日時:8月25日(火) 15:00ー17:30
発表者:蔵永 瞳(就実短期大学)
田渕 恵(関西学院大学)
場所:東洋大学白山キャンパス8号館7階125記念ホール
発表者:蔵永 瞳(就実短期大学)
タイトル:感謝されると親切になる?―感謝表出が受け手に及ぼす影響―
概要
従来の感謝研究においては、感謝を感じると、自分に親切をしてくれた人にお返しをしやすくなったり、第三者に対して親切をしやすくなることが示されてきた。“感謝する”ことは、当人の親切な行動を引き出す機能を持っていると言える。さらに感謝に関しては、近年、“感謝する”ことだけでなく、“感謝される”ことにも社会的機能があることが示されつつある。つまり、他者に対して親切をして“感謝される”と、その後も親切をしやすいことが明らかになりつつある。
本発表では、“感謝される”ことを感謝感情の表出を受けることとして捉え、その社会的機能について検討した従来の研究知見を紹介するほか、発表者がこれまで実施してきた調査研究・実験研究の結果を報告する。そして最後に、これまで得られた知見を整理し、なぜ“感謝される”と親切になるのかについて議論する。
発表者:田渕 恵(関西学院大学)
タイトル:「高齢者の知恵の伝授と若者の感謝―制御焦点理論を用 いた実験的検討-
概要
発表者は高齢者心理学の視点から、高齢者が次世代を助けるという利他的行動場面において、どうすればお互いの世代にとってポジティブな影響のある世代間相互作用を実現できるのかについて研究を進めている。近年は、高齢者がこれまでの経験を活かして知識や知恵を伝授することによって、次世代を助けるという世代間の利他的行動と、そこで起こる世代間相互作用が高齢者と若者双方に与える心理的影響について、実験的な検討を行っている。発表ではまず高齢者側の立場から、若者に知恵を伝授する際に、若者から「感謝される」ことが、高齢者の心理的変化にどのような影響を与えるのかについて検討した研究をご紹介する。次いで若者側の立場から、どのような高齢者の知恵に対して若者が「感謝する」のかを、制御焦点理論を用いて実験的に検討した研究をご紹介する。これまで一方向から検討されることの多かった世代間相互作用の心理的影響を、双方向の立場から研究することで、円滑な世代間コミュニケーションのための秘訣を探りたい。