日時:2014年2月28日(金)16:00~17:30
場所:東洋大学白山キャンパス6号館2階6204教室
発表者:山岸俊男 先生(東京大学)
タイトル:「制度としての文化」
概要:
人間は社会的適応環境(=安定したインセンティブ構造=他者からの予測可能な反応パターン)への適応行動を通して、その環境自体を集合的に生み出し維持している。このプロセスを社会的ニッチ構築と呼ぶ。本公演ではこの社会的ニッチ構築の観点から文化の分析を行う。人間の協力行動や利他行動を説明する理論構築が現在社会科学と生物学で進められているが、それらの理論は大きく集団淘汰説と間接互恵説(あるいは直接利益説)とに分けられる。これら二つの説から予測される行動傾向を人間が実際に有しているかどうかを検証するための実験研究について紹介し、間接互恵説から導き出される社会的秩序のありかたを集団主義的秩序として、また司法制度の確立により生み出される社会秩序のあり方を個人主義的秩序として理解し、それぞれの秩序原理の下での適応行動と性質と、そうした適応行動を促進する心理機序の性質として心の文化差を分析する。