趣旨
補償光学は乱れた光波面の位相を補正する技術である。地球大気のゆらぎの乱れ
を補正することで地上望遠鏡からでも回折限界の解像度を実現することができる。
補償光学系の採用によって多大な効果が見込める大型望遠鏡にとってこの技術が
必要不可欠であることは、その観測的な研究の成果が物語っている。
大型望遠鏡に限らず小口径の望遠鏡においても、要素技術の実証実験や明るい
天体を対象としたサーベイ・モニター観測の目的で補償光学の開発は重要である。
本研究会の会場である京都産業大学神山天文台でも、荒木望遠鏡のための小型
屈折補償光学装置CRAOの開発が進められている。
このように天文学において成功を収めた補償光学系の技術を、同じく大気揺らぎ
の影響を受ける衛星と地上間を結ぶ空間光通信においても応用することが検討され、
日本でも機器開発に向けた取り組みがなされている。この研究会ではこのような
動向を鑑み、天文に限らず様々な研究テーマやプロジェクトで補償光学装置の開発
に携わっている研究者が一堂に会し議論を交わす機会を提供する。これを契機として
有機的な情報交換ネットワークを構築し、各々の研究開発の発展を促進する。
この研究会では議論に重きを置いています。また学生の発表を奨励しています。
これから補償光学の研究を始めたい人も歓迎です。
ご参加を希望される方は、開催担当世話人までご連絡下さい。
開催担当世話人
大金:hajime.ogane_at_anu.edu.au
大野:ono _at_ naoj.org
(_at_を@にご変換ください)
プログラム
日時:2024年9月10日(火) 9:30-17:10 (時間はプログラム次第で調整)
開催方法:会場での対面とZoomによるハイブリッド開催
会場:京都産業大学神山天文台地下ホール
※会場には9時から入ることができます。
※リモート参加の接続情報は後日参加者にお知らせします。
9:30-9:45 坂部 健太「小型屈折型補償光学装置CRAO制御手法による補正性能の違いについて」(京都産業大学)
9:50-10:05 峰崎 岳夫「中小望遠鏡可視補償光学とレーリーレーザーガイド星」(東京大学)
10:10-10:25 米田 隼「レーリーレーザーガイド星の基礎実験」(東京大学)
10:30-10:45 萩野 正興「都立富士高校での太陽像を用いたシーイング測定計画」(都立富士高校)
<休憩10分>
10:55-11:10 米田 謙太「連星系の系外惑星の直接観測のための波面制御技術の開発」(国立天文台)
11:15-11:30 大野 良人「国立天文台での補償光学関連の開発」(ハワイ観測所)
11:35-11:50 留野 倖多「ULTIMATE-Subaruにおける補償光学装置内の局所的な大気揺らぎ」(東京大学)
11:55-12:10 一ノ瀬 将也「LTAO波面センサー系の調整と課題の報告」(東北大学)
<昼休憩80分>
13:30-13:45 鍵谷 将人「水星昼間観測に向けたハワイ・ハレアカラ東北大60cm望遠鏡搭載可視補償光学の開発状況」(東北大学)
13:50-14:05 野田 緋奈子「惑星モニター観測用多層共役補償光学系における補間による反応行列の作成」(岡山理科大学)
14:10-14:25 児玉 晋二朗「天体観測に向けた赤道儀搭載型シングルピクセル望遠鏡」(電気通信大学)
14:30-14:45 小澤 亮太「複屈折結晶を利用した点回折素子の製作準備状況について(経過報告)」(東海大学)
14:50-15:00 まとめと議論
<休憩10分>
15:10-17:10 神山天文台見学
17:10-18:30 解散・移動
18:30- 懇親会 (参加ご希望の方は開催担当者まで連絡をお願いします)
*講演時間は15分(講演12分+質疑応答3分)です。
*講演中の質疑応答も歓迎です。
*スムーズな講演者交代のため5分間の緩衝時間を設けております。
*当日の進行・調整次第で講演時間が多少前後することをあらかじめご承知おき下さい。
当日の参加者リストに記載された順、敬称略
大屋 真、美濃和陽典、寺尾航暉、米田謙太(国立天文台)、田邊ひより( 東北大学)、児玉晋二郎 (電気通信大学)、大金 原(オーストラリア国立大学)、 渡邉 誠 (岡山理科大学)、坂部健太、小牧誠人 、樽田 順(京都産業大学)、小鹿哲雅 (関西学院大学)、津久井遼 (ロジストラボ)、六川慶美 (NICT/情報通信研究機構)
開催担当者
大金 原(オーストラリア国立大学)、大野 良人(ハワイ観測所)、坂部健太(京都産業大学・会場担当)、山本広大(京都大学)