2015年05月27日
福岡県春日市の須玖タカウタ遺跡で最古の銅鏡鋳型発見
福岡県春日市教育委員会は27日、同市の須玖(すぐ)タカウタ遺跡で、国内最古の弥生時代の青銅鏡「多鈕(たちゅう)鏡」の石製鋳型(弥生時代中期前半=紀元前2世紀)が国内で初めて出土したと発表した。
国内での青銅鏡生産はこれまで弥生後期初頭(1世紀)の「小形仿製(ぼうせい)鏡」が最初とされていたので、国内の青銅鏡生産の開始時期が200〜150年さかのぼることになる。多鈕鏡は国内に最初に流入した青銅鏡で、従来、朝鮮半島製とされていたが、今回の出土で国内での生産の可能性も出てきた。同遺跡を含む須玖遺跡群は弥生時代有数の青銅器生産遺跡として知られ、魏志倭人伝に登場する「奴国」の中心地にあたる。
近くの須玖岡本遺跡からは弥生時代中期から後期初頭の甕棺墓(かめかんぼ)116基、土坑墓・木棺墓基と祭祀遺構が発見された。一部破壊されたものなどを含めると300基を超えると推測され、西側の一段低くなった平坦地で9軒の住居跡が発見されている。
★魏志倭人伝では、奴国は二万余戸とされていて、領域はかなり広かったと想像できる。ただちに奴国中心部ということは言えないのではないか。工場を立地するのは原材料や燃料の入手に便がある土地だろう。騒音や煙という公害を考えると、鍛冶屋の遺跡と国の政治の中心が一致するとは限らない。
関連資料 魏志倭人伝の風景「奴国」