意は自分で出来るようになってほしいな、洗濯物手伝ってほしいな、玄関の靴はきれいに脱いでほしいななどなど、生活の中のいろんなものに活用できて、子どもも出来た!が嬉しかったり、「早くやりなさい!」と言われる代わりに、「今日も自分で出来たね!」と言われて、親子ともどもストレスが減るので我が家ではシールチャレンジをたくさんしています。


 本人に「あ、これなら出来るかも」と思わせられたら、チャレンジを継続するのも容易になるかと思います。