第179回

日時】12月3日(土)15:00~17:30

【タイトル】ポジティブなパーソナリティ概念とその周辺

【発表者】小塩 真司(早稲田大学文学学術院)

【要旨】歴史的に,パーソナリティ概念は価値を直接的に伴わないことが前提とされてきた。しかしながら近年,社会経済政策や教育政策とパーソナリティ概念が結びつくことにより,社会や教育の中で伸ばすべきパーソナリティ特性に言及される機会が増えてきている。たとえば近年よく言及されるのは,知能に対する非認知特性と総称される各種概念(自己制御,Grit,好奇心など)であり,かねてよりポジティブな特性とされてきた自尊感情,レジリエンス,well-beingなども社会の中で伸ばすべき特性とされている。本発表では,Big Fiveパーソナリティ特性を軸にしながら,これら諸概念の整理を試み,今後の研究の動向を展望する。

【タイトル】社会的排斥の影響を調整する文化的要因の検討 ~日韓比較を通して~

【発表者】鷹阪 龍太(東洋大学大学院)

【要旨】人は基本的な欲求として所属欲求を持っており,それが満たされない状態は個人にとって危機とみなされるが,その危機の程度は個人によって異なると考えられる。本研究では,この危機の程度に対する認識の個人差要因を社会的排斥の操作を通して検討した。この際,所属欲求がどのように満たされるかはその社会において他者との関係性がどのように規定されているかに影響を受けると考えられる。そこで本発表では,同じく相互依存的な自己観を保持するとされているが,その相互依存関係の中でどのように他者を位置づけるかに違いがある日本と韓国のデータをもとに報告する。また,そうした危機からの回復過程についても個人内要因の検討を行う。